2章 1話~平行世界
またしてもあの子がいる世界は何処にもなかった。そして、いつものゾンビ達によって支配された街、死んで行く魔法少女、ゾンビなって行く人々。
「結局、こう言う結末になるのね。あの子がいない世界なんてどうなろうと構わない。でも、次があるのなら今度はあの子に会えると良いな」
「何をしているんだいカナメ、君の仲間が死んだ今、ゾンビ達に立ち向かえるのは君だけだよ」
「ミチベエ!、貴方には随分と世話になったわ。今すぐにでも貴方を八つ裂きにしたいけどもうここには様はないわ。ここでお別れね」
「何を言っているのか分からないよ。仲間の分まで君は戦わなければいけない」
忌々しい、お前が何の目的で魔法少女にさせたのかはこの私が分かっている。何故なら何度も同じ事を繰り返したから。
「残念だけど私に仲間なんていないわ、所詮平気で私を裏切る奴等なんだもの。今まで協力していたのは理由があったからしたまでの事。でも、その準備は整ったわ」
「君は一体何をしようとしているんだい······まさか」
「じゃあ、私は行くわ」
そう言って少女はスマホを操作して上に手をつき出す。するとみるみると少女の体が光出して霧のように消えていく。
「私の仲間はあの子だけ、待ってて次こそ貴方を見つけて見せるから、アケミ」
こうして少女はこの世界から完全にいなくなった。ミチベエは消えた少女を見終えたあと喋り出す。
「してやられたよ、薄々君の事はどこか違う存在だとは思っていたけどまさか、違う世界線の住民だったとはね。変だとは思っていたよ、君と最初会ったときには既に魔法少女として動いていたからね。まあ、良いよ、まだまだ魔法少女としての人材は残っているからね、その人達に頼らせてもらうよ。僕の目的の為に、そして、行く行くは君が渡ってきた世界線にも影響をもたらすだろうね。そうなる日がもうすぐ来る筈さ」
ミチベエは不気味な目を光らせて暗闇に消えて行くのだった。