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第215話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ


連休に入っていた為更新が遅くなりました。家にいる方が忙しいです……

【前回まで】


キースは仲間内で、エスコートまでの説明と、今後の行動と目標について打ち合わせを行いました。なぜキースが急に王配への要請を受ける事にしたのか不思議でならないアルトゥール王でしたが、はっきりキッパリ『殿下をお慕いしている事に気が付きましたので』と答えられ、若干ひいています。


□ □ □


「それで、王配になる条件と今後についての話だという事だな?」


「はい、その前に一つ確認させてください。エストリア王国の『王配』とは、女王を公私両面で助ける存在、だが王権は無い、という事でよろしいでしょうか?」


「そうじゃな。その通りだ」


これが『王配』では無く『共同君主』(共同統治者)となると統治権が発生するが、キースは他国から婿入りした王子様では無いし、ほぼ王族と言っても良いぐらいに近い姻戚の貴族でも無い。『共同君主』となる事はない。


「ありがとうございます。イメージとしては、『プライベートな事にも強く関わってくる国務長官や補佐官』だと思っているのですが、いかがでしょう?」


「それは逆じゃな。言うなれば『一緒に公務を行う夫』だ。あくまでも夫が主だからの」


アルトゥールの言葉に隣に座るイングリットも頷く。


「承知しました。そうなると……常に同じ部屋に一緒にいるという訳でもありませんね?」


キースが執務室で業務を処理している時、イングリットは面会や視察に、などだ。


「そうだな。もちろん、助言などが欲しい状況が予想されるのであれば、共に来てもらう場合もあるだろう」


話の内容が、ダンジョンの所有権などの大きな権利の問題であれば両国に大きな影響を与える。対応を間違えれば戦争になる可能性もあるだろう。そういった繊細な話であれば、同席しても不思議では無い。


「ふむ……それはその日決まる事なのでしょうか?ある程度は事前に判っているものですか?」


キースの言葉にアルトゥールとイングリットが顔を見合わせ笑う。なぜ笑ったか解らないキースはパチクリと瞬きを繰り返した。


「お二方に言わせるのもどうかと思うので、横から失礼します。キース、陛下や殿下にその日に面会を申し入れ実際に会う事ができるのは、本当に、本当に極一部の者だけだ。様々な予定でずっと先まで埋まっているからな。今から面会予約を入れても、実際に自分の番が回ってくるのは何ヶ月も先の話なのだよ」


ティモンド伯爵が説明を受け、そんな事にも気が付かなかったキースは顔を赤くした。


「言われてみれば確かにごもっともです。いつも特別な計らいをしていただき、ありがとうございます」


「そなたらには会う必要があるし、単純に会いたいから会っておるのだ。そういう仕組みとして知っておればそれで良い」


アルトゥールの言葉にイングリットも笑顔だ。


「では、全ては予定が組まれていると……そうなりますと、やはり大丈夫そうですね」


「ほう?」


今度はアルトゥールが目を瞬かせる。実のところ、ここまでの話は、先程イングリットと2人で話をした時にだいたいの説明を受けている。だが、国王であるアルトゥールの口から出た言葉、考えという裏付けが欲しかったのだ。


「はい。お話を受ける条件なのですが、冒険者としての活動を続けさせていただく、というものになります」


「ほう!?」


瞬かせていた目が見開かれる。


「何と言っても、私はいつ、どこにいても戻って来る事ができますし、連絡を取りあう事ができます。『緊急時に王配がいないのは問題だ』と言われる方もいるかもしれませんが、知らせが届いたその瞬間に隣にいなければ、王城の内も外も一緒です」


連絡を取る時は『物質転送の魔法陣』でやり取りをし、もっと込み入った話をしたり、その場に居てもらいたいという事であれば『転移の魔法陣』で戻るのだ。


「ふむ……確かにその通りじゃな。そなたらがそれでそれぞれの役割を果たせるのであれば、儂が何か言う事では無いのう。ただ、貴族達の中には『王配は王城や王都にいるべきだ』と言う者は間違いなくおるじゃろうな。そこは事前に根回ししておいた方が良いだろう」


