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視線

「ふふふ・・・・面白いことみつけた・・・・・」


海たちが眼帯作戦を決行中、派手な化粧のこの高校とは違う制服を着た、女子高生が剣道部の部室をのぞき見しながら呟いていた。

あからさまに、何かを企む表情は見るからに怪しい。


「さて、どのタイミングで登場しよっかな~♪」


海たちが気付く前に鼻歌交じりでスキップしながら部室の前より立ち去って行った・・・




雪代先輩が部活に出てきて、数日が経つ。


まだ、道場の修理は完了していない。一人の時であれば日課の部室掃除をしている所なのだが・・・


あれから毎日、基礎体力作りと称されて竹刀を持った先輩に追い掛け回されていた・・・


一人でトレーニングをやるよりも、当然効果がてき面なのは理解できる・・


しかし、いきなり体が壊れそうなほどの運動量を求められ、しかも少しでも休もうものなら先輩の怒号と竹刀が飛んでくるのだから、怖くてきつくてここ何度もへこたれそうなりながら日々を送っていた・・・


帰宅途中ー


「いてて・・・・」


今日も、体中の関節や筋肉が悲鳴を上げている・・・


「大丈夫?海、最近頑張ってるもんね。」


隣を歩く幼馴染が心配そうに僕の顔を覗き込む。


「全く、鈴木君とつるみだして心配したけど、武道に目覚めたのはちょっと関心。」


(つるむって・・・・・つるんでませんから・・・)


剣道を始めたなれそめを朝顔に聞かれたらがっかりするだろうと思い、苦笑いをうかべた。 


「でも、初心者なんだから無理は駄目だよ?」


(そのセリフ、先輩に言ってください・・・・)


朝顔の親切から出る台詞に、心の中で突っ込みを入れるほど僕は周りに流されていると自覚する・・


「好きでやってるから、心配有難う。」


朝顔に言ったお礼だが、半分は自身に言い聞かせる為に出た、言葉だった。


「ところでさぁ、聞いて聞いて。」


朝顔は話題を振って来た。


「最近そこの公園に、ものすごくかわいい子がよく居るんだけど野良の子猫やら仔犬とよく遊んでるんだ。」


昔から、朝顔は無類の動物好きである。部屋の中は、犬やら猫やらの写真で溢れていて休み時間とかよくネットで動物の動画なんかを眺めているようだ。


「ふーん・・・・」


僕は正直興味なかったので、返事もちょっと薄っぺらい。


公園の入り口を横切る時に、朝顔は公園をキョロキョロと見回す。


「あれ~今日はいないかぁ~・・・・」


朝顔はがっかりした声でそう言い公園の入り口より去ろうとする。


朝顔が、足早に公園の入り口から離れる時に僕は何となく後ろを振り返る。


公園を出る瞬間の出来事だったので、一瞬目に入って来ただけなのだがそこには確かに、女の子がいた。


ひと際大きなコンクリートの滑り台の上、空を見上げる神秘的な金髪ブロンドの少女の姿を。




翌日、先輩に相談を持ち掛けられた。


相談というのは大げさなのだが、どうやら日ごろお世話になっている鈴木先生に何かお返しをしたいらしい。


あの先輩の住んでいるアパートは実は鈴木先生の持ち物らしい。


僕は絶対、今度先生にあのアパートの名前について突っ込んでやろうと決心した。


女性に疎い僕にはえらくハードルの高い難問だったが、それ以上の難問を聞かされてしまった。


「実は、経済状況が・・・・」


僕はこの先輩を一目見たときから、生活感のない人物だと思っていたが、付き合えば付き合うほどに突っ込みをいれたくなるほど、世の中に疎い。出会った時と、かなりイメージが変化している。


