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第187話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ

【前回まで】


キースは、エレジーアに仲間3人の事について指摘され、やり取りの中である事に気が付きました。一方、アリステア達は、冒険者ギルドでディックに計画を説明してから、ロワンヌ商会へと向かいます。


□ □ □


「皆さんいらっしゃいませ。無事のお戻り安心しました」


「ありがとうございます。奥様もお元気そうで何よりです」


アリステア達は、ロワンヌ商会の応接室で、商会のオーナーであるエレインと向かい合っていた。


ロワンヌ商会は、彼女の夫がオーナーに就いていた頃は業績も良く安定していたが、彼が急死し息子であるファクトが引き継いでから、雲行きが怪しくなってきた。


ファクトは、父親が生きている頃にはできなかった、服飾以外の商売にも手を出し始めたが、新規事業はどれも赤字続きで、商会の経営を傾け始めていた。


彼の若い頃からの悪友であるダルクと行動を共にし、地上げまがいの手法で店舗の買収などにも手を出していたが、『コーンズフレーバー』に手を出した事でアリステアの逆鱗に触れ、最終的には無一文で王都から大海原に旅立って行った。


あの二人から奪った商会とフードコートのオーナー権限を委譲され、エレインは商会に戻った。彼女は店舗や食品問屋との不平等な契約をすぐに見直し、適正な内容で再契約を結び、本業の立て直しとフードコートの管理、運営に励んでいた。


「今日はいかがされました?またアリステアさんのご用でしょうか?」


側仕えがお茶を淹れ下がったのを機に、エレインが切り出す。


「いえ、今日の用件はあの方とは少し関係している、といった程度でして。主に関係あるのはあの方の息子夫婦と孫になります」


「はい……」


エレインは不思議そうに首を傾げる。


アリステアとは『レース編み』で繋がっているが、息子夫婦や孫とは直接的なやり取りは無い。『何の用だろうか』と思うのも当然である。


「奥様は『北西国境のダンジョン』が確保された事はご存知ですか?」


「はい、聞き及んでおります。アーレルジのものになりそうなところをギリギリで確保した、と。あ、そうね、アリステアさんの息子さん夫婦とそのお仲間達が現地にいらしたのよね?」


(さすが老舗商会のオーナー、直接的には関係無いかもしれない話題でも、ちゃんと把握しているのね)


フランは表には出さないが内心感心した。ロワンヌ商会は服飾をメインとして扱っている。『ダンジョン?うちには関係無い』となってもおかしくない程かけ離れているが、世の中何が商売のネタになるか分からない。エレインはそこをきちんと理解しているのだ。


「さらに冒険者になった孫がそこに加わり、一緒に確保に動きました。その孫というのが、例の件で女の子の格好をしていたあの子です」


エレインの目は大きく見開かれた。


「あらあらまあまあ……あの魔術師の男の子が、アリステアさんのお孫さんだったなんて……」


「解決に直接関係無い話なので、あの時はあえて言いませんでした。驚かせてしまって申し訳ありません」


「いえいえ、とんでもない。ご本人にもお孫さんにもお世話になって……ありがたい事です」


そこまで話すと、アリステアは祝賀会とその際に供する料理の手配について説明した。


「確かにその人数では開催場所に困ってしまいますが、それにしてもまさかダンジョンで行うなんて……冒険者の方達ならではの発想ですね。それで『イクシアガーデン』のお店に、あ、これはあのフードコートの名前です。いつまでも『元ダルクの店』と呼ぶ訳にもいきませんので」


「イクシアガーデン……どういった由来なのですか?」


「はい、イクシアというのは私が好きな花の名前なのですが、この花の花言葉が『協力』『団結』なのです。あの店は一つの建物に複数のお店が集まっていますよね? 複数人で食事をする時、食べたい物がバラバラでも、全員の需要を満たす事ができます。それによって、お客様を他所のお店に逃さずに確保できています」


エレインはお茶を一口飲み喉を湿らす。


「という事は、あの建物に入って営業をしている全ての店舗は、お互いに他の店舗による好影響を受けているのです」


「一緒に営業しているだけで自然と『協力』『団結』している、という事ですね」


「はい。ですので、イクシアが集まる場所として『イクシアの庭』、イクシアガーデンと名付けました」


「趣旨がはっきりした良いお名前ですね。お店の方々も常に意識してくれるのではないでしょうか」


「ありがとうございます。それで、開催予定は13日後の11の鐘、全店舗終日貸切で、同時に飲食される人数は最大で800人と……うちが5店舗、そこに『コーンズフレーバー』ですから、各店舗120から130人前、冒険者で成人男性という事を加味して一店舗150人前が目安といったところですね」


