表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/341

第104話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ

【前回まで】


東側の部隊を退け南側の部隊の対応へ向かいます。デヘントは、小さい頃から知っているキースの余りの力に戦慄しました。南側の部隊は森に住む狼との戦闘に。被害を出しながらも狼を倒しますが・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


その声は、アレクセイの左後方から聞こえた。耳に息がかかるぐらいの距離だ。


(いつの間に!?)


「おっと、もちろん動いちゃいけねぇよ。脇腹から肺までのトンネルが開通するぜ」


アレクセイが慌てて振り向こうとするところに、デヘントが制止の声を掛ける。


ふざけた言葉だが、その声にはアレクセイだけではなく、部隊全員の動きを抑える威圧感が込められていた。


「全員ゆっくりと両手を上に上げろ。魔術師は歌を歌え。曲は何でもいい」


魔術師に歌を歌わせるのは拘束する時の定番だ。歌っていれば集中も魔力操作もできず、発動語も言えない為魔法は使えない。


デヘントは、小柄で細身、髪型もよくある短髪で、髪色も瞳も茶色と、特に珍しいものでは無い。その見た目と人当たりの良さそうな笑顔、巧みな話術と砕けた口調から、接しやすそうな雰囲気を醸し出している。


だがそれは、本来の彼の半分でしかない。


「話術」「注意力」「第六感」という特性を持つ彼は、冒険者としての彼は「暗殺もできる諜報員」であった。



その身に纏う雰囲気で何処へでもスルスルと入り込み、いつの間にか違和感無く溶け込む。


そして「様々な事」を成す。


正面から当たるのが、いわゆる「王道」であるライアル達のパーティ、裏から事を運ぶのがデヘント達のパーティだ。


「頭だけ動かしてゆっくり周りを見てみろ」


そう言われアレクセイが周囲を見渡す。


エストリア側の冒険者達が、怪我の治療をしようとひとかたまりになっていた仲間を、取り囲む様に展開している。


剣と盾を持ち今にも飛びかかって来そうな者、弓を構え木の陰で半身になり、矢をつがえている者、その後ろに杖を持った魔術師もいる。


狼との戦闘による多数のけが人、後ろから半包囲されている状況。


(これは・・・勝負ありか。しかし・・・)


アレクセイは考える。


(コイツらがここにいるという事は、駐屯地ががら空きという事だ)


(敵の人数は、ライアル達を除けば15人前後。ここにいるのも同じぐらいに見える。全員で当たった方が被害も少なくできるし、制圧の可能性も高くなるのだから、ここにいるのがコイツらの全戦力だろう)


(俺達がここで拘束されたら、駐屯地に連行されるだろう。だが、駐屯地は無人なのだからナーセン達が確保している。アイツらが不意を突いて動けば、俺達にもまだチャンスはある)


アレクセイ達はそのまま武装解除された後、猿轡をされ、後ろ手に縛られ、更に数珠繋ぎにされた。これで一人だけ逃げる事もできない。


「あ、一応教えておくが・・・東側から来ていたもう一つの部隊な、そちらも既に対処済みだ。まだイけるなんて思わん方がいいぞ」


(人手を分けて両方に対応していたのか?しかし、それではこちらに来た人数が多過ぎる。数が合わん)


「後、狼と一生懸命戦っていたが、あれもお前達の進路とぶつかる様に、こちらで誘導した結果だ。小路に肉の入った袋が置いてあっただろう?お前達はわざわざ密入国したのに、森で狼に齧られただけって事だ。ご苦労さん」


(コイツら一体・・・何でこちらが攻めてきているのが分かったんだ・・・)


「何で自分達の位置がバレていたのか不思議なんだろう?それは残念だが教えられねぇ。一生懸命考えてくれ」


(まぁ、いくら考えても正解には辿り着けないけどな)



