これから、こんな事が続くのかよおおお……
自称16才、黒髪ロング、頭にはリボンの付いた黄色いカチューシャ、目はくりっとして黒目がち、鼻は小さめで唇は艶やかで少し色っぽい、胸は少し小さめで全体的にスレンダー、赤い大きな鞄を持ち、どこの学校かわからない制服を着て俺の部屋に来た美少女。知っている事は俺の事とそして俺の小説の事……「なんにも知らない、あなたの小説の事だけ知ってる」が口癖の少女……最後は盛りましたすみません。
「う……ん、むにゃ……」
隣で時折聞こえる結夢の声……今俺は、その超絶美少女と二人で一つのベットに入っている。
「くっそおおお、幸せそうに眠りやがって……」
初めは安心したのかな? 家の小生意気な妹と違い、可愛い妹と一緒に寝るってこんな気分なのかな? いとおしいな……なんて思ってた、思ってたが……
「寝れねえんだよおおおおおお」
寝れるわけがない、そりゃそうだよ……隣に美少女が寝てるんだぞ? 可愛い可愛い美少女が……俺に密着するように無防備に眠っている……腕に伝わる体温、可愛らしい寝息の音、そして結夢は時よりもぞもぞと動く、すると二人で一緒に使っている掛け布団の中から甘い匂いがふわりと漂う……あああああああああ!
駄目だ……もう我慢できない……
俺は男だ、健康な男子なんだ! こんな状態で何もしないで寝るなんて……出来るわけないんだあああ!!
「……おっぱいくらいなら……揉んでも……良いよね?」
さすがに寝ている時に襲うとか最低だと思うよ、でもさ、でも……ほら、あたっちゃうって事あるじゃん? 偶然に……えっと例えばさ、俺が寝返りをうって、偶然ね、偶然に俺の手がさ、隣の結夢の胸の上に~~なんて事も起こりうる環境だと思うんだよね。だから……ほら、同じ事だろ? 寝た後か、寝る前かの違い、謂わば倒置法みたいなもんだよね。
俺は意を決して横を向き、結夢に掛かっている布団をそっと捲る。
結夢の形の良さそうな胸が寝息と共に上下している……
俺はごくりと唾を飲み込み、その胸を見つめる……
「良いのかな、良いよね?」
俺はその寝息と共に上下している胸に、ゆっくりと手を近づける……
女子の胸に触るのは初めての経験……積もりに積もった妄想が……今、実現する!
「お兄ちゃん……」
今まさに触れようとしたその時、結夢声が!! や、ヤバイ、起きちゃったか!
「ひいいいいいいい、ご、ごめんなさい、ごめんなさいいいいい」
俺は慌てて謝った、そうだよね、寝ている間になんて、最低だよね!
違う、違うんだ、俺は止めようとしたんだ! でも何か声が、天から多くの童貞どもの声が聞こえたんだ、行けって触れって揉めって、だから俺のせいじゃ……
「う……うん、えへへへ……お……兄ちゃん……むにゃ」
結夢はそう言うと布団を自分で肩まで引っ張り上げ俺とは反対側に寝返りをうち、俺に背を向けた。
「……な、なんだ……寝言か」
良かった……いや、危なかった……もうちょっとで、人としてなにかを失う所だった。
俺は気を取り直し寝ようとしたが、今の寝返りで布団を半分以上結夢に取られているのに気付く。
今は10月、まだ冬には遠いが、朝晩は冷え込んで来る季節、布団は必要だ。
俺はとりあえず少し引っ張ろうと身体を起こして結夢の方を見た。
「……がはぁ……」
上半身は布団にくるまっていたが、下半身は布団から出ていた。今の結夢の姿は下着の上からロングのTシャツ、しかしTシャツはずり上がり、裾が腰に達している。
そう……つまり、丸出しだった。
「お尻……」
電気は消していた、しかしラッキーな事に、あ、いやいや、とにかくカーテンは閉めてなかった……なので街灯の明かりが部屋に差し込む……
結夢の形の良いお尻が、はっきりと見える。写真でしか見た事がない様なあられもない姿、チラ見ではなくはっきりと、ボーダーの下着と共に……はっきりと。
「誰だよ……チラ見じゃなきゃ萌えないなんて言った奴……」
染み一つ無い白く美しいそのお尻に俺は見とれてしまった。
さらにそこから伸びる細い太もも、長い足……芸術作品の様なシルエット……
「ぐっ……」
触りたい……でもさっきの考えが、俺の行動を制止する。
『寝ている間になんて最低だろ……』
俺は歯を食い縛り、布団をそっとかけた……でも誰も見ていないのに……触った所で……いや、駄目だ……
「俺はお兄ちゃんなんだ……お兄ちゃんは妹に欲望は抱かない……」
らのべじゃないんだから、現実なんだから……彼女は、結夢は今……俺の妹なんだから……
俺は涙を飲んで結夢に布団をかけると、そのまま再度寝転び天井を見つめた。
「でも……どうするんだこの先」
行く宛もない、そして誰にも頼れない、今知っている事は俺の小説だけ、俺の事だけ……
そんな状態になって俺の小説を覚えているって事は正直嬉しい、嬉しいが、場合によっては俺が捕まるかも知れない……
だからと言って出ていけなんて言えない……彼女を放り出すなんて出来ない……
だって……もうすでに俺は、彼女に愛着を感じているんだから。