表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/341

第184話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ


【前回まで】


祝賀会を開いて両親達を労いたいキースは、開催場所と料理等の調達をすべく、アリステア達と事前調整をします。


□ □ □


「まず決めなければならないのは、『開催場所』と『飲食物の手配』です。とにかく人数が多いですからね」


「800人が入れて、その人数が満足できるだけの料理と飲み物か……」


「冒険者だからな、3割増ぐらいで用意した方が良いだろう。しかし、これは確かに途方に暮れてしまうな。王城でもこれだけ人が集まるパーティーはそう無いだろう」


「年始の舞踏会ぐらいかしら?」


「場所についてですが、もうここしかないでしょ、という候補地がありまして」


「ほう!もうそんな所を見つけたのか!」


「……まさか王城のお部屋を借りる訳じゃ無いよな?」


「いやいや、流石にそれは……それに、王家や貴族の方達には、できるだけ借りを作りたく無いなと」


大人3人組もうんうんと頷く。安易に飛びつくと予想外に高い借りになる可能性も十分である。


「候補地は、『北国境のダンジョン』の最上層です」


まさかの候補地に3人は瞬きを繰り返す。


「理由は、人数制限無し、賃貸料無し、王都から馬車で鐘3つとまあ近い、酔っ払っても無関係の人に迷惑が掛からない、と言ったところです。一度フロア全域を回って、魔物を排除する必要はあるでしょう。もちろん、結界の魔法陣も置きます。まあ、もし途中で湧いても冒険者800人ですからね、対応に不安はありません」


「た、確かにメリットも多いしアリかとも思うが……地形次第という点もあるだろう?」


「今日以降、上層域の構成を毎日確認してもらい、変化のタイミングを調べてもらおうと考えています。もし開催日直前にどうにも難しい構成、例えば『岩山』とか『廃墟』とかですが、そういった変化をしてしまったら、プランBである第二候補の場所を借りるしかありません」


「プランB……そんなものあるのか?一般的にはプランBというものは存在しないと聞くが……」


3人が首を傾げる。


「王都の郊外にあるという、ヴァンガーデレン家の別邸のお庭です」


「……」

「……」

「……」


『借りを作りたく無い』と言ったそばからこれである。


「実際に借りる借りないは別として、お話だけは通して確保しておく必要はあると思います。僕が行ってお願いしてきます」


「まあ、キースが頼めば、先約が無い限りは大丈夫だとは思うが……」


「はい、何かお礼になる様な物を用意してお邪魔してみます」


「場所は良いとして、『飲食物』についてはどうするの?ダンジョンにはあの母子の食堂しか無いじゃない?周辺にもログリッチさんのお店ぐらいしかないし」


料理人2人にウェイター見習いの少年では、のべ1000人分を超える料理や飲み物の対応など、とてもできない。


「はい、それも合わせて明日の朝調整に動こうと思います。僕はまず、ベルナル様の所に行ってダンジョンの件をお願いしてきます。皆さんはロワンヌ商会に行ってきていただけますか?」


「ロワンヌ商会に……?」


「キース、飲食物を用意するお店って、まさか……」


「はい、元ダルクの店に出店しているお店と『コーンズフレーバー』に発注します。どうせなら知っているお店にお金が落ちた方が良いかと思いまして。もちろん美味しいからというのが大前提ですけど」


ロワンヌ商会がオーナーであり、複数のお店が一つの建物に集まる事で様々な料理が楽しめる、『フードコート』形式の元ダルクの店と、王都一の南方料理店と名高く、冒険者御用達でもある『コーンズフレーバー』


確かにこの2店舗なら、皆が満足できる料理を出す事ができるだろう。


「だが、いくら冒険者数百人と一緒とはいえ、一般人をダンジョンに入れるのはどうなんだ?」


「それに、これはダンジョン内で調理するという事なの?衛生面がちょっと気になるわね」


「火や水の利用や厨房の設備はどうするのだ?そこまで遠くないとはいえ、調理道具を全て持って移動するのも大変だぞ?」


3人がそれぞれ思いついた疑問点をぶつけてくる。だがキースは余裕の笑みだ。


「ふふ、それは全部対応可能でして……」


キースが声を潜めると自然と3人も頭を寄せてくる。


(私達しかいないのに、なんで内緒話なのかしら?)


