-出会い- Side Blue
驚いた。
新入生あいさつをした女子生徒、見覚えがあると思ったら、今朝見た「夢」に出てきた男と全く同じ髪と目の色をしていたのか。
何度も繰り返し見る、不思議な「夢」。
自分と親しげにしていた白と金の男は、突然自分を置き去りにしてどこかに行ってしまう。
確か、夢の中での俺は、あの男のことを「ハク」と呼んでいた。
「アーオーイー!何ボーッとしてんだよ、学校施設お試しタイムだぞ!行こーぜ!」
…うるさいのが来た。
光月学園で仲良くなった「立花柊」。
サッカー部に入部してすぐに絡んできた。
チャラいが結構良い奴だ。
「柊、学生証持ったか?」
「当たり前だろー!これ無きゃ学校施設使えないんだぞ!」
「お前のことだから、あの子カワイー、とか考えて話聞いてなかっただろうと思って。」
「まぁ、それも考えてたけどさ!うちのクラスだと10番の…カズネちゃん!が可愛かったよな!可愛いってか美人系?しかも頭良いんだろ?カンペキかよ!!」
そう言った友人に何故かムカついて少しキツイ言葉を言ってしまった。
「ホント、お前じゃ全然釣り合わねーくらいな。」
「ひっでー!サッカーバカの蒼伊には言われたくねーよ!」
ちょっと言い過ぎたかと思ったが、コイツは全然気にしていなかったらしく、早くも次の話題を出した。
「ってかさ、カズネちゃんも良いけど、Bクラスにモデルの星本燈ちゃんがいるらしい!」
「…そのモデル、有名なのか?」
「蒼伊、もしかして知らねーの?」
「テレビとか見ねーからな。どんな奴?」
「印象的なのはやっぱオレンジの髪だな!顔もカワイイ。特に、笑顔が超カワイイ!」
ハイテンションの友人に着いていくのが面倒くさくなって適当に言葉を返す。
「はいはい、じゃ、まずサッカー場行くか。」
「あれ、今の話聞いてた!?」
「聞いてた。が、興味はねぇ。」
「悲しい!でもサッカー場は興味あるな!行こー行こー!」
うるさい友人と話をしながら、とりあえず教室を出てサッカー場の場所を確認する。
「あっちだな。この渡り廊下から棟に入れるらしい。」
「体育棟…だっけ?バスケコートとかも同じ棟にあるんだったよな?」
「あぁ。全階見てみるか」
「賛成ー!ステキな出会いがあるといいな!」
またアホなことを言う友人にため息をつく。
すると、隣にいた友人が驚いたような声をあげた。
「なぁ、蒼伊!あっちから歩いてくんの、カズネちゃんじゃね!?うわー、なんか緊張する…」
「なんでだよ、ただのクラスメイトだろ…」
口ではそう言ったものの、気になってちらっと顔を見ると、目が合ってしまった。
すると、それに気付いた白澄が近づいてきた。
「藍姫、あなたのこと、私、知ってる。」
…ランヒメ。夢の中で俺は白と金の男にこう呼ばれていた。
「…っ何で、その名前を知ってるんだ」
「あなたも、私のこと知ってるはず。さっきの自己紹介のときの驚いた顔。心当たりがあるんでしょう?」
あの時頭に浮かんだ人物はこいつと同じ髪と目をしていた。
「…ハク…なのか?お前は」
恐る恐るその名前を口に出す。
それを聞いて白澄が顔を綻ばせた。
「やっぱり知ってた。これから1年よろしくね、アオイ…さん。」
そう言うと白澄は昇降口の方へ歩いていった。
突然の事で頭が追いつかなかった。
ランヒメ、ハク。
全て俺の「夢」のはずなのに、なぜ、あいつは知っていた?
もしかして、あれは「夢」ではないのだろうか。
「あ、蒼伊!どういうことだよ、まさか知り合いだったのか!?紹介してくれよ!」
「…初めて会った…はずだ。」
「マジかよ!お前だけ話かけられるなんて羨ましすぎるだろ!」
何が起きたか分からない友人は俺とは別の理由で混乱していた。
「と、とりあえず、体育棟行くぞ!」
俺は逃げるように体育棟の方に歩いていった。
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体育棟に到着して、俺達は呆然とした。
「…なんだここ…地下にサッカーグラウンドかよ…」
「すっげー…光月中のグラウンドより広くねーか…?これ。」
友人の言う通り、体育棟の地下に造られたサッカーグラウンドは馬鹿でかいもので、サッカーの名門中である光月学園よりも広いように思えた。
「ここでサッカーできんのか…やべぇ、テンション上がってきた…!」
「マジ、楽しみだな!あ、そだ。蒼伊!上にも行ってみようぜ!」
「おぅ。バスケコートとかテニスコートとかもこの棟にあるんだったよな?」
「あと、柔道場とか弓道場とかもあるはず。」
…どんだけ豪華な設備なんだよ。
確かここの棟は高等部専用だった気がするんだが。
「金かけてんなー、さすが天上学院って感じだ。光月学園も豪華だったが比じゃねぇよ。」
「それな〜!」
友人とそんな会話をしながらバスケコートまで移動した。
「ここか…って、あれ?なんか音聞こえね?」
確かに、耳を澄ませるとバスケコートからボールの音と話し声が聞こえてきた。
「柊、行くか?」
一応確認するとノリノリな返事が返ってきた。
「行く行く!だって、気になんだろ!」
静かにバスケコートを覗くと、ボールを持った緑色の髪と目の男子生徒と、その男と会話をする橙色の髪と目の女子生徒がいた。
「あ、蒼伊!あのオレンジの女の子、星本燈ちゃんだ!話しかけてくる!!」
「おい柊、待て!」
「ごめん蒼伊!待てない!行ってきます!!」
教室で話を聞いたモデルを発見し、暴走する親友を追いかけて、俺は「緑」と「橙」のいるバスケコートに足を踏み入れた。
こんばんは、木星寿比汰です。
第2話お読みくださりありがとうございます。
この話は、第1話とは視点を変えてのお話でした。
メインとなるキャラクターたちもちょっとずつ出せてきました。
この先も、視点を変えたり変えなかったりしながら少しずつ更新していきたいと思っております。
質問、感想など、Twitterなどでもよろしくお願いします!
最後までお付き合い下さりありがとうございました!
木星寿比汰




