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おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -  作者: ぷぷ太郎
【第四章】北国境のダンジョンでのあれこれと大貴族の悩み
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第70話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします。


前回のまとめ的なものを付けています。


「あれ?前回どんなところで終わってたっけ?」という事ありませんか?


私はよくあります・・・

【前回まで】


各部署の責任者が集まって、現状把握と今後の対応を話し合いました。しかし、皆、坊ちゃまことベルナルのペースに着いていくだけでぐったりです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


宿で宿泊の手続きをして荷物を置き、クライブと隣の食堂へ向かう。


「こんにちは~」


「あっ!いらっしゃいませ!」


先程の少年だ。


「温かいお茶を4人分と、何かお茶菓子の様な物があればそれも一緒にください。お茶はこちらで淹れるので、セットで持ってきてもらえれば大丈夫です」


「はい!かしこまりました!」


少年は勢いよく厨房に入っていった。それと同時にアリステアとフランがやってきて席に着く。



「早速ですが、幾つか気になる事がありまして・・・」


キースが切り出す。


「クライブが感じたという、魔物達がダンジョンの入口から離れようとしていた、という話なのですが、アーティはいかがでしたか?」


「そう言われると、確かにぐいぐい前に出てきていたというか。だが、僅かな間だったからな・・・言われてみればそんな気がする、という程度だな」


「ふむ・・・僕も魔法陣を設置した時に、ちょっとおかしな気配を感じまして・・・やはり、ダンジョン内で何かが起きていることは間違いないですね」


「もうちょっと情報が欲しいわね・・・魔物が溢れた、溢れた魔物達はダンジョンのから離れたがっていた、内部に妙な気配を感じた、か・・・国軍が冒険者を連れてくるでしょうから、その人達が潜って何か分かればいいのだけど」



少年がお茶のセットと、お茶菓子を載せたワゴンを押してきた。


「ありがとう、後はこちらでやるから大丈夫よ」


フランが立ち上がって受け取る。


「はい、ごゆっくりどうぞ!」


微笑ましい。皆自然と笑顔になる。



「後は、思わぬ大物だった、坊ちゃまことベルナル様ですが・・・皆さん、改めて彼の印象を教えてください」


「典型的な貴族のおぼっちゃんだな。良い印象は無い」

「同じく」


アリステアとクライブはバッサリだ。


(二人にはああいう軽い人は合わないよな。でも・・・)


「お二人ならそう言うかなと思っていました。フランはいかがでしたか?」


「キース、あなた私が何て言うか、だいたいわかっているでしょう?」


フランが意味あり気に笑う。


神官は、人の懺悔を聞いて説法をしたりと、他人の心の内側に触れる事が多い。


「なんだなんだ二人で楽しそうに!」


アリステアが不満げに頬を膨らます。


「アーティ、彼の態度、言葉遣い、口調、あれは全て『振り』です」


(やはりフランもそう思いましたか。さすが神官様だな・・・)


「・・・何だって?」


「彼は何らかの理由により、軽薄な貴族の我儘お坊ちゃんの振りをしています」


「あれでか・・・なぜそう思ったんだ?」


「説明はキースにお願いしましょう」


「賜りました。それではなぜそう思ったのか、私達が聞いたここまでの彼の発言を、一つ一つ振り返ってみたいと思います。今書出しますね」


(あれを全部憶えているのか?さすがキース・・・)



『おいおいおい、本当に大丈夫なの?それ誰が保証してくれんの?だって原因解ってないんでしょ?俺達が怪我したらどうしてくれんのよ?』


『何で原因が解らないのに脅威が無いって言えるんだよカーティスさんよぉ?』


『初めからちゃんとそう言ってくれよなぁ?報告は正確にしないとみんな誤解しちゃうだろ?デマが広まっちまったら皆安心できねぇじゃん?』


「避難していた時の3つの発言です。ゆっくりよく読んでみてどうですか?口調と言葉遣いはアレですが、内容はとしてはごく当たり前ですよね?」


「そう言われると確かに・・・」


「貴族の坊っちゃんの、我が身可愛さの発言の様に聞こえますが、『避難体制を解除しても本当に大丈夫なのか、なぜ脅威が無いと言えるのか、非戦闘員が怪我をする事は無いのか、間違った話が流れて、皆が不安に陥らない様にしなければならない』これにしか触れていません。繰り返し確認しただけです」



「次は会議が始まってからです。こちらを聴いてください」


ローブのポケットから出てきたのは、何と音声保存の魔導具だ。


「いつの間に・・・」


「もしかしたら役に立つかなと思って用意してました」


(キース・・・恐ろしい子)


