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第51話

【更新について】


「地上げ問題」解決までの分を一括更新致します。


よろしくお願いします。

「ファクトとダルクを罠に嵌めましょう。先程フランが言ったように、法的には難しいので、社会的に排除するという方向でいこうと思います」


「ほう!どうするのだキース?」


「こういうのはどうでしょう・・・」


皆で顔を寄せ合う。


(会議室なんだから普通に話せば良いのに・・・)


人は企む時はひそひそ話になってしまうものである。



「ふむ・・・面白いな。やってみよう!」


「では、僕はこの後ちょっと下準備をします」


「私はその間にロワンヌの先代の奥様の所へ行ってくる。今の情報で、以前別件で知り合った人と同じ方だというのが判明した。現在の商会の状態や息子のやり口について、どの程度まで把握しているのか確認してみる」


「分かりました。よろしくお願いします。僕の方の準備も5の鐘から6の鐘ぐらいにはできると思いますので、またその時に集合して、細かい手順を再確認しましょう」


「「「了解!」」」


「あ、アーティ、先代の夫人に説明する際、この報告書があった方が良いのではありませんか?持っていきますか?」


「いや、それ一枚しかないからな・・・何かあっても困るしな」


「では、僕が写しますよ」


「いや、しかし、書き写すには結構な長さだぞ」


「ここで新作魔法陣の登場です!」


フフフと笑いながら、いつも持ち歩いている鞄から、魔法陣が書かれた紙を取り出しテーブルの上に広げる。


大きさは一般的な書類サイズのものだ。


「まずは報告書を魔法陣の上に置き起動させます」


魔力を流し起動させると魔法陣は青白く光った。


「今度は何も書かれていない紙を魔法陣の上に置きます」


(これは・・・!?いや、まさかな・・・)


ディックが思いついたものは奇しくも正解だった。だが、自分でそれを信じられず自分で否定した。


「これで再度起動させます」


魔法陣の上に乗った紙が少し強く青白く光った。


光が消えると、そこには報告書とそのままそっくり同じ書類があった。


「はい、どうぞ」


キースがそれを手に取り渡してくるが、余りの事にアーティは反応できない。


「アーティ?」


「あ、あぁ・・・ありがとう・・・」


受け取ったアリステアは、文字の書かれた表面を触ったり、透かして裏から見てみたりしているが、ただの紙で何もおかしな点はない。


先程までまっさらだっただけだ。まぁ、それが一番おかしいのだが。


「ふふふん、いかがですか?新作の転写の魔法陣です」


キースは皆の反応に気分を良くしたのか、かなり得意気である。


「昨日見たものも大概だったが、これまた強烈なのが出てきたな・・・」


「1枚書けば何枚でも作れてしまうのか・・・革命レベルですな」


「契約書とかの作成に向いてそうね・・・それにしても・・・はぁ」


「将来的には商品化したいと思っています。それ用に何かキャッチコピーみたいなものでも付けましょうか? うーん・・・あ、こんなのどうでしょう?コピーしてぺったn」


「それ以上いけない」


アリステアは慌ててキースの口を塞いだ。



アリステアはサイモンの調査で判明した先代の夫人の家に向かっていた。王都の北西、貴族街方向だがそこまで貴族街には近くはない


過去、過去二度ほど夫人の住む屋敷に行ったことがあるが、夫が亡くなり、しばらくしてから引っ越したらしい。


(一人ならそんなに大きな家は必要ないか)


手入れにも人手がいるし、維持の費用もかかる。歳を取ると家の中の移動すら一苦労なのだ。


歩きながら、アリステアはふと思った。


(私たちはキースが一人前になった後、あの、歳を取った元の体に戻れるのだろうか)


(どこも悪いところの無い五体満足で健康な体から、老眼で腰も痛み、70歳で左足が義足のあの体に)


(だが、あの身体こそが私を私たらしめたものだ。白銀級冒険者アリステアはあの身体だからこそ生まれた。それを捨てることはできない。私があの身体を捨てることは無い)


どこか自分に言い聞かせるようにして、アリステアはこの事について考えるのをやめた。


程なく、情報と外観が一致する家を見つけた。


こじんまりとして、一人で暮らすには十分な広さの家だ。


玄関の扉についていた魔石に魔力を流す。


少しすると扉の向こうに人の気配を感じた。扉の一部が開き、小窓のようになる。


(結構警戒しているな)


年配の女性の一人暮らしは何があるかわからない。いくら王都の治安が良いとはいえ、この程度の警戒は必要か。


「こんにちは、どなたでしょう?」


「こんにちは、カルージュのアリステアさんの遣いの者です。編み物の納品で参りました」


「・・・何かそれを裏付けるものはありますか?」


「こちらを預かってきております。ご確認ください」


ミスリルの冒険者証を小窓から中に入れる。夫人が手に取った感触が伝わってきた。


「これはまた・・・今開けますね」


鍵が外され扉が開いた。


「お待たせしました、中へどうぞ」


「はい、お邪魔します」


エレインの後について進みリビングに通される。


リビングには壁や棚に所狭しと作品が飾られている。


「驚いたでしょう、昔からこういうものが大好きでね」


「いえいえ、どれもとても素敵です。特に後ろの棚の右から2番目のお品、あれは技術的にもとても凝っていますし、素晴らしいですね」


「あら!あれは私もかなりお気に入りなのよ!冒険者の方よね?正直、こういったものがお好きな冒険者の方に会ったのは初めてよ」


「私の師匠筋にあたる方がアリステアさんの知人でして・・・あの方のお宅に何度かお邪魔しているうちに興味を持つようになりました。編むのはさっぱりなのですが」


「編むのは特性のある方達にはかなわないから、そこはね・・・私も編むことはできるし好きだけど、出来はここにある物とは比べ物にならないわ」


エレインも苦笑いだ。


「あらやだ、お茶も出さずにおしゃべりばかり、ちょっと待っててね」


「恐れ入ります。いただきます」


待っている間に飾られている品々を眺める。数年前に自分が編んだものもあった。


(あれは確か会心の出来と思ったやつだ。売らずに手元に置いてくれているのか、嬉しいな)


エレインがお茶とお菓子を乗せたワゴンを押して戻ってくる。

本好きの下剋上大好きです!


第五部三巻発売おめでとうございます!


神に祈りを!


ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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