表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/341

第60話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします。

ダルクとファクトが旅立った(旅出させた)翌朝、キースは、『コーンズフレーバー』へリリアを迎えに行った。魔術学院の理事長に事件解決を報告に行くためだ。


煙突からは煙が立ち上り、店に近づいただけで各種香辛料の匂いがしてくる。今日も店では仕込みが始まっている。


勝手口のある裏へ回ると、リリアが扉の前で待っていた。


どうやら二階の窓から、キースが歩いてくるのを見ていた様だ。


「おはようリリア(あふぅ)」


「おはよう、キース」(眠そうなの珍しいな・・・)


今日のリリアの装いは、挨拶に行くという事もあり、前回より明らかに「よそ行き」仕様だ。


オフホワイトのふんわりとした袖のブラウス、ハイウェスト気味の青いロングスカート、髪型は結ってリボンで結んである。


「リリア・・・とてもよく似合っていますね!髪も凝った結い方で・・・これはフィーナさんが結われたんですか?」


「それは私だよ!」


突然勝手口の扉が開き、イネスが顔を出す。


「おっ、おはようございます、イネスさん」(びっくりした・・・)


「その髪型はね、フィーナがアドルに結婚を申し込まれた日と同じものなんだよ!うちの女が、一番気合を入れなきゃいけない日の為の髪型なんだ!」


「おっ、おばあちゃん!またそういうことを!」


「お母さん、もう・・・」


扉のすぐ近くにはフィーナもいたらしい。


「もう!早く行こう!相手しなくていいから!」


「で、では行ってきます」


「気をつけて行っといでよ!」


「ほんっといつもいつも・・・」


2人は連れ立って歩き出した。



「あ、そうだ。ダルクとファクトのことなんですが、あの2人は昨夜旅に出たので、王都にはもういません」


!?


「それはまた・・・ずいぶん急な話なんだね」


「このまま王都にいても悪評が広まるでしょうから、何もできません。新天地で頑張っていただければと思います」


「そっか・・・でもこれで逆恨みで仕返しされたりとかも無いだろうから、安心できるかな」


(昨日の夜何か対応してくれたのかな・・・)


「キース達はこれからどうする予定なの?」


「明日、明後日ぐらいには王都を出発すると思います。僕がまだダンジョンを見たことがないので、北国境のダンジョンに行ってみようという話になっています」


「そうなんだ・・・」


全て解決したということは、キースがいなくなってしまうということだ。


もちろん、お店はこれまで通り営業をすることができて、自分は魔術学院できちんと魔法を学ぶことができることになった。これ以上ない結果だろうだが、「それはそれこれはこれ」なのだ。


(初めて会って4日しか経っていないのに・・・)


路地で拐われそうになったところを助けてもらったのが、随分前のようだ。


(王都を出て、各地を回って戻ってくるとなると、何日ぐらいかかるものなのかな・・・)


まだ出発すらしていないにも関わらず、もうそんなことを考えながら、リリアは俯きがちで歩く。


そんなリリアの様子を、キースも目の端に留めながら歩く。



魔術学院の門の前に着き、門の魔石触れ中へ入る。


今日も受付はマールだった。


挨拶をして理事長の都合を確認してもらい、「大丈夫」という返事を受け理事長室へ向かう。


理事長は扉の前で待っていた。挨拶を交わして室内に入る。


「リリアと一緒に来たということは、例の件は片付いたという事かしら?」


「はい、無事終わりました」


キースは昨夜の出来事と偽契約の場面の詳細を除いて、経緯を説明する。


「では、晴れてこちらに通えるのですね」


「はい、よろしくお願いします」


「先生、この度は編入の件、骨を折っていただきありがとうございました」


「いいんですよキース。気にしないでください」


「リリアもこれからお世話になりますので、お礼兼賄賂ということで、一つプレゼントをお持ちしました」


「あら!何かしら!」


オリジナルで魔法陣を作るキースからのプレゼントだ、どうしても期待してしまう。


「こちらから言い出しておいて、アレなのですが、お一人の時に使うこと、口外しないこと、手放さないこと、もし手放すなら僕が回収します。この三つをお約束いただけますか?」


「はい!守ります!」


手を挙げて宣誓する。元気いっぱいである。


「分かりました。では、こちらを」


カバンから出てきたのは、転写の魔法陣が描かれた紙だ。


「書類を一枚と、何も書いていない紙をご用意下さい」


「これでいいかしら?」


理事長がキースに書類と紙を渡す。


「はいありがとうございます。では、始めます」


魔法陣の上に書類を置いて起動、そしてまっさらな紙を置いて再度起動。


書類は複製された。


理事長もリリアも呆然として言葉もない。


「転写の魔法陣と名付けました。お仕事お忙しいと思いますので、何かのお役に立てば良いのですが・・・」


「・・・相変わらずあなたという子は・・・ありがたくいただきます」


「いずれ商品化したいと思っていますので、それまでは内緒で。リリアもね」


「は、はい」


リリアもなんとか返事をする。


「この2,3日で出発するのかしら?」


「はい、はっきりとは決まっていませんがそうなると思います」


「そう・・・寂しくなるけど、ここ数日で3回も会えましたからね。お土産もいただきましたし・・・」


「くれぐれも気をつけて行ってくるのですよ。あと必ず生きて帰ってくること。冒険者は大怪我をしても生きて帰ってきてこそですから。帰ってきたら色々話を聞かせてちょうだい」


理事長は席を立ちキースの前に来るとそっと抱きしめる。


「はい先生、それでは行ってまいります」


受付で、マールとも同じお別れのやり取りをして学院を出た。



「リリア、この後何か用事はありますか?」


「ううん、特には何も」


母と祖母からは今日は店の手伝いは出なくて良い、というか何としてでも夕方まで帰ってくるな、と言われている。


「よかった、それでは夕方までお付き合い願えますか?僕も王都に来てから全然ゆっくりしていないので、あちこち行きたかったんです」


「! うん、喜んで!」


2人は連れだって歩き出す。


(でも、その前に一つ片付けることがありますね・・・)

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