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この度始めて連載小説を書かせていただきます。し〜まと申します。皆さまよろしくお願いします。未熟な部分も多いですが、皆さまが心から楽しめるような小説を書いていけるよう努力していく所存でございます。
彼女は突然僕の前に現れた。昼休み、いつものように食堂で昼食を済ませ教室に戻ったとき、いつもは空いている彼の机に彼女が座っていた。
「あ、ごめんね桐島くん。今動くから待ってね、、、」
彼女は藍元皐月。学年一の美女で、かなりモテる。しかし、彼女と交際をした男は長くても2ヶ月以内に別れるという都市伝説付きではあった。
「え、いやいいよ、俺今から隣のクラスに行くつもりだったから。」
友達と机を寄せて弁当を広げていたところを邪魔するのは良くないと判断した僕は、彼女にそのままで良いということを伝え、その場を離れた。
僕はいつも昼休みを過ごしている友達と、教室の黒板前で談笑をしながら、彼女のほうに視線を向けていた。彼女は友達と談笑をしながら弁当を食べていた。気がつくと昼休みは終わり、彼女は自分のクラスである隣の教室に戻っていた。
放課後、来週から中間テストが控えているので、家で勉強をすることが苦手な僕は、1人教室に残ってテスト勉強をしていた。隣のクラスからは賑やかな声が聞こえてくる。きっと仲良しグループで勉強しているのだと、簡単に頭の中で答えを出した僕は、その後気にすることなくテスト勉強を再開した。
テスト勉強を始めて一時間が経ったころ、教室のドアが開いて、昼休みに僕の机に座っていた彼女が目の前に現れた。
「あ、桐島くんもテスト勉強で残ってるの?」
「そうだよ。家じゃ勉強ができないから、テスト前は必ず学校で勉強してるんだよね。」
「へぇそうなんだぁ。じゃあ私もここで勉強していいかな?向こうの教室盛り上がりすぎて、勉強どころじゃないっていうか、、、」
どうやら、隣のクラスの賑やかな声は彼女とその友達の声だったらしい。
「いいよー、ここでよければどうぞ。」
「え!いいの?ありがとう!!」
その時の彼女の笑顔に一瞬ドキッとした。
そこから僕たちは、机を向かい合わせにして勉強を始めた。最初は集中して取り組んでいたけど、徐々に談笑を始め、最後にはペンを置いてしまっていた。
「桐島くんもこのバンド好きなの!?私中学生の頃から大ファンなんだ!でもまだ一度もこのバンドのライブに行ったことないんだよね。」
「それなら今度ツアーがあって、この近辺でもライブがあるらしいから一緒に行かない?」
彼女とまだ話すようになって間もないというのに、彼はまだ見えない"何か"に期待しながら、彼女をコンサートに誘った。
「ほんとに!?それなら行きたい!私チケットの取り方とか分からないけど大丈夫かな?」
「大丈夫だよ!俺がチケットまとめて取るから!」
彼は夢中で彼女を誘っていた。思いのほか乗り気な彼女に心踊らされていた。
時刻は最終下校の時間となり、教室の鍵を閉めその鍵を職員室に返却し玄関を出ようとした時、
「雨だ、、、」
外はポツリポツリと雨が降り始めた。今日は一日晴れの予報だったので、彼は傘など持ってきてはいなかった。彼が軽くため息をつくと後ろから賑やかな集団がやってきた。先程、バンドのライブを誘った彼女がいるグループだった。
「あ、桐島くんお疲れ様!今から帰り?」
「藍元さんお疲れ様。そうなんだけど、雨が降ってるから少し雨が止むのを待ってるんだよね。」
「ほんとだ結構降ってるね。私は折り畳み傘がカバンにあるからいいけど、、、桐島くんちょっと待ってて!あと、みんなは先に校門の前に行ってて!」
彼女は体を180度回転させると、来た道を走って戻っていった。他の子達は校門へ行き、玄関には彼一人残っていた。しはらくして彼女が玄関に戻り、左手に傘を持っていた。
「この前学校に置いてきたままの私の傘があったからよかったら使ってよ!」
彼女が渡してきた傘は、男の彼が持ち歩くには少し違和感を感じさせてしまうような見た目で、彼は流石に遠慮した。
「いや借りるなんて悪いし、その傘は藍元さんがさして帰りなよ。」
「うーん、でも私は折り畳み傘があるし、桐島くんが濡れて帰って風邪引いたりしたら嫌だし!ほら!受け取って!」
彼女の圧に押され、彼は渋々傘を受け取った。
「わかった。藍元さんありがとう!」
「うん!それじゃあまた明日ね!」
彼女は校門で待っている友達の方へ走って向かって行った。
雨の中、彼は彼女から受け取った傘をささずに帰っていた。別に傘を開くことが恥ずかしかったわけではない。彼は明日彼女に傘を返す時のことを考えていた。ここで傘を開いて、万が一汚してしまったりしたらと考えたら、傘を開くなんて到底出来ないと思っていた。そして、彼女が去り際に彼に放った言葉を思い出していた。
(桐島くん濡れて帰って風邪引いたら嫌だし!)
そんな心の底から出たような、綺麗な言葉をかけられたのは初めてだった。頭の中で何回でも再生され、再生すればするほど、どんどんと彼の中で都合よく解釈されていった。
家に着くころには彼女のことで頭がいっぱいになっていた。風呂に入り食事を済ませ、明日の身支度を済ませ布団に入る。今日一日がとても充実していたような不思議な感覚が彼にはあった。そして彼は携帯を開きあることに気がついた。
「そういえば、藍元さんの連絡先知らかった。明日にでも聞いてみるか。」
そんなことを考えながら投稿型のSNSを覗いていると、藍元さんの投稿を見つけた。お互いがお互いをフォローすれば、ダイレクトメッセージでやり取りができると思い、彼は直ぐに彼女のアカウントをフォローした。
彼女からの反応を待っていたが、気がつくと彼は眠りについていた。
改めまして皆さんこんにちは、し〜まです。
今回は簡単に彼が彼女のことが気になるまでの話を書かせていただきました。次回から一気に彼女との展開を広げて行こうと思っています。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!次回もよろしくお願いします!