驟雨
掲載日:2020/07/02
雨が降っているのに
月が見えている
雨粒の合間に星までも
ちらちら見え隠れして
妙な天気だと首を傾げる
息は結露して白く散る
良くないことと知っていて
ゴム長靴で踏みつけた
黒く澄んだ水たまり
波紋が揺れてまた消えるのを
黙ってじっと目で追った
跳ねた滴の行方は追えないままに
踏んだ足も引くに引けない
やらねばいいのにやってしょげかえる
良くないことは重なるもので
ぷつりと仕事へ足が向かなくなって
四日が経った
長年の何かしらの積もったもので
どこかしらの神経が擦り切れたと見えて
今日はどうかと靴を履いても
四肢はなしのつぶてのだんまりで
世界はぐらぐら回り始める
映画館でもあるまいに
いつのまに3Dメガネをかけたかと
ふざけたくなる可笑しさよ
雨が降っているのに
月は見えている
白く霧散する息の端に
触れて明滅する星屑を
ふいに見つけたこの夜に
月は滲んでひと際大きく
ひと時とふた時と
俯くことを忘れさせた




