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赤色  作者: 虎汰
3/4

黒い影の少女

凛導 リンドウ

正義のヒーローのレッド。正義感が強く、誰よりも強い心を持っている、流生とは幼馴染み。


流生 リュウセイ

正義のヒーローのブルー。冷静で周りをよく見て突っ走らない。凛導とは幼馴染みで海生とは兄弟。


ティア

正義のヒーローのピンク。少し強気で人の痛みが分かる優しい異国の少女。 ギーラとは主従関係。


ギーラ

正義のヒーローのグリーン。喧嘩っ早く視野が広く気が利く少年。 ティアの召使い。


海生 カイセイ

先代ブルーで、現取締役。 流生の実の兄。


ミコン

羽を持った謎の生命体。


グレン

闇の王


ノバラ

ゴスロリ少女


ガイル

黒い狼

凛導は街を1人歩いていた。

曇り1つない平和な空を見上げ伸びをする。まだヒーローとしての活躍は大きくはないが、情報が回るのは早く小さい子供から大人までヒソヒソとヒーローの話をしているのをよく見かけた。

内心嬉しい気持ちになりながら、途中で寄ったパン屋のパンを食べる。


「サクサクふわふわー!美味い!!これぞ、平和の証!……なんちゃって〜……って」


ふと、歩く道の先に1人の少女がベンチに座っているのが目に映る。なんてことない姿なのに凛導は、目を引かれた。

その少女はうつむき加減で泣いていた、凛導は見て見ぬふりが出来ずに駆け寄る。


「どうしたの?どこか痛い?」

「えっ……貴方は、だぁれ…?」

「あ、ごめんね。俺は凛導、キミが泣いているのが見えたから心配になって声を掛けたんだ、驚かせてごめんね、良ければ話を聞かせてくれない?」

「……凛導……さん」


少女の服装は気品のある少しどこかの令嬢のような服装でその上顔も整っており世間一般で言う美少女だった。

凛導は笑顔で語り掛ける、少女の涙はいつの間にか止まっていて、少しだけ笑みがこぼれる。


「不思議な人……初対面の相手なのに、心配した上に話を聞かせてほしいなんて」

「あ……ごめん。失礼だったよね」

「いいえ。とても、優しい人だなって思って」


クスクスと笑う少女の横で照れるように凛導は頭を傾げる。

朗らかに笑う凛導の瞳は優しい色を灯す、少女はその瞳をじっと見つめる。


「綺麗……」

「ありがとう」

「あ……私もう帰らなくては……ごめんなさい」

「いやいいんだよ!それに笑顔になってくれたから良かった、じゃあ気をつけて帰るんだよ」

「えぇ……ありがとう。あの、凛導さんまた会える?」

「うん、会えるよ!またね!」


凛導は去りゆく少女に大きく手を振る。

少女はそれを見て会釈を返しそのまま振り返ることは無かった。


「あ、あの子の名前聞きそびれちゃった……次に会った時に聞こうっと」


凛導はパンの袋を抱え直し、帰路へ急ぐ。


少女は、コツコツと靴音を鳴らし歩く途中ですれ違った疲れきったOLの女性とわざとぶつかると、大きく倒れ込む。

驚いた女性は少女に駆け寄り手を引いた。


「ごめんなさい!大丈夫?!」

「……あなたの闇とても素敵ね……ねぇ、もっと見せて?」

「え……」


少女の手が女性の頬から心臓の部分へと移動する。冷たい手は心臓を強ばらせ女性はいつの間にか闇の炎に包まれていた。

黒と紫を混ぜ合わせたかのような色はたちまち燃え上がり、女性の体は泥に包まれる。

まるで泥人形となった女性は通りすがる人々に襲いかかる。

響く悲鳴と逃げ惑う足音。少女は服に付いたホコリを払い傘を差す、姿は一瞬にしてゴシック調な服装へと変わり冷たい瞳が泥人形へと向けられる。


「うふふあはは、さぁその闇をもっと見せて?」


狂ったように笑う少女は影に消え、それと入れ違いで凛導たちヒーローがやってくる。

迷いもなく凛導たちは、人々を襲う泥人形を攻撃する。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

「なんて声だ!」

「待ってください!この方は嫌がってます!」

「そんなこと言ってもっ!!」


ティアにはハッキリと「いやだ、怖い、やめて」という女性のものの声が聞こえたのだ。

それでも、攻撃は続く攻防戦になり策もない。

その時ギーラが、泥人形の隙を図りとどめを刺す。


「ギーラ!!」

「……ティア様あんまり甘っちょろいこと言ってられませんよ、それに最後にはほら、ちゃんと元に戻るし…」

「そうだけれどっ!」

「おい、喧嘩はよせ。みっともない」


