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第59話

【更新について】


「地上げ問題」解決までの分を一括更新致します。


本筋はこれで終了です。長くなりました・・・


よろしくお願いします。

様々な事が無事に解決した(その方向に向かった)その日の深夜、『コーンズフレーバー』に近づいてくる人影があった。


キョロキョロと周囲を警戒し、身体を屈めながら店の裏手に回りこむ。明らかに怪しい。


ダルクとファクトであった。


アリステア達に嵌められ、全てを無くした挙げ句に荷台に載せられ(荷物と同じ扱いだ)、ロワンヌ商会の従業員用の部屋に放り込まれた2人は、夜になりそのショックから覚めてくると、猛烈に悪態を付き始めた。


しかし、悪態をついていても状況は良くならない。契約書の内容が書き換わった手口も解らないし、魔術契約書の制裁は恐ろしい。


そうなると、一番手を出しやすい場所は、やはり『コーンズフレーバー』だった。


(手に入らないなら燃やしてしまえ)


という訳だ。


店の裏でしゃがみ込み、火をつけようとしてると目の前が急に暗くなった。


夜中だから暗いとかそういう問題では無く、目が見えなくなったのだ。


「な、なんだ!急にっ!見えねぇぞ!」


「ダルク!?いるのか?目がおかしい!」


次の瞬間、もの凄い力で腕を掴まれた。引き倒され、そのまま抑え込まれる。


さらに、そのまま力任せに後ろに腕を回され両手首を縛られる。足首も同様に固定された。


抵抗する暇など無い、あっという間の出来事だった。


目も見えず手足も動かせない為、芋虫の様にのたうつ事しかできない。


「やはり来ましたね。どうせこんな事だろうと思い、待っていた甲斐がありました」


二人に掛かっていた< 暗 闇 >の魔法が切れ、視力が回復した二人が見たのは、ゼピック商会のオーナーである、レアの姿だった。


「て、てめぇは!」

「な、なぜここに!」


「なぜって、全てを失ったあなた達にできる事といったら、逆恨みして店に火を点ける事ぐらいでしょう?そう思って歓迎の準備を整えてお待ちしていたのですよ」


ウフフと微笑む。可愛い。だが、二人にとっては悪魔の微笑みだ。


「い、一体何を・・・」


「あなた達には、人生初の体験をさせてあげます。過去の人は分かりませんが、生きている人間は誰も経験した事が無いのですよ?素晴らしいでしょう?」


脇に置いてあった大きな背負い袋を2人の横に置く。


「その中には一週間分の水と食料が入っています。無駄に食べなければ十分に持つでしょう。まぁ、嵐等に遭ってしまったらその時はわかりませんけど、そこまでは責任持てませんわ」


(な、何を言っていやがるんだ・・・)


理解はできないが、猛烈に嫌な予感がしている。


「あなた達の身体の下には、ある魔法陣が書いてあります」


二人がぎょっとして地面を見る。


「これよりあなた方は旅に出ます。どうせ王都では生きていけませんから、新天地を目指す切っ掛けを与えてあげようと思いまして。私優しいですわね」


「6日目辺りには到着するでしょう。それまでお二人が元気でいれば、ですが。まずは手足を解くところから頑張って下さいませ」


「おいちょっと待ってくれ!ちょっと!」


「夜中なのですからお静かに。ご近所様に迷惑です。それではそろそろ参りましょうか。お達者でお暮らしくださいませ」


「いや、やめろ!おi」


レアがすっとしゃがみ地面に手を付き「きどう」と発する。


その瞬間ダルクの頭の中にはある光景が思い浮かんだ。


(!・・・きどう!きどう!!!あの会話の時になにかが・・・)


しかし、魔術師でも無い彼には、結局あの瞬間に何が起こったのかは解らない。


転移の魔法陣は発動し、2人(と背負い袋)の姿は消えた。



「キース、あの2人はどこに転移したんだ?」


「昨日の夕方、アーティとクライブが古着屋へ行った時、僕は港へ行ったのですが」


キースは地面の魔法陣を回収し、魔術で火を点け燃やす。


「あぁ、そうだったな」


2人は買い物に行く前のやり取りを思い出す。「最後の仕込みをしに行く」と言っていた。


「その時に、一艘の船を買いました。小ぶりな漁船、といった、外海にも出られるタイプの物です」


「オールを4本用意して、床に転移の魔法陣を設置しました。そして魔法で風を発生させ船を湾の外に押し出し、季節風と潮に乗せて漂わせました」


「もう一日半程経っていますから、かなり進んだのではないでしょうか?因みに、今の時期の季節風は西風ですので、人力では、潮と風に逆らって大陸側に戻ってくる事は不可能です」


「でも、追い風を受けて、2人で協力してオールを漕ぎながら進んでいけば、無人島が集まっている諸島に到着できます。順調なら5日、遅くても6日ぐらいですね」


「そこで2人で仲良く暮らしていけば良いと思います。誰にも迷惑を掛けずに。ただ・・・」


「海の真っ只中で、大陸から離れる方向に進んでいく勇気があれば、ですが」


レアの姿で微笑む。


3人はブルブルっと震えた。


(こんなに可愛いのに、なんと恐ろしい・・・)


『コーンズフレーバー』の地上げに端を発する嫌がらせから始まった問題は、一部当事者が旅に出てしまった事もあり、ほぼ解決したのであった。


何でこんなに長くなったのだろう・・・お話を書くのは難しいですね。


最後もう1話ぐらいありますが、「地上げ問題」は本筋はこれにて終了です。


ブックマークやご評価いただけると嬉しいです!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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