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部活にて

1

時は数日遡るー


僕は、鈴木君と学校の中庭で一緒に昼食をとっていた。


と、言うのも普段あまり話さないにもかかわらず、何処からともなく現れたのであった。


「やはり、君には剣が似合いそうだ。」


一人で何やら納得しながら腕を組んでうなずいている鈴木君。


「そ・・う・・なんだ・・・はは・・」


なにが似合うのか分からないが、彼の眼にはそう映っているのだろう。


「そうだ!!いっそのこと、剣道部へ入部して剣でその名を轟かせないか?!・・これは名案!!ふふ」


でも、彼のいう事は一理ある。この高校には去年、彗星のごとく現れ1年ながらにして全国大会の常勝選

手を圧倒したという、噂の高校剣士がいるらしい。


転校してきた時期が運悪く、去年は全国への切符を逃したものの、出場すれば全国最強という無冠の剣士だ。


僕は、そんなすごい人に教えを乞えたら間違いなく自分のプラスになるだろうと、この提案に乗り気でいた。


「いやー剣はいいぞ~」


鈴木君は、かなり自分の提案の良さに心酔しているようだ。


「ヒーローものとかで、あるだろう?ほら敵を倒して、決めポーズのバックで敵が爆発するシーンとか!!」


「あ、うん」


僕も男だ。何となく言っていることは分かる。


「あれが、リアルでできる競技など剣道以外ないではないかっ!」


(ええ~~~~~~っっ!!そこっ??)


僕的に結構よかったアドバイスが一転。なんか、ちょっとがっかりした自分がいた。


「そうと決まれば、善は急げだ!!早速顧問にお願いしといてやるよ!」


鈴木君は、顧問を知っているような口ぶりで親指を立てこちらに向ける。


「・・・って鈴木くん。剣道部知り合いいるの?」


「ふふん・・・私を舐めてもらっては困る!!・・・あと、私はカイザーだっ!!」



放課後 職員室ー


「帝から話は聞いている、板尾海か・・経験者?」


年配の先生方の中、ひと際若い女性がいた。


「いえ、経験はありません。」


女性は髪をかき上げ僕の持ってきた入部届に目を通していた。


「よし、んじゃひとまず仮入部な。私は顧問の鈴木だ。よろしく。」


(鈴木って・・・・ええ??)


「まぁ、帝は私の不出来すぎる弟だ・・・。痛い奴だが仲良くしてやってくれ。」


目の前の先生を何度も見るが、鈴木君とは似ても似つかない。ロングの髪がとてもよく似合うとてもきれいな人だ。


「あいつにも入部するよう、言ったんだがなぁ・・どうにも根性ないから叩き直してやろうと思てたのに・・・」


鈴木先生の目が若干怖い。


「まぁ、それはさておき道場へいってみようか。板尾君。」


僕は、カイザー君の身代わりとして、ここに放り込まれたのか・・・という考えが一瞬頭をよぎってしまった。




高校内 道場


校舎の横の体育館の隅にひっそり佇む和風な建物が目の前にある。


ここが、先生の言っていた道場らしい。


扉を開けて、中に入るとそこにはびっしり畳が敷き詰められたいかにもな道場が目に映った。


奥には神棚が祭られているのが見え、道場の端には防具をつけた藁人形のような練習道具が見えた。


僕は初めて見る物や、これから起こるであろう、経験に対して胸が高鳴った。


「この奥に部室があるから荷物や着替えはそっちで行うこと。」


先生の指をさした方向に勝手口のような扉がある。


「はい!」


僕は厳かな雰囲気の道場に緊張しているのだろう。じぶんが思ったより大きな声で返事をしていた。




ふと、一人の女性が勝手口の方から出てくる。


スラリとした長身の黒髪のとてもよく似合う女性だ。歩く姿も見入ってしまうほど綺麗な人だ。


「雪代!! 新入部員だ!!!」


雪代と呼ばれた女性はこちらを向いて軽く1礼した。


「あいつは、雪代 椿。 2年生だ。ああ見えて、世間じゃ、無冠の最強なんて言われてる。」


僕は、雪代先輩に向かって深く1礼して叫んだ。


「よろしくおねがいします!!1年の板尾 海です!!」


雪代先輩の表情が気になり頭を上げるが、すでに後ろを向いて素振りを始めている。


僕は、先輩の反応に少しがっかりしてしまった・・・


「はは・・・見ての通りのやつでね。剣以外興味ないのか、協調性が少しだけ足りないんだ。根はいいやつだから、うまくやってくれ。」


(うまくやれ・・・・って、まるなげじゃん・・)


「以上!部員は君と彼女の2名だ!!これからよろしくな!!」


先生は僕の背中を思いっきり叩き高笑いしながら職員室へと帰っていった。


(ええ~~!!部員、2名だけ!?)