キースの話を聞きながら、フランは頭の中で冷静に突っ込んだ。



「確かに、それなら自分の店から動かずに調理できるな!」


「大量に長時間作らなければなりませんし、やはり慣れた場所が一番ですものね」


「だが、各店舗数人は現地に来てもらう必要はあるだろうな。配膳もしなければならないし、店に料理の追加指示を出したりはしなければならん」


キースの提案を聞いた3人は、それぞれ意見を述べる。


「よし、店舗との約束は、当日丸1日貸切で料理を作ってもらう、という事で良いんだな?支払いは調理した料理の合計人数分と、貸切の手数料、と」


「そうなります。ですが、大量に余らせてその分についても代金を払え、というのはもちろん認められません。現地スタッフと連絡が取れるのですから、無駄の出ない様に連携を取りながら作っていただきたいです。まあ、ここで悪評が流れれば、冒険者達はそのお店を避ける様になりますからね。その辺をそれとなく匂わせて、念押しをお願いします」


「分かった。祝賀会の開始時間は……当日朝移動する事を考えると……11の鐘ぐらいか?7の鐘過ぎに王都を出れば問題ないか?」


「そうですね。冒険者達はそれぐらいでしょう。お店のスタッフはそれより少し早くなるかな?もしダンジョンの宿屋に前泊したいという人がいれば、宿泊費の半分はこちら持ちとしましょう」


「キース、あのカウンターだけのお店で人数分賄える程作れるかしら?」


「あのフードコートのお店は全て支店で、どのお店も本店があると言っていました。ですので、調理する場所はフードコート内のお店でも本店でも、もしくはその両方でも、各店舗の都合の良い場所で作っていただければと思います。私達は皆に行き渡る分の料理が、滞り無く出てきてくれればそれで良いのですから」


「承知した。では、明日の朝一で行ってくる。お昼に『コーンズフレーバー』で合流して報告しあおう」


「了解しました!もしお昼に僕が来なかったら、そういう事だと思って気にせず食べてください」


「……分かった。大変だが他の人間では務まらんからな。よろしく頼む」


「はい……まあ嫌われているよりかは良いですし、ありがたい話ではありますから」


4人は就寝の挨拶を交わし、それぞれの部屋に戻って行った。


□ □ □


「ふたりともちょっと良いか?」


キースの部屋を出たアリステアは、後ろのフランとクライブに声を掛けて、自分の部屋に入った。


部屋の扉を閉めると、不思議そうな顔をしている2人に向かって満面の笑みを浮かべた次の瞬間、辛抱たまらんとばかりに小声で捲し立て始めた。


「あの子は一体何なんだ!?どう育てればあんな性格の良い子が育つんだ?本当に私達が面倒みていたのだよな?そもそも人間なのか?」


何事かと身構えたのは一瞬だけで、二人ともすかさず反応した。


「天使ですね」

「天使ですな」


夫婦の返事がハモる。


可愛くて素直で気遣いができる、あのレベルで三拍子揃っているなんて人では有り得ない、という事なのだろう。


「あれでまだ18歳だぞ!?実は過去世の記憶があって人生3周目とかじゃないのか?」


「確かにその方がしっくりしますね……」


「魔法関係の膨大な知識や技術も、3周分の積み重ねであれば納得ですな」


「ああ、もう、何て言ったら……本当に素敵な子だわ」


アリステアは、思わず言葉遣いが元に戻るぐらい感激していた。フランが背中を撫で、呼吸を落ち着かせる。


「はあ……ありがとうフラン。もう大丈夫だ」


アリステア最後に大きく呼吸をし伸びをした。


「もう興奮し過ぎです……気持ちは解りますけどね」


フランも呆れと笑顔が半々といったところだ。


「明日はそんなキースの期待に応えるべく、きちんと話をまとめませんと」


「そうだな!でないとキースに見放されてしまう」


それぞれ、キースに『あなたは役に立たないのでパーティを出ていってもらいます』とクビを宣言される場面を想像し、身震いした。


「では、今日はもう休みましょう。お休みなさいアーティ」


「ああ、お休み!いや~ほんと良いもの見た……良い夢が見られそうだ」

更新と展開については、いつも行き当たりばったりで「プランB?ねぇよそんなもん!」といった感じです

(;´Д`)


ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