言い合いが始まる前に流生がティアとギーラの間に入る。

どちらも目が本気だった、ぶつかると予想打にしないことが起こる予感がした流生はため息をつきつつ呆れる。

凛導は周りを見渡す、周りに人は自分たち以外1人も居ない。


「……誰なんだ、こんなことするのは」

「おい!凛導、女性が何かを…」

「……おんな……の子……」

「女の子?」

「黒い……女の子…………」


それを言った後、女性の再び意識は切れた。

流生と凛導は顔を見合わせる。


「黒い、女の子……か」

「手掛かりになりそうだな、海生さんに報告しよう」

「ああ」


凛導たち4人は、やってきた救急車に女性を乗せ見送る。

その時、闇が4人の足元を掠めた。だがそれに気づくことは無かった。


凛導はあれ以来、その少女とよく会うようになった。最初に出会った場所で待ち合わせ、様々な所に出掛ける、それがいまの凛導の日課だった。


「あ、そのちゃん。ほらみて、大きなイルカ」

「わぁ……とても大きいですね、可愛い……」


『その』それが少女の名前だと知ったのはごく最近だ。警戒心が強いのか最初は一緒に歩く時も何故か半歩後ろだったり、少し手が触れただけでも思いっきり弾かれたことを覚えている。

人が苦手だと本人は語る、だがそれでも愛してしまうのだとその悪循環でよく自分を傷付けてしまい、人から嫌われるようになったという。


「そのちゃん。お土産見てこ?」

「お土産屋さん、見たいです」

「よーし、いこいこ!」


そのの手を引き凛導はショップに入る。

ショップには様々なものがあった、水族館の生き物をモチーフにしたキーホルダーやぬいぐるみ、ハンカチやお菓子など売っている。


「何か気になるものでもあった?」

「この、イルカのキーホルダー可愛いです」

「さっき見た子にそっくりだね!んじゃ、それ買ったげるよ!」

「えっ?でも、そんな申し訳ないですっ」

「いいのいいの、俺もお揃いで欲しいなって思って記念にさ!折角友達になれたんだし、思い出ほしいじゃん!」

「……友達……」

「うん!……あ、駄目だった?」

「いえ、とても嬉しいです!……友達、なんですよね私たち」


嬉しそうに笑うそのの表情に凛導は頬を緩める。

友達の証にと揃いで買ったキーホルダーをそのは大事そうに握り締める。余程嬉しかったのだろう、帰り道もニコニコした表情のそのを凛導は微笑ましそうに眺める。

そのキーホルダーは凛導の携帯電話に付けられた。


「ありがとうございます。凛導さん」

「いえいえ、こちらこそ!楽しかった、また遊ぼうねそのちゃん」

「はい!ではまた」


そのは笑顔で頭を下げ、迎えに来た黒スーツの男性と車に乗り去っていく。

黒スーツの男は丁寧に頭を下げ、運転席に周り車を発進させた。

去っていく車を目で追い見えなくなったところで凛導も基地へと急いだ。


「ただーいま」

「どうして分からないの!!!」

「そんなこと俺に言ったって分かるわけないでしょ!」

「え……何?」


基地の扉を開けた瞬間に飛び込んできた風景に凛導は戸惑う。

ティアとギーラが何やら言い合いをしているようだ。間に挟まれている海生はどことなく青い顔をして困っているようだ。


「ね、流生、ミコンこれ何があったの?」

「それが……」


流生は頭が痛いのか眉間にシワを寄せため息をつく、恐らく結構長い時間言い合いをしているのだろう。ミコンは凛導の元にふわりと飛ぶと耳元で呟く。


「声が聞こえるから少しは加減をした方がいいというティアと、加減は必要ないというギーラの意見で喧嘩しておるのだ……」

「あちゃー……」

「まぁ喧嘩するほど仲がいいとも言うが困ったな」


流生は手に負えないとでも言うように2階へと続く階段を上っていってしまう。

ミコンは2人を止めようと近づくが勢いに押され中々踏み込めなさそうだ。

海生に至ってはもう我慢の限界のようだった。


「もういいですわ!ギーラの分からずや!」

「あー!そーすか!いいですよ、ティア様の頑固者!」

「なっ!!頑固なのはギーラでしょう?!!」


ギーラがそっぽを向き、ティアに背を向けるように椅子に座る。ティアは怒り心頭状態で2階の階段をドタバタと駆け上がっていった。

凛導は思わずため息をつく、どうしてこうなってしまったのか頭を抱えてしまう。


「……仲良くしてくれ……」


そんな呟きは2人に届くはずもなく。

それは暫くの間4人を苦しめた。

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