第2章 第7幕「終戦への兆しは長く閉ざされていて」
すみません、投稿できませんでした。
ですがこれから四月が終わるまでに投稿しまくるので…許して…
第七幕「終戦への兆しは長く閉ざされていて」
「これ本当に1万か?…もっといるように感じるぞ?」
その眼下に広がる景色はミノタウロスの行軍で、これを止めなくてはならない。そして何より現在神が応戦して倒せていないという事実が出てくる。
「ヘルメスのやつが手を抜いてる可能性は?」
「ゼロね…仮にズルしようとしていたとしても動かなくしてからズルするはずよ」
「そーだよな」
落胆し手に持っていた棍棒を地面に突き刺すヘラクレスはどう攻め入れるか考えていた。
「我から行っていいか?」
そんな時だった。ベアーがこちらにそう持ちかけたのは…
「いいのか?」
「あぁ、今のところ目立ってない我がここで勝利すればエクウェス殿も認めてくれるだろう」
「あなたがいいのなら私はいいのだけれど…」
「なら俺もベアーの軍で正面からぶつかってアテナの軍が独立遊軍として敵軍の左脇腹を強襲ということで」
「「異議なし」」
そして戦闘は始まった。まず先頭に立っているミノタウロスをヘラクレスは襲撃、敵もそれに気づき応戦するもヘラクレスの後方に隠れていたベアーの兵士がミノタウロスの脇腹を切り裂き、ヘラクレスが一気に叩く。敵軍がこちらに気づいたため五人ずつで集まるように指示、三人で攻撃し2人がガード、回復の役割を果たす。ヘラクレスは自軍とポセイドンの軍を指揮しているため8000の兵を操りミノタウロスを攻略して行く。
別働隊であるアテナはそんな戦闘を崖上から見ていた。
「頃合いかしら…」
そう呟くと同時に剣を掲げ下にいる賊軍を指す。
「敵、ミノタウロス軍へこれから突撃する!!命に代えて攻撃するのではなく、命を守るために攻撃をするだ!!分かった者共は声を荒げよ!!!」
「「「オォォォォ!!!」」」
「その勢いだ!!!ではいざ参らん!!!」
こうしてアテナ軍を戦闘に参戦。
正面にはヘラクレスが指揮する軍が。
左方からはアテナ率いる独立遊軍が。
しかしヘラクレスの戦略眼はまだ生まれたてのひよこ並みに甘かった。なんせ、ヘルメスがまだミノタウロス単体に勝てていない、そして何より軍略を使うかもしれないということを計算に入れていないのだから。
「ウォォォォ!!」
そう怒りを孕んだ声が聞こえた。すると…
「「ウォォォォ!!!」」
それは返事のようだった。まるで指揮するかの如く、まるで隊長が兵士たちに激励したかの如く。それは、つまり…反撃の狼煙が上がったということだ。
雄叫びが轟いてから十分経過した辺りで戦況は逆転した。今まで軍略のグの字もない戦い方だったのが5人が一塊となり四方向を一人一人で対応し中央にいる1人がサポートに入るという戦法に変わった。
場所が変わっているが現在もなお神と対等に戦闘する一体のミノタウルスに対して正攻法では勝てないため奇襲したが…
「敵が一塊になってる!!一回離れるぞ!」
「了解!!」
そういうベアーは自軍を引き返させる。残ったヘラクレスも引き返し始め、ヘルメスが戦闘している自軍本拠地があるテッサリア平原まで撤退することとなり、今回の奇襲作戦は失敗に終わりなお相手にこの戦場の主導権を譲る形で終わりを告げた。
ーーー
「し!!つ!!こ!!い!!」
空中からそう怒鳴り声が聞こえると音速で何かが地面に飛来した。
「こんなに楽しいのに何をしつこいと言うのか!!」
それに応対する巨漢はハルバートを振りかざす。
「お前の存在そのものに飽きた!!ズルしようかと思ったけどお前を殺すことにする!!」
「そうか、そうか…もう終わってしまうのか…ならこの幕引き、我が引き受けよう!」
「ほざけ!牛人風情が!!」
手抜きがよくわかるように攻撃の手が早まり、敵を翻弄する。しかし敵もまだ本気ではないようで…
「ほんとに!!うざったい!!!」
「幕引きを望んだのは貴様であろう!!」
