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第31話

【更新日時について】


書き溜めが尽きるまでは、毎日5時・11時・16時に更新いたします。


通勤・通学、お昼休みのお供としてぜひどうぞ。


ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

馬車は程なく宿に到着した。馬車を預ける事ができる、敷地の広い少々値の張る宿だ。


宿の裏の馬車寄せ側の入口から建物に入り、そのまま部屋へ行くことができる。人目につきたくない人用のルートだ。


荷物を置いて着替えをし、アリステアの部屋に集まる。


「夫婦で一緒の部屋の方が色々都合が良いだろう?私のことは気にしなくていいぞ。まぁ、寝られる程度で頼む」


フランに言うと、ジト目で睨みながらお茶の用意をしに出て行った。


「では、説明を始めようか、だが、その前に」


アリステアはディックに向け頭を下げる


「ディック、キースのために色々骨を折ってもらい、本当に感謝している。ありがとう。あともう少しの間よろしく頼む」


(この人に頭を下げられたのは初めてだな)


やはり「孫」というのは世界最強の生き物である。


「それほどのことはしておりませんよ、お気になさらず」


「それでもだ、何かあったら、ライアルとマクリーンに顔向けできん」


アリステアは一から説明を始める


・子供の頃から、冒険者の話を聞かせていたら、すっかり冒険者に憧れるようになってしまったこと


・ライアルとマクリーンがいない現在、命の危険もある冒険者になる許可が出せなかったこと。


・その件で揉めていたら、家出してしまったこと


・倉庫に仕舞ってあった人型の魔導具に意識を移し、自分達とパーティーを組ませ、冒険者として教育すること


・役どころは以下の通り


「アーティ」

27歳

180cm 細身

赤髪 ショートカット 紺色の瞳

しなやかで、鍛え上げられた全身バネの様な体つき。

双剣使い 回避型の前衛



「フランシス(フラン)」

25歳

162cm 良いスタイル

銀髪 お団子ヘア

海の神の神官



「クライブ」

27歳

195cm 筋肉の塊 壁

赤銅色の短髪 同じ色の瞳

盾役の戦士



「で、この3人は王都のギルド所属だが、地方をメインに活動していて、たまたま今日王都に戻ってきた、という設定にしようと思う。明日の朝新規登録してくれ」


「分かりました。彼とは朝すぐ合流するのですか?」


「それなんだかな・・・」


アリステアはこめかみを揉むように押す。


「できればキースから希望してこちらに入るという形を作りたい。それでなくても、こちらに入らざるを得ないというような状況を作るか理由が欲しい」


「ふむ・・・」


(そうだ)


「先程食事をしている時になのですが・・・」


ディックは3人組の悪巧みを説明する。


「よし、それはちょうどいいな、ではそれに乗っかる形で・・・」


打ち合わせはもう少し続いた。


「では、今日はこれで失礼します」


「あぁ、また明日朝よろしく頼む」


「はい、ギルドでお待ちしております」


ディックが席を立つ。


「よし、では送っていこう」


クライブも続いて立ち上がる。


「お前俺を誰だと思ってるんだ。それにここは王都だぞ。護衛なんぞ必要ない」


「まぁそう言うな」


ディックは苦笑いして承知した。2人で連れ立って歩くのは何年ぶりだろうか。


「王都は何年ぶりだ?」


「前回アーティについて来たのが5年前だな・・・」


「そんなになるか、歳もとるわけだ」


「そうだな・・・だが、今回、この魔導具に意識を移してからな、色々調子がいい」


「・・・身体が若い事以外にか?」


「ああ、心が沸き立つというか、前向きというか、現役だった頃みたいな気持ちがする。あの2人もそう感じているみたいだ」


「ほう、それはすごいな・・・やはり身体が若いと気力も漲ってくるのだろうな。それ、もう一体ないのか?」


「どこかの遺跡に眠ってるかもしれんが、破格の性能だからな・・・欲しくなったか?」


「ふん・・・」


「・・・もう少し冒険者続けたかったか?」


「続けても良かったが、お前たち以外とは続けたくなかった。前にも言ったろう」


「そうだな・・・」


「せっかくの機会だ、若い体と心を楽しめよ」


「・・・わかった」


「それ、用が済んで満足したら貸してくれ」


「はっは、アーティに伝えておく」


「今日はこのままギルドの宿直室で休む。どうせ明日も早いからな」


緊急事態等にも対応しなければならない冒険者ギルドは、簡易な宿泊機能も備えている。

(今もある意味十分緊急事態である)


「おう。じゃあ、また明日の朝な。色々世話かけるが・・・よろしく頼む」


「あぁ、任せろ。ではな」



翌朝、キースは6の鐘と同時にギルドにやってきた。


「おはようございます!今日もよろしくお願いします!」


笑顔で元気な挨拶に、職員達も自然と笑顔になる。


「パトリシアさん、ちょっとお願いがあるのですが・・・」


「ひゃい!」


噛んだ。


「イスとテーブルを一組、今日1日お借りできたらと思いまして」


「満席になることもないでしょうから問題ないと思いますけど、一応確認してきますね」


パトリシアは席を立ち、奥にいるサイモンに確認しに行った。


「問題ないとのことでしたので、どうぞ使ってください」


「ありがとうございます。助かります」


始業前の申し送りで、「キース少年の勧誘活動は好きにやらせてよい」という指示が出ている。


(今日は良いパーティーが見つかるといいけど・・・)


あんなに可愛い子が一生懸命やっているのに結果が出ないのは胸が痛い。


その片棒を担いでるのはギルド側だが。


(私だったらすぐ仲間に入れて仲良くするのに・・・)


色々妄想が捗るパトリシアだった。

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