表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
294/341

第293話

【更新について】


週一回を目標に、 書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ


【前回まで】


全ての式典終了後に、イングリットに贈ったケープと手袋、ヴェールの素材について説明中です。エルフの集落に行き了承を取りましたが、先方とのやり取りは明らかにおかしなものでした。シリルがそれについて説明をします。


□ □ □


キース達は森の中の道を外れ、下草を踏み分けながら湖の畔へと出た。


雲一つ無く広がった青空と、それを映す凪いだ水面という組み合わせは、まるで空が下にもある様に見える。


水際の手前に木こり小屋があり、表には簡易な焚き火台と、それを囲む様にいくつかの切り株がある。


シリルがその一つに腰を下ろすと、キース達もそれぞれ座り、シリルが口を開くのを待った。だが、シリルは中々話し出さない。


(ちょっとこっちから訊いてみようかな)


キースがそう思った矢先、シリルがポツリと言った。


「色々あり過ぎてどこから説明を始めれば良いかわからない」


4人は座ったままずっこけそうになったが、何とか踏みとどまった。


「……そ、そうですね、では質問するのでそれに答える、という風にする?」


「うん、そうだね。それがいい」


「後、一緒にシリルとエルフという種族についても少しお尋ねしたいのだけど……」


キースが生まれた時には、シリルは既にライアル達とパーティを組んでいた為、それこそ物心着いた時から知っている。だが、彼女個人の事はほとんど知らない。


「……いいよ」


「分りました。ではそれで始めましょう」


□ □ □


Q. シリルが言った『深奥幽玄なる湖の畔』(しんのうゆうげんなるみずうみのほとり)や、先程の集落の『静謐無為の村邑』(せいひつぶいのそんゆう)というのは、集落の名称?


A.そう。森の奥深くにある静かな湖の畔に集落があったらしい。


Q.シリルが名乗った次の瞬間から門番の態度がとても丁寧なものになった。なぜ?


A.『強制誓約(ギアス)』が発動したから。強制誓約については後で話す。長いから。


Q.では、あれは『強制誓約』の効果であり、国王とか貴族の様に社会的立場が上だからでは無い?


A.エルフに王や貴族はいない。だけど、上位種としてハイ・エルフというのがいる。少ないけど。でも他のエルフより偉いとか、そういう存在では無い。私達家族はそのハイ・エルフ。


Q.ハイ・エルフという存在を初めて知りました。普通のエルフとどう違う?


A.寿命が違うのとハイ・エルフは精霊に好かれやすい。普通のエルフは600年から800年ぐらい。ハイ・エルフは1000年は生きる。


Q.先程の集落の族長達で何歳ぐらい?


A.族長夫婦が300から350歳、門番が400歳前後、先代族長は500から550歳ぐらいに見えた。


Q.ち、ちなみにシリルは?


A.(無言でじっと見つめる)先代族長より少し上。


Q.(汗)も、もしかして、寿命が長いと老化も遅い?


A.そう。知ってるだろうけど、エルフと人は20歳ぐらいまでは一緒。エルフはそこからが遅くなる。ハイ・エルフはもっと遅くなる。


Q.シリルがハイ・エルフという事は、ご両親や妹さんもハイ・エルフ?


A.当たり前でしょ


Q.し、失礼しました。『少ない』とありましたが、具体的に何人ぐらいいるの?


A.わからない。今まで生きてきて家族以外のハイ・エルフに会った事ないから。


Q.(相当少ないな……あれ?)出身の集落にいたのはハイ・エルフではないエルフだった?


A.わからない。集落には小さい頃しか住んでいなかったから。私達は家族で移動しながら暮らしてた。


Q.ご両親はまだご健在ですか?


A.うん。たまにやり取りしてる。それに死んだら精霊が教えてくれる。


Q.長い事お会いしていないのでは?寂しくありませんか?


A.顔は合わせていないけど、妹やみんながいるから寂しくは無い。


Q.『ハイ・エルフは精霊に好かれやすい』とありましたが、その辺りを教えて。


A.召喚魔法が成功しやすいし、難しい事も引き受けてくれる。あと、『守護精霊』になってくれやすい。


Q.『守護精霊』……ですか。それは?


A.エルフが10歳を迎えた日の朝、召喚してないのに枕元や部屋の中にシルフとかウンディーネがいる事がある。それを『守護精霊』と呼ぶ。その精霊は本人が死ぬまで常に近くにいて助けてくれる。


Q.(へぇ〜、凄い)全員のところに来てくれる訳では無い?