アレクセイ達を駐屯地の倉庫に転がした後、今度は東側で地面に埋まっている、ナーセン達の部隊を掘り出しに向かう。熊には齧られなかった様だ。


拘束しやすい様に、少人数ずつ地面を変化させ、引っ張り出し縛ってゆく。


少々反抗的な態度の者もいたが、アレクセイ達も拘束された事を教えると、心が折れたのか大人しくなった。


同じ倉庫に入れると悪企みをする可能性がある事から、アレクセイ達とは別の倉庫に入れられた。


皆で会議室に集まり、今後の対応について話し合う。


「とりあえず、ビアンケの街の衛兵に引き渡すしかないな」


「最終的にはそうなるでしょうが、その前に色々話を聞いてみたいですね。誰かの指示でここを襲いに来たのでしょうから」


「そうだな・・・確認するのは、指示をした者、目的、他の計画の有無、そんなところか?」


「そうですね。尋問も両方の部隊のリーダーだけで十分でしょう。見た感じ下っ端ですから、あまり込み入った話は知らないでしょうし」


「よし、じゃあ1人ずつ連れてきて聞いてみるか」


まずはナーセンが連れて来られた。尋問が始まる。


しかし、ナーセンはから聞けたのは


「俺はアレクセイのせいで巻き込まれただけだ。ライアル達と使者のいない隙にここを襲う、という事以外は知らない。詳しい事はアレクセイに訊け」


という話だけだった。


「まぁ、そんな気はしていました。雰囲気的にも彼が全体のリーダーなのは間違いありませんし」


ナーセンを戻し、その足でアレクセイを連れてくる。


手こずるかと思いきや、アレクセイは素直に喋った。


・酒場で貴族の遣いという男に参加を呼びかけられた。

・報酬として破格の金と、その貴族家の認識プレートを提示された。

・駐屯地にいる冒険者を倒し、駐屯地を焼き払うのが目的だった。

・他の計画があるかは知らない


アレクセイも倉庫に戻される。


(随分と素直に話すな・・・というか、あれは素直と言うよりも・・・)


「何やら・・・投げやりな感じの人ですね。何もかもどうでもいいというか、やるだけはやるけど、ダメならもうそれでいいや、みたいな」


「キースもそう思うか」


「はい、自分の命にすら拘りが無い感じと言うと言い過ぎかな・・・? ちょっと人間味に欠けますね」


「あんなになっちまうなんて、あの男はどういう人生を送ってきたのだろうな・・・いずれにせよ、ろくななもんじゃねぇだろうが」


「で、先程アレクセイが言ってた貴族家、イザギレ家でしたっけ?デヘントさんはご存知ですか?」


「いや、ちょっと聞いた事ないな・・・誰か知っているかな?まぁ、誰も知らなくても閣下なら知っているだろう」


その時会議室の扉が開き、ビアンケ所属の冒険者が入ってきた。


「デヘントさん、閣下とライアルさん達が戻られたそうです」


「やっとか!しかしタイミングぴったりだな・・・計っていたかな?」


「まず間違いありません。駐屯地と冒険者が襲われただけなら惚ける事もできるでしょうが、そこに国の公式な使者が加わっては、話が大きくなってしまいます」


「確かにな・・・どうするキース、外で出迎えるか?」


「そうですね・・・まずは、メルクス伯爵へのご挨拶をしないといけませんよね?」


「挨拶は、閣下の様子を見てからの方が良いかもしれんな・・・じゃあ、とりあえずここに居てくれ。ライアルさん達を連れてくるから。お、そうだ。いい事思いついた」


ニヤリとしたデヘントは、キースに何やら耳打ちをして出て行った。



デヘントが外に出ると、ちょうど道の先の方からメルクス伯爵の馬車と、前後を挟むように二騎ずつ計四騎の騎馬がやってきた。


伯爵の居館の脇の馬車寄せに移動し待機する。


(さて、新任の担当者との話はどうだったかな・・・?)


馬上のライアルとは目だけ合わせて挨拶し、まずは伯爵の対応をする。


デヘントが馬車の箱部分の扉の下に踏み台を置くと、すぐに扉が開いた。デヘント達は伯爵の部下でも無いし、家の者でもないが、気が付いて手が空いていればこれぐらいの事はする。


メルクス伯爵という人は、自然とそういう事をしたくなる人物だった。


「お帰りなさいませ伯爵。今日は特にお疲れになられたのでは?」


伯爵が右の口髭を触る。発言前に一呼吸入れる時の癖だ。


「デヘント・・・そなた知っておったのか?」


「閣下がお出掛けになってから情報が入ってまいりました。事前にお伝えできず申し訳ありません」


「そうか・・・いや、そなたで分からないのであれば、仕方あるまい。気に病む必要は無い」


「ありがとうございます。しかし、お言葉に甘えずより一層努めてまいります」


「うむ、よろしく頼む。こちらは変わりなかったか?」


伯爵としては、自分が出掛けていた為、決まり文句のようなものつもりで言ったのだろうが、今日は違った。


「はい、こちらもつい先程片付いたところでございまして。閣下のご準備が整われましたらお呼びください。ライアルとご報告にあがります」


「・・・分かった。ではまた後ほどな」


そう言い残し伯爵は居館に入っていった。


「直ちにご報告を」と言えば伯爵はそのまま聞いただろうが、相手は完全に無力化し、こちらは被害も無い。夕食に使う肉が無くなったぐらいだ。そこまで急ぐ必要は無い。


デヘントの言葉を聞いて慌てたのは、ライアルパーティの4人だ。


「デヘント、何があったんだ?」


デヘントを取り囲む。


「まぁまぁ、ここじゃなんですので、とりあえず会議室へ行きましょう」


ライアル達が馬を繋ぎに行っている間に、デヘントは厨房の職員にお茶の用意を頼み、先に会議室に入る。


「キース、もうすぐ来るぞ。この衝立の後ろにでも隠れてろ」


「はい、分かりました!」


(お父さんとお母さん、どんな顔をするかな・・・ドキドキするな)

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