「そのぐらいで足りるものでしょうか?」


参加者800人なら1000人分、などと考えていた自分達とは見立てにだいぶ差がある。


「こういった祝賀会などのパーティーだと、人数の8掛けが用意する料理の目安となります。料理の種類が多いですから、ほとんどの方は一品に対して通常の1人前分を食べる事はありません。そして、最初の鐘一つの間に全体量の7割程が消費されるといいます。それ以降は、様子を見ながら空にならない様に補充していくのです」


「ははぁ……なるほど。確かに、そう言われるとそうですね……」


最初こそ我先にと料理を取って回るが、それを2、3回繰り返すと食べるペースはグッと落ちる。


「料理の種類が多くなればなるほど、当然一品の量は減りますが、その辺りは各店舗に任せていただいてよろしいですか?」


「はい、店舗イチオシメニューのみにするも、細かく複数にするもお好きな様に。こちらは素人ですので、専門家にお任せします」


「予定日も、各店舗に事前に予約などが入っていなければ問題ないと思いますが、そこは確認が必要ですね……では、すぐに『イクシアガーデン』と各店舗の本店に遣いを出します。責任者達にランチ営業後に集まってもらって、確認と細かい説明をいたしましょう」


「ありがとうございます。そうすると、3の鐘辺りになりますでしょうか?」


「そうですね。どのお店も昼営業は2の鐘までですので。通し営業をしているお店もありますが、その時間ならお客様は少ないでしょうから、抜けてこられると思います」


「分かりました。それではよろしくお願いします」


「こちらこそ、王都には飲食店などたくさんある中で、私共に声を掛けてくださって本当にありがとうございます」


エレインが立ち上がり、深々とお辞儀をする。


「もちろん美味しいのが大前提なのですが、その上で、こちらなら色々食べられますしね。それに、やはり知っているお店にお金を使おうという事で意見がまとまりました」


「……嬉しいお言葉ありがとうございます。各店舗全力を尽くします」


「はい。ではまた午後、お店の方にお邪魔します」


アリステア達はロワンヌ商会を出て、『コーンズフレーバー』へと馬車を向けた。


□ □ □


城塞跡の遺跡→『北西国境のダンジョン』→王都の冒険者ギルドと転移してきたキースは、貴族街のヴァンガーデレン家の屋敷へ向かっていた。


ヴァンガーデレン家の屋敷は、かなり王城に近い位置にある。王城との距離が近い=長く続いている家、と思ってだいたい間違いは無い。


正門に配置している国軍の衛兵に挨拶をしながら、ヴァンガーデレン家発行の認識プレートを、読み取りの魔導具にかざす。プレートは薄青く光った


それを確認した衛兵が人用の門扉を開け、進もうとしたその時、横合いから声が掛かった。


「キースさん、お久しぶりです」


「タニスさん!お疲れ様です!ご無沙汰しております!」


声を掛けてきた衛兵は、『北国境のダンジョン』で衛兵隊の副隊長を務めていた、タニスだった。


ベルナルが管理官に就任する原因となった、ヴァンガーデレン家からの情報漏洩事件。


清掃員として雇われていたタニスの父親が脅迫を受け、屋敷内で見聞きした物事を記した書類を所定の手段で送り、それを最終的に川に流していたのがタニスだった。


だが、タニスの『文章内の固有名詞を書き換えて流す』という機転を利かせた対応により、ヴァンガーデレン家は国賊にならずに済んだ。


家の汚点を知っているタニスを、そのまま『北国境のダンジョン』にいさせる訳にもいかない為、ヴァンガーデレン家の目が届く所で仕事をする事となった。衛兵を辞めるという話もあったが、ちょうど屋敷の警備担当班に空きが出た為、『配置転換』という理由でそこに収まった。


「今までも何度かお邪魔しましたが、お会いしませんでしたね」


「ええ、配置しているのはここだけではありませんから。会えるかどうかはタイミング次第ですね」


「そうですよね……でも、お元気そうで良かったです」


「色々な負担が無くなりましたから、以前よりも元気ですよ。これも皆さんのお陰です。ありがとうございました」


タニスと別れの挨拶を交わし、屋敷に向けて歩いて行こうとしたところで、またもや声が掛かる。


「キース様、お迎えにあがりました。こちらへどうぞ」


馬車寄せで勤務をしているウッズであった。脇には馬車が停まっている。


「ウッズさん!?え、迎えですか?」


「エリーさんから『徒歩でお越しであれば馬車でご案内を』という指示を受けまして、お待ちしておりました」


「ありがとうございます!では、お言葉に甘えさせていただきます」


「どうぞどうぞ」


正門から屋敷は、歩くとなると15分はかかるだろう。歴史ある侯爵家の屋敷だ。敷地の広さは半端では無い。見えているのに中々辿り着けないのは、心のダメージも大きい。


キースが乗り込んだのを確認し馬車の扉を閉めたウッズは、屋敷に向けて馬車を走らせた。

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)


【ウマ娘】


遂にエイシンフラッシュさんが実装になりました!なけなしのジュエルで回しましたが、お迎えはできませんでした……

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