飛ばしたり戻したり、発言を選んで再生する。



『ちょっとカーティスさーん?何であなたが仕切ってるのよ?俺が責任者なんだからさ、俺が言葉を掛けるのが筋でしょ?何かあったら怒られるのは俺なんだからさぁ』


『おおっ!?すっごいねぇ?自信満々じゃん!でもそれ本当に大丈夫なの?皆に大丈夫って言っちゃうよ?いい?』


『よっしゃ!じゃあ少年、俺の名前で大丈夫って発表するから!いいんだよね?』



「この3つ、一見すると『俺が責任者なんだから』と目立ちたがっている様にも聞こえますが、そうではありません」


「責任者がお礼を言ったり、何かを発表するというのは、組織として公的な発信です。その内容についての責任は、当然責任者が負うものです」


「もし僕の結界がこの後破られたとしても、ベルナル様が大丈夫と発表した以上、責められるのは僕ではなく、ベルナル様ということになります」


「彼は自分が発表する事で、責任者としてその責任を自ら背負い込んだんです。次行きます」



『あんた達強いねぇ!助けてくれてありがとな!それにしてもさ!女性達、タイプは全然違うけど二人共めちゃくちゃ美人さんだよねぇ!こんな綺麗なのにえらい強いんでしょ?それに少年!とんでも無い魔法使う魔術師らしいじゃん?小さいのにすっげぇなぁ!大きい人もまとめて何匹も叩き潰してたんだって?やっぱデカいのと力は正義だよ!』


『皆?皆って衛兵隊全員?全員癒やしちゃったの?すっごいねぇ!こんな綺麗なのに、あの人数みんな癒やしちゃう力があるの?か~!マジかよ!俺も癒やしてほしいわ!』


「助けにきた我々を素直にべた褒めです。奉仕されて当たり前と思っている大貴族の坊っちゃまは、そんな簡単に人の事を褒めないでしょう。彼の本来の人柄が出ているのだと思います」



『でさ、そのなんつうの?魔物暴走っていうの?それってさ、そんなにあるこっちゃねーんでしょ?なんで今日起こったかとかさ、心当たりある人いる?』


『よろしくね?でもそうすっとさ、ダンジョンにさ、魔物達も怯えて逃げ出す様な何かがいるって事なの?それってやばくね?』


「この辺りも、物事の大事な点をきちんと理解しています。聞いてすぐ要点を掴んで発言できる、頭が良く回転も早い証拠です」


『でさ、王都に国軍の応援出してくれって言ってるんだけど、こういうのって何時ぐらいに着くんだろうね?夜ぐらいには来るかな?』


『かーっ!明日かよぉ!遅っせぇなぁ!緊急事態なんだからさぁ?もっと早く来いよなぁ!馬車でも鐘3つし掛かんねぇんだよ?とりあえず最低限の装備で先発隊を出してさぁ、こっちの安全確保に努めるべきっしょ?輜重隊は後からゆっくり来ればいいんだからさぁ?アンリどう思うよ?』


「最もな意見です。国軍の後方支援担当としても仕事ができそうです」


『とりあえずカーティスさんさぁ、明日の国軍が到着するまで、交替で入口見張ってもらえるかなぁ?』


『じゃ、カーティスさん、見張りの件よろしくね?夜中とか立ったまま寝ちゃダメだよ?油断したら死んじゃうよ?昼間戦った訳だし、一人一人短い時間で回すといいんじゃないかなぁ?ま、その辺は任せっけど』


『そういえばさぁ、なんも話無いけど、さっきの戦いで怪我人とか大丈夫なの?また魔物が出た時にさ、痛くて戦えませんじゃ困るんだよねぇ?ポーションとか足りてる?在庫あるけど?』


「責任者として今後の対応について提案をしますが、それを押し付けない。最終決定は専門家に任せている。そして衛兵たちを労る配慮をみせています。気前の良い面も出ています」



『よっしゃ!とりあえずさ、みんな今の状況は分かったっしょ?何か聞きたい事とかある?無い?じゃあさ、一旦これで解散しよっか。ちょっと一息入れたいし、後は各自担当の仕事やってちょうだい!アンリ、ウェイティス産の茶葉でお茶入れてよ。いつものより落ちるけど、まあまあ悪くないしさ』


『カデルちゃんもさ、明日の国軍の指揮官に渡す状況報告書の作成、よろしくね!ほら、俺字汚いじゃない?カデルちゃん綺麗だし!今度お礼するからさ!よろしく!じゃ、皆さんこれで終わりね!はい、かーいさーん!』


「各部署の責任者がここに集まっていました。という事は、この場で決まった対応を指示をする必要もありますし、責任者不在で担当業務が滞っているかもしれません。状況と情報の共有、今後の対応について一通り話し終わりました。なのでダラダラ会議を続けずさっさと解散した。さらに自分が最初に出ることで、他の人間が続いて部屋を出やすくなります」



「そしてここがポイントです。志願して異動して来た事を裏付ける発言が出ました」


(やはりこれよね。さすがキース)


『カデルちゃーん!!何言っちゃってんの?副管理官でしょ?このダンジョン1箇所で幾ら金入ってくるか知ってるよね?去年ここで6.5t産出してるんだよ?去年は1kg/40万リアルで流通させたんだから、26億リアルだよ?今、外に魔物がいるわけじゃないのに放棄は無理っしょ?』



「ダンジョンから産出した魔石について、彼はきっちり把握しています。先程出たのはこれだけですが、彼ならもっと細かいところまできちんと調べ上げているでしょう」


「僕はやはり、魔石関連で何かあって異動を願い出たのだと思います。長くなりましたが、以上が彼が『おバカな振り』をしていると考える説明になります。というか、普段の彼は、人柄が良く誠実で、非常に頭が良い人物だと思います」

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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