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第49話

【更新について】


「地上げ問題」解決までの分を一括更新致します。


12時で6話、16時で6話となります。なんでこんなに長くなった・・・


よろしくお願いします。

キースとリリアは理事長の部屋の前で立ち止まり、お互いに身なりを確認しあう。


(うん、大丈夫そう)


キースが扉をノックすると中から「どうぞ」という声が応えた。


「失礼します。おはようございます、理事長先生」


「おはようキース。2日続けて貴方に会えるとは嬉しいわ」


(同じ事言われてる・・・どれだけ人気者なの・・・)


リリアは危機感をおぼえる。


「僕も嬉しいです先生!それでですね、今日はちょっとご相談がありまして・・・」


「あら、貴方が私に?どんな相談かしら?」


本当は、先程まで話をしていたディックから聞いて知っているが、やはり当事者からの話を聞くべきであろう。


キースはリリアについて説明する。


・魔力量が少し足らずに魔術学院に入れなかった

・最初だけ指導を受けて、現在は独学で魔法を使える様になっている。

・可能であればきちんと勉強し身に付けたい。


「ふぅむ・・・なるほどね・・・」


理事長は頬に手をやりリリアに尋ねる。


「一つ訊いていいかしら?あなたに最初に魔法を指導した人ってどなたなの?」


「私の家は食事処なのですが、お店にお客さんとしてきた魔術師の冒険者の方で、名前は判りません。4年程前の話なので、今どこにいるのかはもちろん、所属がこの国かどうかすら分かりません」


「そうなの・・・いえね、貴方がどうこうでは無くて、教えるだけ教えておいて、その後面倒みないのはちょっと無責任よねぇと思って。面白半分では困まるのは貴方ですし」


(確かにそれは思う)


店でいい感じに酔っ払って調子に乗って教えた、とかそんなところかもしれない。


「まぁ、わからないのならそれは仕方が無いわ。4年も前の話だものね。では、今の魔力量を測ってみましょうか。あなたも気になるのでないかしら?」


「はい!ぜひお願いします!」


入学前僅かに足りなかった自分が、今現在どれだけの魔力量なのかは、やはり気になる。


理事長は、棚から50cm程の細長い棒状の物を出してきて、テーブルの上に置く。魔力量を測るワンド(短い杖)型の魔導具だ。


「これ憶えているかしら?前に使ったと思うのだけど」


「柄を握って魔力を込めた時に、ここの線まで光れば合格、なんですよね?」


「そうよ。ちょっとやってみましょうか」


理事長が柄を握り魔力を込める。


光は線を越え、棒全体をほんのりと光らせる。


「キースも久々にやってみますか?」


「懐かしいですね。では・・・」


柄を握り魔力を込める。


棒全体が強い光で包まれ、とても目を開けていられない程だ。どれだけの魔力量なのだろうか。


(相変わらず凄いわね・・・)


(なに今の・・・絶対理事長先生より光ってたよね・・・)


「はい、リリアもどうぞ!」


「う、うん・・・」


(あれの後じゃやりづらい・・・)


それでも集中して魔力を込める。杖の3分の2程が光った。余裕で合格だ。


「魔力量は十分ね。後、せっかくですから、自己研鑽の成果も見てみたいわね」


「え!?今これからですか?」


「最初だけ教えられて、その後4年間一人で頑張ってきたのでしょう?その状況でよく頑張れたと思うわ。ぜひ見せてちょうだいな」


「大丈夫ですよリリア。拐われそうになっていた状況でも発動できたのですから。今だったら余裕です」


キースは涼しい顔だ。


(や、やるのは私なんだけど・・・)


「いつも通りにやれば良いのです。はい、まずは集中です・・・呼吸をゆっくり・・・もっとゆっくり・・・魔力を動かして集めましょう・・・」


(お、額に集めましたね。そういえば襲われた時もそうだったのかも。手とか杖だと、どこから出るか分かってしまうからこれはこれでアリか)


「はい、相手の頭が暗闇に包まれる様子を自分の頭の中に描きましょう・・・昨日の2人の様に・・・」


< 暗 闇 >!