片や音速で飛翔し、片や力で敵を伏せようとする。ヒット&アウェーなど多彩な戦略を駆使する近代ボクシングとKOしか取り柄がないインファイトオンリーの永遠に議論される議題がここで1つの決着が付く。
ーーー
「まだまだ!!!!」
そう張り裂けるように叫ぶ英雄は最小限の消耗を維持しつつ敵を殲滅する。右も左も敵で埋め尽くされている視界を開かせるために、重くてもう動きたくないと叫ぶ体を鞭打ち動く。
左右同時に斬りかかってくる敵をどう斬るか瞬時に判断し、次に来る敵を見据える。頭をフル稼働させ体はその情報を受け取り作業をする。想像を体で表現し今の現状が成り立っているのだ。前方から槍を投げるモーションに入ってある兵を見つけ、しゃがみ込む。そこへ斬りつけようとする兵が槍を喰らい倒れる。そしてこっちが止まってるのをいいことに敵は四方八方と詰めて来る。
「あぁ!!めんどくさいな!!!」
そう言うと大剣を振り回し、周囲の敵を一掃。次にその自体を踏み越えやって来る敵たちに細剣を刺し込む。全て頭に当て倒し後方に隙間が空いたためバックステップで後退する。
「はぁ……はぁ……流石に一万を引き受けたのは辛いか…な!!!」
大剣を前方に振り落とす。その勢いで前方へ加速、勢いを殺さずに細剣で頭を刺し抜く、間髪入れずに大剣を持ち上げまた振り落とす。次に取る行動は細剣ではなくて…
「うりゃぁぁぁあ!!」
大剣を振り回し、敵を斬り倒す。しかし体力がなくなって来たのも事実でもう剣を振り上げる力もない。
「お?…いい槍が落ちてるじゃないか…」
両手に持っていた大剣を地面に突き刺し、地べたに落ちてた槍を蹴り上げ手で掴む。
「おぉ!軽いな!!」
英雄は足の速度を上げ、視界に入った敵の頭に槍や細剣を必中させ敵の数をさらに減らす。
「はぁ…はぁ…流石に調子に乗り過ぎたけどこれで終わりか…」
見渡す限りの死体を眺めながらそう呟いた英雄は手前に刺してあった大剣を持ち細剣と組み合わせて1つの剣に変える。そして味方が進んでいった左に広がっている戦場へと駆けて行った。
ーーー
「あれェ?もうギブゥ?神の威厳って大したことないなァ」
そう語る者の前には息が切れ、立つこともままならないのかトライデントはすでに持てず、両足で立っているだけの水神の姿があった。
「はぁ…はぁ…確かに俺はもう体力がない…だが…準備は終わった…」
直後、ポセイドンの周囲から爆音が生じた。それは…
「反撃と行こう…腕がなければ攻撃できないとは誰も言ってないのだから」
地面を溶かしなお怠惰のいる方へ突き進む液体は、不穏な音を立ている。
「これは塩酸かァ?」
「その通りだ…しかしただの塩酸と油断してると足下を掬いに行くぞ…」
そう言うと塩酸は形状を変化させ生きてるかのように動き始めた。
「液体化と固体化を瞬時に繰り返すとこのような芸当ができるんだ…今更逃げても遅いぞ?…」
「逃げるゥ?なぜ逃げなきゃいけないんだァ?」
すると液体は宙を舞い、四散する。そして怠惰の周辺にあった大量の水に混ぜられ塩酸本来の力を薄められてしまった。
「君の力は俺の下位互換なんだよォ」
「そう言う油断が足元を掬う要因なんだよ」
「はァ?…!?」
瞬時に塩酸を混ぜた水を見る途中に違和感があった。右足が綺麗さっぱり無くなっていたのだ。
「どうやったんだァ!!確かに水に混ぜたァ!!なのにィ…お前ェ、さては液体固体気体の状態変化を操るんじゃなくてェ、それプラスそれそのものを意のままに操ることもできるんだなァ!!?」
「全てのタネを教えるほどアホじゃない。さ、反撃と行こうか」
「はァ…撤退かなァ…」
そう言うとアケディアは浮き始め空中に立っている。
「悪いけど戯れも終わりだァ。ここから始まるのは一方的な虐殺のみだァ」
そう言うとミノス城へ去っていった。
「奴との前哨戦は勝ちでいいかな…な?…英雄…」
そう言い残し、その場で水神は倒れた。
ーーー
「なんとしても…迷宮を崩さなければ…」
そう呟きながら血を垂らし壁に寄っ掛かりながら歩く白衣の老人は…いやミノス王は魔城の地下【ミノタウルスの迷宮】に向かった。




