昼食消失事件
1
ある日事件は唐突に起こった・・・・・
それはお昼休みの事・・・
昼食を告げるチャイムと同時に生徒の叫び声やざわつく声でこの学校はうめつくされた。
「えぇぇぇぇぇ!?」
「なんだぁ~??」
「どうしてぇ~???」
そしてその驚きの声を上げたのは僕も例外ではない。
あるはずの、昼食が何処にもない!
僕は、今日の持ち物を準備するところから色々と考えてみるが、間違いなく今日も持ってきている。
当たりを見回すと、クラスメイト達は僕と同じ境遇らしい・・
「ないことで、益々お腹が減ってきた。」
珍しいというより、奇怪すぎる状況に色々可能性を模索してみるが、答えが出てこない。
「これは・・・異世界に飛ばされたのか!?」
一人呟くと、嬉しそうに寄ってくる一人の人物。
「そう!!これは、ゲートが開いたのだよ!!まさしく異能の仕業だ!!」
大きな声で叫ぶこの男はマントを翻し、勝ち誇ったように高笑いする。
もちろん、周りのクラスメイトはドン引き状態だ。多分、ワザと皆に聞こえるような大声で言ったのだろう。
僕にまで、周りの目が冷たいものとなっている。
つい思ったことが口に出たことを僕は後悔しながら思った。
(もはや、この手の台詞はこの男の召喚呪文だな・・)
「なぁ、ところでイオタ。こんな噂を耳にしたことはないか?」
周りの目を気にせず鈴木君は話を続ける。
(人前でイオタ言うな・・・・・・)
僕はそう思い、机に肘をたて彼から顔をそむけたが、彼は気にしてないようだ。
「ここ最近、ほかのクラスも同じ被害が出ているようだ。それどころか、ほかの学校でも同じ現象があるらしい。」
彼は、何処にそんな情報網があるのだろうと時々関心してしまう自分がいる。
「そんな手広く弁当や食事だけをピンポイントで普通盗めるもんだろうか・・」
鈴木君は、たまに真剣になり、核心を突くようなことを言うのだ。
僕は唾をのんで、彼の話に期待を寄せる。
空腹もあり、犯人がいるなら皆知りたいと思っているのだ。
「これは・・・・流石のカイザーにもわからんな。はははははは」
多分、これを聞いてたクラスメイト全員彼を殴りたかったであろう。
2
放課後、再び事件が起こる・・・
それは部室の扉の前で聞いた先輩の怒号から始まった。
「貴様か!?貴様がやったのか!!??」
急いで部室を覗くと、半分涙目の先輩が鈴木君の胸倉をつかみ激しく振り回していた。
鈴木君は首を絞められすぎたのか半分意識が無い状態だ。
「ちょ!?・・どうしたんですか!?」
僕は先輩を落ち着かせようと、二人の間に入り鈴木君を引き離す。
「どうもこうもない!?見てみろ!!」
先輩の指さす方向には、鈴木君に買わせたあの最中の箱があった。
「最中が・・・・・私の生命線が・・・・」
箱を覗くとすでに一つも残ってはいない。
「全部食べてしまったんですね。」
僕がそう答えると怒涛の反論が返って来た。
「そんな訳は無い!!1日1つと倹約を重ね、残りも幾つあったか把握していた!!しかも、こいつは私よりも早く部室に来ていたのだ!!犯人はこいつで間違いない!!」
僕は思った。彼がこれに手を付けたら、たとえ今の先輩でなくても、ただでは済まないことぐらい理解しているだろう・・・日頃、鈴木先生と先輩にはそれほど彼はビビっているのだ。
「いや、彼がそんな命知らずな行為をするとも思えません。」
僕は興奮気味な先輩を諭すように発言する。
「では、誰がこれを持っていったのだ!?お前、何か知っているな?!!」
先輩の鋭い眼光が僕の方に向く。
半死の悪友を助けたせいで、僕は命の危機に立たされてしまいそうだ。
「いやいや、知りませんって・・僕も昼間、お昼に用意したものをやられてますから。」
野獣のように今にでも襲い掛かってきそうな先輩に、恐る恐る弁解する。
しばらく今にもかみつかれそうな形相で睨まれていたが、次第に頭の中を整理できたのか、犯人が僕ではないことを納得すると、天井に向かって叫びだした。
「おのれ!!!何処の誰かは知らんが、見つけたら只ではおかんぞ~!!!」
もう今日は部活どころではないようなので、そーっと部室を後にした・・・
(触らぬ先輩にたたりなし・・・・・・・)
3
部室から抜け出し、今日は一人で帰宅していた・・・・
帰り道、昨日の公園にはまた犬や猫がたくさん鳴いていることに気が付き、ふと覗き込むと昨日の少女がそこにいた。
ぼくは、何となくその子の方に足を運ぶ・・・・
「やぁ、こんにちは・・あ、こんばんわかな?・・・」
初対面ではないつもりの軽い挨拶だったが、思わぬ返事が返ってきた・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ロリコン」
僕は、動揺した!