「そちらは基本的に私が対応いたします。お任せください」


イングリットが手を挙げる。


「王配についての正式発表はまだ先でございます。ですが、その話を少しづつ流す事で、そういう考えの者を炙り出します」


イングリットは目を細め笑う。少し悪そうに見える笑顔だ。


その後は説得(意味深)である。こういった場合、その人物が所属する派閥の長に調整を頼む事が多いのだが、相手や状況によっては直接話をする場合もある。


「分かった。何か手伝える事があれば言いなさい。条件については承知した。それで今後についてというのは?」


「はい。目標である白銀級には達してしまいましたが、王配になってもまだ冒険者を続けるに足る、新たな目標が見つかりました」


「ほほう!?」


「その前に一つ殿下に説明をしなければなりません。今この場にいる皆さんの中で、殿下だけご存知無い事がございますから」


キースの言葉に今度はイングリットが、首を傾げながら目を瞬かせる。


「……ああ、あの事か。なんじゃ、まだ言っておらんかったのか。とっくに知っておると思っておったわ」


「キース、私達に気にせず言ってしまって良かったのだぞ?その方が話が早かっただろうに」


アルトゥールと同様に、まだ話していないとは思っていなかったアリステアも意外に感じていた。


「本人達のいない所で言ってしまうのは違うなとタイミングを図っていたのですが、中々うまくいかずにずるずるときてしまいました。殿下、<探査>を展開していただけますか?」


「は、はい、<探査>ですね?分かりました」


話の流れが見えないイングリットは、戸惑いながらも<探査>を発動させた。


だが様子がおかしい。眉間に皺を寄せ首を捻っている。


「……あれ?なんで?おかしいな……ちょっともう一度やります。<探査>!……先生、私今日ちょっとおかしいみたいです。反応が……」


「それはおかしくありません。殿下の<探査>は正常な反応を示しています」


「ですが……皆さんの反応が……」


戸惑いながらアリステアらに視線を移す。


「そうです。私の仲間達の身体は魔導具でして。元の身体から意識と記憶、特性を移しているのです。私と一緒に行動する為に」


イングリットの口がポカーンと開いている。全く王女らしくないが、これはもう仕方がないと言えるだろう。


魔術師以外であれば「そんな魔導具あるんだ!凄いね!」で終わるが、魔法の専門家にとってはそんな簡単な話ではないのだ。まさに驚天動地の魔導具である。


「魔導具の詳細を説明すると長くなりますから、そこはまた後にして話を進めましょう。まずは自己紹介をしてもらいます。私達は良いですが、中の人が誰か分からないままなのも落ち着かないと思いますので」


そう言いながらキースがアリステアらを見ると、アリステアは頷き、服の下から白銀級の冒険者証を取り出し首から外した。それと同時に埋め込まれた魔石に魔力を流す。


それをテーブルの上に置いて、イングリットの方に押しやる。フランとクライブも同様だ。


「殿下、初めまして、というのも妙なお話ではございますが、ライアルの母、キースの祖母、アリステアでございます。息子と孫がお世話になっております」


ここまでの話で、イングリットの目は十分に見開かれていたが、挨拶を聞いてさらに大きくなった。


(こういうお顔や反応の仕方は本当に陛下によく似ていらっしゃるよな)


こんな場面であるにも関わらず、キースはそんな事を考える。


「殿下に海の神ウェイブルトのご加護がありますように、お祈りさせていただきます。お初にお目にかかります。海の神の神官、キャロルでございます」


そう言って、聖印を握りながら額の前辺りに掲げる。聖印から、黄色い球状の光が生まれ、イングリットの方にふわりふわりと漂ってくる。その光はイングリットの頭上までくると弾け、音もなく降り注いだ。光なのに温かさを感じる、神の祝福の光だ。


(これが……啓示を受けた神官様の祝福……)


見上げたイングリットの目にその輝きが映り込む。だが、眩しくは無い。温かさといい、まさに神の御業(みわざ)だ。


王都の各神殿の責任者である司教も、祝福の光を贈る事はできるが、ここまで多くはない。これだけの祝福を送れるのは、『神のお気に入り』であるキャロルだけだ。


「その夫で、『海の神の娘の盾』ヒギンズでございます」


ヒギンズには妻の様な特別な力は無い。だが、キャロルの隣にいる、それが証明である。


イングリットはその後もしばらく呆然としていたが、温くなり始めたお茶に手を伸ばし口を付けると、大きく息を吐いた。だいぶ落ち着いてきた様だ。


(そろそろ良さそうだな)


「では、なぜ祖母達がこの魔導具を使う事になったのか、経緯をご説明いたします」


その様子を見たキースが話を進め始めた。

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