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書くぞ!


 や、ヤバイ……ヤバイマジでヤバイ、ヤバすぎる……な、なんだこれは……


 攻守交代、今度は俺が膝枕をして貰う番に……いや前から思っていたんだが、膝枕じゃねえよ、もも枕だよ、太もも枕だよ……しかも太股のももではなく、もうこれは桃枕って言ってもいいんじゃないだろうか?

 柔らかいももの感触が後頭部に感じる。そして甘い香りが俺を襲う。下から見える胸の膨らみ、見た事の無いアングル、近いよ近すぎるよ……さらにその先には美少女が俺を見てうっとり微笑む……ああ、ここはももの国、ここは桃源郷……


「お兄ちゃん……どう?」


「ああ、いい気分だ」


「そか、じゃあいい子いい子してあげるねえ」

 結夢はそう言うとお返しとばかりに俺の頭をゆっくりと撫で始める、


「おおおおおお」

 女子に頭を撫でられるとか初めての感覚、な、なんだこれ……新手の風俗か?


「えへへへへ、お兄ちゃんなんか可愛い、ワンちゃんみたい」


「俺は犬か……」

 

「よちよち、いい子だねえ~~」

 なんだよこのプレイは、幼児プレイか! でもヤバい……これは……本当にヤバい……膝枕で頭撫でられるってこんなに際どい事だったなんて……


「えっと、そろそろ」


「もういいの?」


「あ、うん……これぐらいで」

 もう限界だ……本当にこれぐらいにしとかなければ……抜けられなくなりそうだから……


「じゃあ、お兄ちゃん次は何する?」


「次って……まだやるのか?」


「えーーー膝枕だけで終わり? お兄ちゃんの妄想ってそんな物なの?」


「いや、妹に膝枕して、さらにして貰うだけで十分な気がするんだけど」


「ダメだよ、今時膝枕で満足する読者なんていないよ!!」


「いやまあ……でもこれ以上って」

 恋人でもない、あくまでも相手は妹だ。実の妹とイチャイチャするって……線引きがわからねえ……そもそも俺は実の妹と何かしたいなんて思った事は無い……

 でも……だけどそれじゃ駄目だ。俺は妹物の作家なんだ……


「もうお兄ちゃん! 次はこれでしょ!」

 結夢はベットの上で正座をし大きく両手を広げた…………なんだ?


「えっと…………何?」


「ハグ」


「バグ?」


「誰が虫食いじゃああ、違うハグ!」


「パグ?」


「犬はお兄ちゃん! ハグ!」


「バク?」


「夢を食べる動物は人間!」


「なんで人間なん?」


「さあ? カタツムリにでも聞いて! 違うのハグハグハグうううううう」


「うおおおおお!」


「ぎゅうううううううう」

 結夢が勢いよく俺に抱きつく、俺の背中に手を回し強く抱きしめられる。

 やべえやべえよやべえよと、どこかのリアクション芸人みたいなセリフが頭の中に浮かぶが声は出ない。だって……気持ち良すぎる……結夢の胸がとてつもなく柔らかい胸が俺のみぞおちに食い込む、なんだこれ、二人の身体の間に何か柔らかい……そう、軟式テニスのボールが二つ挟まっている様な感触……結夢の腕の力が一定じゃない為に、その軟式テニスボールは前後左右上下と3Dに動く……ヤバイよ……そして結夢の頭頂部が俺の顎に……もう昨日から何度も嗅いでいる結夢の髪の香り……昨夜と比べシャンプーの香りが若干薄れているが、つまりそれは結夢の純粋な体臭に近づいているって事で……そしてその匂いはさらに甘く、俺の鼻腔と共に心をくすぐっている。


「ほら、お兄ちゃんもギュって」


「ええええええええ!」


「お互いがギュってしないとハグにならないでしょ!」


「そうなん?」


「そうなん!」


「じゃ、じゃあ」

 正直怖かった……これ以上密着するなんて、もう二人の身体が融合して一つになってしまうじゃないだろうかってそんな気持ちになっていた。

 でも多分俺も抱きしめないと終わらない、いや、終わらなくてもいい気も……


「お兄ちゃん早くう」

 結夢の腕がプルプルと震え出す。俺は覚悟を決め結夢の肩を抱える様に背中に手を回し、ギュっと抱きしめた。


「お兄ちゃん!」

「結夢!」


 抱きしめる、お互いが強く抱きしめる……これがハグなのか? ハグなんてした事無いからわからない……でも……何かわかる、身体が一つになる様な感覚、そして同時に心も一つになっていく様な……お互いの気持ちが一つになっていく様な、そんな感覚……


 暫くそのままお互い、力強く抱きしめあっていると、ある感覚が芽生え始める。

 邪魔だ、とてつもなく邪魔な物が間にあるって感覚が……そう……服が邪魔だ……もっとくっつきたい、もっと融合したい、でも出来ない、なぜならお互いの間に薄い何重もの布が……そうか……これが違いか……これが恋人と兄妹の違いか……

 

 俺はそれに気付くとゆっくり両腕の力を緩めた。


「お兄ちゃん? いいの?」


「うん……結夢……ありがとう……なんか……少しわかった気がする」


「……そか」


「ああ、ちょっと書いても良いかな」


「勿論だよお兄ちゃん!」

 俺は結夢から離れ机に向かいノートPCを開いた。

 今日は久しぶりに更新出来そうだ、しかも良い作品が……

 俺は一度振り向きベットの上でこちらを見ている結夢を見てニッコリ笑う。

 結夢も俺を見て笑ってくれた。


 さあ、書くぞ……ここから面白い話になるぞ! 俺はそう確信をしキーボードに指を走らせた。





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