「ちょ!?そりゃないよ~!!」
「じゃぁ、何?」
女という生き物は、こんなに小さくても男を動揺させて楽しむのか!?挨拶したら即ロリコンとは・・
「・・・・昨日、連れとしつこくした事、謝りたくて声かけたんだ。」
少女は一瞬空を見上げ、考えた。昨日の出来事を思い出しているのであろう。
「ああ・・・あの時の・・」
どうやら、思い出してくれたようだ。
「この子達は野良?」
周りを囲むように居る犬や猫を見回して彼女に質問した。
「・・・・この子達は、我がしもべ・・家臣・・・・」
(やばい・・僕は又、地雷を踏んだのか?そうなのか??)
僕でなくても、この娘の発言は常人のそれではないと気付いたはずだ。
容姿こそ小学生位で愛らしさがあるものの、このゴスロリ風の恰好に、この発言・・まさに中二病を疑った。
僕はちょっと話しかけたことを後悔していたのだが、また意外な質問が飛んでくる。
「野良というのは・・・何?」
ちょっと回答に困った。
(これは、本当に知らないのか、ボケなのか・・)
正直、この年位の女の子は嫌いだ。返答を間違えたらデリカシーのない一言が容赦なく飛んでくる・・
(真面目に答えて、知ってるよバーカとかキモいとかいわれないだろうか・・)
僕を苦しめるには十分な質問であった・・・・
「・・・・・大人の人に飼われてる家がちゃんとある子達が飼い犬、飼い猫。自由に、そのへんで寝泊まりしているのが野良。」
(これで、正解か???どうだ???)
一世一代の大博打でも打っている気分だ、精神力をかなり消耗している・・
そして、少女は呟いた。
「・・・・じゃぁ、わたしも野良だ・・・・・」
4
僕は益々、この娘の扱いに困っていた。
(え・・・・野良?・・家出少女!?)
恐る恐る少女に質問をしてみる・・・
「え・・・と・・・何処に住んでるの?」
少女は、僕を一瞬見てまた呟く。
「・・・・・・・・・・・・ストーカー・・・」
「いや!違うし!!心配だったから聞いてみたのっ!!」
もはや、突っ込みに近いテンションでいう。
「何を心配だというの。赤の他人が・・・・・・」
そう、気軽に声をかけたつもりが、もはや彼女にとってはお節介となりつつあるのであろう。
でも普通、こんな少女が家出した事実を知って放っておけるはずもなく、昨日の朝顔の態度を謝るはずが、僕はもっと土壺の中だ。
まさに、ミイラ取りがミイラになる・・である。
「・・私や家臣を心配するのは勝手だが、これ以上かかわらないで・・・・・・」
彼女は面倒そうに下を向き、犬や猫の相手を始めた。
何となく、その場を立ち去りずらい状況に、周りを見渡すがよく見ると犬や猫はその場に落ち着いて横になってるやつが多い。
これだけの数がいるのに喧嘩一つしておらず、なんだか見れば見るほどに不思議な光景だ。
「すごいね・・・・・みんな仲がいいのかな・・・・」
思わず口に出た。
「喧嘩禁止と言い聞かせた・・・・あと、満腹で気が落ち着いている・・・」
僕の台詞に、彼女は解説を始めた。
「ここの動物たちは元々、気が優しいものばかり。喧嘩するのは、殆ど食べ物・・・」
ぼくは、凄いと思いつつ、少し納得した。皆、ここに居る犬や猫は飼い猫に近い雰囲気だ。
「この子達のご飯は・・・・・・」
そう言いかけて、公園の茂みの影にある物を発見してしまった。
それは大量の弁当箱やら、ビニールやらが山積みになってる・・・
そして、足元に1枚の紙きれが飛んでくる・・・
部室で無くなった最中の包装紙・・・
(ま・・・・・まさか・・・・・・)
飄々と、空を眺める彼女を見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「・・・・ここは、平和でいいところだね。」
微笑をうかべる彼女に僕は、名前を改めて聞くことにした。
「君の名は・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・変態・・・キモい。」
やっぱりこの年頃の女の子は苦手である・・・・
ご拝読ありがとうございます。まだまだ、読み返すと、間違いがあるかもしれません・・・・
脳みその中にある話の整理がへたくそで、もどかしい・・・
文章力がとぼしいですがよろしくお願いいたします。