でもしかたないところではある。人間である以上お腹は減るし、生活はやっていかないといけないのだから・・


「バイトやらで稼ぐしかないですね・・・今まではどうしてきたのですか?」


僕は素朴な疑問を先輩にぶつけた。


「鈴木先生が、毎月いくらかくれるのであまえていた・・・・」


ちょっと体裁悪そうに先輩は椅子の上に正座をしている・・ちょっとかわいい・・・


そして、昨日の夕飯はそこのテーブルの上にある先日先輩を騙した罰として、鈴木君に買わせてきた最中を少し持って帰って食べたという。


その時点で、今月かなり先輩は追い詰められていることがよくわかる。


「お礼をしたい気持ちは分かります。でも、自分の生活がまず先と思います!」


僕は、正論を珍しく先輩にぶつけ、こういった以上彼女の力になると決心した。


僕も、普通の学生で経済力があるわけでもないのだが・・・・


「僕も何か手立てを探しますから、先輩も頑張ってください!!」


お金も人脈もアイデアもない以上、強気に僕に任せろとは言えなかった・・ちょっと、昨日の鈴木君の強引さを見習いたいものだ・・・



数日後・・


毎日、バイト雑誌やら、ネットで検索して先輩に合った求人などを探す。


頭の中で、先輩がウエイトレスやコンビニ店員、はたまたガソリンスタンドマンなどになるイメージが浮かぶ・・・が、僕の想像の中の先輩はことごとく、失敗を繰り返す。


年齢や適性が合いそうなバイトも結構あるのだが、どれもピンとこない。


「あ~っっ!!だめだ・・先輩の働く姿がイメージが出来ない!!」


僕は、途方に暮れていた。


「何か悩み事?」


頭を抱え考え込む僕を現実に引き戻したのは、幼馴染の一言だった。


(こいつなら、バイトなんて全部そつなくこなすだろう。)


今までの先輩のイメージに幼馴染を当てはめたら、すべて活躍している朝顔のイメージがすぐ出来てしまう。


「いや、何でもないよ。」


「なにかあったら相談に乗るから。」


朝顔は明るい笑顔を僕に向ける。


「うん。」


先輩の事を相談するべきなのだろうが、彼女の沽券に係わることだ。言えるわけもない。


色々と考えているうちに、すべての事に身が入らず、気が付けばその日もいつの間にか放課後となっていた。




海から数メートル離れた場所で、じっと海たちの行動を観察する視線があった。


数日前、部室を覗いていた、違う学校の制服姿の女子高生である。


「ふふふ・・・この町は、特にいいものがそろってるわね。猿田に黙って、抜け出して来たかいがあったわ。」


女子高生は、呟き外で走り込みをしている海達を木の影から観察する・・


「あれってさぁ・・・うずめちゃんじゃない?」


「え~何処何処??」


隠れている女子高生のさらに背後から、彼女を指差し他の女生徒が数人こちらを見ていた。


彼女は自分が見つかったことに気が付くと、笑顔で手を振りすぐにその場を立ち去って行った・・・



だんだんと、先輩の精気がなくなってきたような気がする。


部室に置いてあった最中も数がだんだん減ってきた。


僕は、さすがに可哀そうになり何回か、昼食をわざと半分残して先輩に渡したりもした・・


そんなある日の帰り道の事・・・


いつもの帰り道の途中にある公園で、朝顔と一人の少女を発見した。


それは間違いなく一瞬だけ見た、あの金髪の少女だった。


周りには、仔犬や子猫がたくさんいて、彼女は食べ物を与えていた。


「ほら!!海!!あの娘だよ!!おーい!!」


子供のように僕の袖口をつかみ数回振り回した後、一人で走って行ってしまった。


まるで、動物園や遊園地にでもきているようなノリだ。


僕も歩いて二人のもとに足を運ぶ。


「うわ~♪かわいい~うわ~♪こっちおいで~」


動物好きにはたまらないのか、目がいつもの朝顔と全然ちがい、興奮気味だ。


少女には、興奮した早口で質問攻めを繰り返す。


「かわいいね~この子達お友達?歳はいくつ??お名前は???何処に住んでるの????」


少女は質問に答えず、少し顔が険しい。


人とはあまり話さないタイプなのか・・・歳は12歳位か、金髪で黒い衣装。一言でいうとゴスロリだ。なんだか、人形のような浮世離れした娘だと僕は思った。コアラのぬいぐるみを抱いていた。


そのあと、朝顔は持ち前のお節介で相手の迷惑も顧みず、その娘とコミュニケーションを図ろうとしていた。


僕はその娘が仔犬たちにあげている餌を見て思っていた。


(先輩より贅沢なもの食べているような気がする・・・・・・・)


ご拝読ありがとうございます。まだまだ、読み返すと、間違いがあるかもしれません・・・・

脳みその中にある話の整理がへたくそで、もどかしい・・・


文章力がとぼしいですがよろしくお願いいたします。

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