A.10人に1人か2人ぐらい。なんで来てくれるかは分からない。守護精霊がつくと『精霊に愛された者』と呼ばれたりする。


Q.そして、ハイ・エルフは守護精霊が付く事が多いと……シリルにもいるのですか?


A.うん。みんなも見たあの大きいの達がそう。


□ □ □


キース達は困惑するがシリルの表情は変わらない。いつも通りだ。


「ほら、呼んだでしょ。まだ『北西国境のダンジョン』にいた時に」


4人で顔を突合せ、訝しげに眉間に皺を寄せていたが、シリルの言葉にキースが「あっ」と声を上げた。


「まっ、まさか、あの2体ですか!?いやいやいや、だってどちらも上位精霊ですよ?助けてくれるだけでも大変な事なのに、それが2種類、しかも朝起きたら部屋に居たって……ええっ!?」


余りの事実に4人の目は見開かれ真ん丸だ。


「でも現に居たんだもの。わたしが呼んだ訳じゃないし。何を気に入ったのかもわからない」


シリルは『そんな事私に言われても』とばかりに肩をすくめる。


そう、『あの大きいの達』とは、水属性の上位精霊である『クラーケン』と、風属性の上位精霊『ジン』の事だった。


シリルがクラーケンを呼び出したのは、まだ『北西国境のダンジョン』にいた頃だ。


フルーネウェーヘン子爵を捕まえ、キースがエドゥー川の流れを昔の状態に戻す際、魔法で変えた後の川を霧で隠す為に呼び出された。


シリルの事が大好きなのに、別の場面で『ジン』を呼んだ事にへそを曲げ、約50年間拗ねている焼きもちやき。上位精霊らしからぬ残念な態度に、皆目を白黒させた。


片や『ジン』を呼び出したのは、その『北西国境のダンジョン』を確保し、最下層まで状況確認に向かった時だ。


下層域に入ったところで遭遇したドラゴン。自分達で排除するしかないとなり、ドラゴンの飛行能力を奪う為にジンに干渉させた。ついでに、ニバリの魔法に合わせて一撃入れてもくれた。


「シリルは勿論だろうが、ご両親も驚いたであろうな……」


「いくらエルフが風と水の精霊と親和性が高いとはいえ……ねぇ」


クライブが腕を組んで唸り、フランも困った様な笑顔を見せる。


「2人とも家の外にいたのだけど、わたしの部屋で大きな力を感じて慌てて入ってきた。あとで『腰が抜けそうになった』って言ってた」


「だろうね……」


守護精霊が付いてくれた事は嬉しいが、それが上位精霊、しかも2種類だ。エルフ(ハイ・エルフ)の長い歴史の中でも初めての事だろう。


「そういえば、呼び出す時に呪文の様なものを唱えていたよね?守護精霊はすぐ近くにいてくれるのでは無いの?」


「それは下位のシルフやウンディーネ。あんなのそこら辺にいたら大騒ぎだよ?だから呼ばないと来ない」


「そ、そうか。そうですよね」


人間の力では、1体だけでもまともに相手できない存在だ。用もないのにフラフラされては大混乱である。


「上位精霊2種類から力を貸してもらえるなんて凄い、どういう経緯だったのだろうと思っていましたが、向こうから押し掛けてきていたなんて……いやー何とも、はぁ……え、えーと、先に進む前にちょっと整理しましょうか。全てではありませんが色々判明しましたので」


□ □ □


・シリルは『深奥幽玄なる湖の畔』という集落の出身。両親と妹の4人家族。家族で各地を回って生活していた。両親とは久しく会っていないが連絡は取れている。


・シリル家族はエルフの上位種であるハイ・エルフ。普通のエルフより寿命が長く、1000年を超えて生きる。世の中にハイ・エルフが何人いるのかは不明。少ないのは間違い無い。


・『静謐無為の村邑』のエルフ達には『強制誓約(ギアス)』というものが掛けられている。それにより、シリルの言うがままに従う。


・シリルが2種類の上位精霊から力を借りられるのは、『守護精霊』としてシリルに付いているから。


「ではシリル、その『強制誓約(ギアス)』というものについてお尋ねしますね」


「わかった」

ブックマークやご評価、いいねいただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