第101話
【更新について】
書き上がり次第随時更新となります。
よろしくお願いします(o_ _)oペコリ
【前回まで】
王都を出て一路西へ向かうアリステア一行。キースの工夫で馬車旅を快適に進め、驚異的な速さで駆け抜けていきます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「メリダ」の街以降は、ちょうど良いタイミングで村や街に差し掛かる事が無かった為、野営をして過ごす事になった。
風呂にも入れて食事も美味しい、馬車の揺れが無い為疲れにくい。これだけ条件が揃えば、無理に街に泊まる必要も無い。
そして王都を出て6日目の午後、遂に北西国境の関所がある「ビアンケ」の街の手前までやってきた。
通常の速度の馬車なら半月はかかる1500kmの道のりを、5日と半日で走った事になる。
手前の高台から街を望む。
エストリア王国西側の国境になっている「エドゥー川」があり、そこに橋が架かっている。橋の両側に関所があり、奥がアーレルジだ。
ちなみに、エドゥー川は、もう少し北上すると北の国境であるトゥーネ川と合流する。
使節団と冒険者達が駐屯している拠点は、街から南へ鐘半分程の所にあり、高台の上から、エドゥー川と川向うのダンジョン入口を見渡せる位置にある。
街の手前で西街道から分岐する道があり、そちらへ入り道なりに進めば着くらしい。
「どうする?一旦街に入って明日合流するか?それともすぐに向かうか?」
「うーん、早く会いたいので行っちゃっても良いですか?」
「もちろん構わないぞ!じゃあ行こう」
(早く会いたいなんて・・・ふふ、可愛いな!)
西街道を進んでいくと、左側に分岐する道が現れた。そちらへ曲がり進んでいく。
しばらく進んだ所で違和感を覚える。広げられた魔力の中に入る感触だ。
「皆さん、どうやら<探 査>の魔法か魔導具で探知されている様です」
「この先は駐屯地しかないみたいだからな。いくら護衛もいるとはいえ、貴族で国の公式の使者だ。警戒は必要だな」
構わずそのまま進むと、道がさらに狭くなり脇に詰所が現れた。
その前に武装した男性が2名立っており、一人が停止の合図を出してくる。もう一人がさりげなく手を後ろに回した。
「こんにちは。この先は国の管轄する地域になるのだがご存知かな?」
笑顔だが、目つきや物腰には全く隙きが無い。
声をかけながら、油断なく馭者台のキースとクライブに視線を走らせている。
(銅級冒険者?この子供も?格好からすると魔術師だが・・・)
「はい、使節団の方々の駐屯地ですよね?そちらにいるライアルとマクリーンに会いに参りました。ライアルとマクリーンの息子で、王都冒険者ギルド所属、銅級冒険者キースとその仲間達です」
キースは冒険者証を通している鎖を首から外し、プレートに魔力を流して青く光らせた後、男に渡す。
(冒険者証は本人の物か。銅級冒険者というのは間違い無い様だが、ライアルさんとマクリーンさんの息子?魔術学院に通う息子がいるとは聞いた事はあるが、会った事が無いから判らんな・・・)
「来訪の先触れが無い場合、誰であっても責任者に確認してからの案内になる。ここでちょっと待っていてほしい」
「承知しました。お手数お掛けします」
もう一人の男が再度後ろに手を回した後、奥に向かって走って行った。
キースはその腰の辺りをじっと見つめる。
(録音の魔導具か・・・口で説明するより、やり取りを直接聞かせた方が間違い無いものな)
走っていった男、オリバーは、指揮所である建物に入ると、足を組んでお茶を啜っていた男に声を掛けた。
「デヘントさん、先程の感知の件なのですが」
「おう、どうした?」
「今詰所でラトゥールさんが対応してまして。こちらの確認をお願いしますという事です」
オリバーは腰のポーチから録音の魔導具を取り出し、魔力を流す。魔導具がほんのりと青く光り再生が始まった。
それを聴いたデヘントは腕を組みオリバーに目をやる。
「このキースという少年は、サラサラ金髪で緑の瞳、小柄で一見冒険者になんて見えない可愛い男の子、か?」
「はい、まさにその通りでした」
「ふむ・・・その見た目も録音された声も、俺が知っているライアルさん達の息子であるキースと同じなんだが・・・問題は何でこんな所にいるかなんだよな。しかも銅級冒険者ってどういう事だ?」
腕を組んで首を捻る。分からない。
「まぁいいか。俺も行って確認するわ。それが一番確実だろ」
デヘントはお茶を飲み干し立ち上がった。
アリステアとフランも外に出て待っていると、デヘントとオリバーがやってきた。
(お、あれは・・・デヘントか!久しぶりだな・・・)
「デヘントさん!」
キースが手を挙げて呼びかける。
「おおっ!キース!声と特徴で間違いないとは思っていたが、本当にお前か!どうしたんだよこんな所に!」
「この春に魔術学院を卒業して冒険者になりまして。卒業と就職の報告に来ました」
「そうか・・・もう4年だものな・・・卒業もするか。おめでとうな。それにしても、遠い所よく来たな。そちらはお仲間か?」
「はい!日々ご指導していただいています」
デヘントに挨拶をするべく、3人が前に出る。
「こんにちはデヘントさん、ご活躍は常々うかがっております。よろしくお願いします、先輩」
と言いながら、胸元から白銀級の冒険者証を取り出し、魔力を流す。
デヘントは唖然とし目を見開く。間にアリステアを挟んでいる為、キースからその表情は見えない。
「えっ、えぇっ?ちょっとなんd」
「初めまして。あなたに海の神ウェイブルトの加護があります様に、海の神の娘が祝福を贈ります」
聖印を掲げ、一番簡単な祈りの祝詞を呟く。聖印がほんのり黄色く光り、周囲に光のしずくが溢れる。神の祝福の光だ。
デヘントは理解が追いつかず目が開きっぱなしだ。
「いや、あの、どういうこt」
さらに隣りにいる男を見上げる。デヘントとの身長差は30cmはあるだろう。まさに筋肉の壁だ。
ここまでくれば、説明など無くてもこの人が誰だかわかる。
誰もが知っている「神の娘の盾」だ。
見た目は知らない若い冒険者なのに、今示された証からは、どう考えても、この世に二人といないあの大先輩達としか判断できない。
アリステアがさらに一歩近づき囁く。
「後で詳しく説明するから、今は合わせてくれ」
デヘントはガクガクと頷いた。
「そ、それにしてもこの間冒険者になったのに、もう銅級なのか?一体何したんだよ?」
デヘントが無理矢理気味に話題を変える。若干棒読み気味だが、この切り替えの速さは流石だ。
「北国境のダンジョンで、魔物暴走が発生した件はご存知ですか?」
「あぁ、一昨日ビアンケに行った時にギルドで聞いたな。でも、すぐに討伐されて被害者もいなかったそうだな」
さすがに距離があるだけに、情報が伝わるのに時間が掛かっている様だ。
「はい、その溢れた魔物を討伐したのが僕達なんです」
「・・・マジかよっていうか、これ何日ぐらい前の話なんだ?何か日数が合わなくないか?」
「あ~、僕達王都を出てからまだ6日目なんですよね・・・だからでしょうか」
「6日目ってお前・・・どんだけ距離あると思ってんだよ・・・とりあえず駐屯地に行ってゆっくり話そう」
「分かりました。お邪魔します」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
読んでいただいている皆さんのおかげをもちまして、無事100話を超えました。
これからもよろしくお願いします(´∀`*)
ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!
お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)