リリアの魔法は見事に発動し、キースの頭は黒い玉になった。


「お見事!素晴らしい!全然見えません!いかがですか理事長先生?」


頭を黒い玉にしたまま、拍手をしてリリアを褒める。かなりシュールな光景だ。


(教えるのも褒めるのも上手ね・・・)


理事長は密かに舌を巻く。


「ええ、とてもキレイに発動できていましたよ。今の段階ならこれで十分です」


「ありがとうございます!」


リリアも嬉しそうだ。


「編入の件は一応他の理事にも話をしますが、理事長権限の範疇なので問題ありません。歓迎しますよリリア」


「はい!よろしくお願いします!」


リリアは笑顔でお礼を言いながら頭を下げる。


「先生、ありがとうございます」


キースも笑顔だ。


「世の中に魔術師が1人でも増えることは、学院の責任者としてとても喜ばしいことですからね」


「帰る時に、受付のマールから入学時に渡す案内の書類を貰ってちょうだい。特に用意しなければならない物は無いわ。王都に住んでいる人は、寮に入るか家から通うか選べるのだけど・・・」


「それは親と相談してからでも良いでしょうか? 食事処をしておりますので、人手の都合が・・・」


「ええ、それはよく話し合って決めてちょうだい。でもね・・・」


理事長の目がスっと細くなる。


「家の手伝いをしながら修められる程甘くはない、とも言っておきますよ」


笑顔でウフフと言っているが、雰囲気というか気配が先程までとは違う気もする。この人は、別に優しいだけの人では無い。


「あ、リリア、例の件もお話しておいた方が良いと思う。学院に入学するとなれば、無関係という訳でも無いし」


「そうか・・・そうだよね・・・」


(何かしら?)


「先生、リリアの家は、今面倒な事に巻き込まれておりまして・・・リリアも、昨日の午後に判明した話もあるから、帰ったら皆さんに伝えて欲しい」


キースは地上げに絡む嫌がらせと、現時点まで判明した事項、今後の対応について説明する。


「それは心配ねぇ・・・貴方にも手が伸びてきたとなると、ご両親は心休まらないでしょう」


「大体の目星はついてきておりますので、解決までそうかからないとは思うのですが、リリアの入学の話はこの件が解決してからでもよろしいでしょうか?」


「そうね、きちんと解決してからでないと授業どころではないわね。そうしましょう」


「入学する前からご迷惑をおかけします・・・」


リリアもさすがに申し訳なさそうだ。


「別にあなたが悪いわけではないのだから、気にしなくていいわ。本当にそういう輩はどこにでもいるものね・・・」


皆で揃ってため息をつく。



「それではそろそろ失礼いたします。理事長先生、今日は編入を認めていただきありがとうございました」


「ありがとうございました。これからよろしくお願いいたします」


「ええ、一緒に頑張っていきましょう」



キースとリリアが部屋を出ると、理事長はソファーに腰掛けその身を沈め大きく息を吐く。


(同じパーティの例の3人の事も尋ねたかったけど、昨日初めて会った人の事なんてまだ細かく知らないだろうし、あの娘もいたし・・・それに、相手が相手だから変に波風立てるのもねぇ)


(ディックに問い質しても、『本人達に訊け。俺からは何も言えん』の一点張りだし。まぁ、それって答えを言っている様なものだけど)


(魔法・・・というより魔導具の類かしら・・・意識?魂?を移すという様な?そんな魔導具聞いた事無いけど、あの人は古代王国の遺跡を中心に活動していたというし、誰も知らない何かを見つけていても不思議無いか・・・)


(意識を移し姿形も変えられ、動き回る事ができる魔導具・・・大変な代物だわ。見て触って試してみたい!)


(使い終わったら貸してもらえないかしら・・・)


理事長も本質は、知識欲旺盛なただの一魔術師であった。

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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