僕は、そう思いながらも、剣以外興味ない先輩を見て、ここなら確実に自分を磨けると確信していた。




入部して、数日経つが僕の部活の日課は掃除であった。


先輩は一言も口を聞かず、黙々と剣の稽古に励んでいる・・・・


僕は、掃除のスキルが上がりそうなほど、黙々とモップ掛けやら雑巾がけやら・・


正直、期待していた日々とかなり違うことに少し焦りを感じていた・・・・・


これだけではダメだと、思い切って先輩に話しかけることにした。


「あの!先輩!!」


稽古に入る直前の雪代先輩に声をかける。


「先輩は、どういった稽古を積んでそこまで強くなったのですか?」


最強なんて言われている人に対して出てくる一般人のごく自然な質問だった。


「強い?・・・・今の私など、出がらしのようなもんだ。それでも強いと見えるなら、お前もまた有象無象の輩か・・・・」


 (この先輩、何をいっているのだろう・・・)


「あの・・・」


「剣を持つものなら、努力しかあるまい。私も、今はしかるべく日までにこの手に真の最強を掴まねばならん立場でな。有象無象の相手などしておれんのだ!!」


この人は、全国に向けて自分のすべてをこの剣道に懸けているのかと感心した半面、初心者の自分が馬鹿にされていることにちょっと、ムっとした。


「有象無象の後輩に少し稽古をつけてくれませんか?」


それは、ちょっとした反抗だった。


無論、先輩に勝てるなどと微塵も思ってはいなかった。


むしろ、ここまで食付かなければ、僕は3年間ずっと道場掃除で、剣道界最強の掃除マスターになってしまうと思ったのだ。


「ほう・・・・私を相手にしようと‥貴様、名前は!!」


(えぇ~~今頃?!!!)


「もう、有象無象でいいです・・・・・」


僕はどれ程自分に興味がなかったのか、ようやく理解した。


「では、私を倒せたら、この心に貴様の名前を刻んでやろうではないか。倒せたらの話だがな!!」


そういうと、手に持つ竹刀を練習用の防具付き案山子に向けて放つ。


1度しか打ち込んでいないにも関わらず、3回以上重なった叩きつける音が道場に勢いよく響く。


刹那、自分に背を向けていた案山子の頭がだらりと垂れ下がりこちらを恨めしそうに見ていた。


(いや~~~~!!!こんなの無理でしょ!?)


僕は自分が言った言葉を撤回したくてしたくて、どうしようもない気持ちでいっぱいになった・・


(あぁ・・・・・・・・神様・・・・・・・・)



引き返せない勝負が始まってしまった。


ゲームで例えるなら、ゲーム開始直後に迷い込んだダンジョンでいきなりラスボスに丸腰で挑むような、そんな絶望感だ・・


もう、リセットを押してしまいたい・・


そんな僕の気持ちなど、露とも知らず先輩は防具をつけ全力で素振りをしている。


剣の風圧がここまで届いてくる・・・多分、殺す気満々だろう・・・・


剣の腕はおろか、人としてのポテンシャルも先輩の方が上だろう・・


そんな人に勝つための作戦もなく唯々、初めてつける防具に悪戦苦闘している僕であった。


まるで、死装束を自分で着ている気分だ。


「よし、準備はいいか?」


先輩はぼくの返事を待つ。すでに臨戦態勢だ。


「は・・・・」


僕の返事を半分と聞かず、こちらに向かって先輩は突っ込んできた。


初撃は運よく空を切ってくれたが、剣の起こすかまいたちのようなものが僕の頬をかすめていった。


面をつけているにもかかわらず、頬がしびれる。


(ちょ・・・はやいって~!!!多分、これ何回か続けただけでも、寿命がたりません・・)


僕は、次の攻撃もよける事で精いっぱいだった。というか、避けれた自分に拍手を送りたい・・


「なんだ?避けているだけでは到底私は倒せんぞ?」


先輩は、僕を焚きつけるが、彼女の言う通りだった・・


俄然勝てる気がしない・・・・とあきらめ、先輩の竹刀より僕の視線が外れいつのまにか、足元を見ていた。


そして、神が下りてくるように次の瞬間ひらめいたのだ。


(先輩のあの位置・・・・・)


先輩が構えているあの場所は、毎日掃除している僕にしかわからない、ある現象が起こる場所だ。


その現象とは、古い建物なら回避しようがない劣化によるへこみ。あそこだけ、掃除するたびにかなりひどい音でギシギシきしみ深く沈むのだ。


そして、あの先輩の打ち込みの時の足の踏み込みは尋常じゃなかったのを思い出した。


(よし、これは賭けだ・・)


僕は、いつも以上にわざとらしく、迎撃の体制を作る。


「ほう・・・・覚悟はできたようだな・・・そのいきやよし!!!」


先輩は大きく竹刀を構え、先程見せた案山子への一撃と同じ態勢をとる。


「死ね~~~~!!!!!!」


奇声とともに、突進してくる先輩が足を踏み出し僕にとどめを刺そうとした瞬間、奇跡が起きた。


凄い音とともに先輩の足が床を畳ごと突き破って、はまってしまったのである。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇl???!!!」


予想外の出来事に、先輩は勢いよく転倒し、その頭が僕の前にころがった。


「・・・・・・・・めん」


パチンと、僕の竹刀が先輩の頭を軽く叩く。


この勝負を取り仕切る審判がいるわけでもなく、勝負はシュールに幕をとじた・・・・・




先輩は勝負の後、床にはまった足を怪我してしまった為、急いで保健室に運んで行ったものの、その後病院に搬送されたらしい。


僕と一緒の時は、ずっとうつむいてぶつぶつと、何かを連呼していた。


まるで、すっぽり魂が抜けたような有様だった・・・


壊れた道場は、先生に事情を聴かされ劣化による修理として、道場は当分使用禁止とされた。


今は、部室の掃除と防具の手入れが僕の日課となっている。


次、先輩が部活に出てきたら、今度こそ異世界の旅に向かっての修練が始められると、教えを乞う気満々だ。




そして、物語は部室での最初の話に戻る・・・・。


ご拝読ありがとうございました。次回もよろしくおねがいします!!

話の組み立てが下手なので、以降ペースが下がります。

相変わらず稚拙な文章ですいません。


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