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第五話

この話で、過去編は終了です。

ちょっと…、というか、ほぼ全部暗い話だったので、次回は明るい話にしたいです…!!




窓の外には、ちょうど人がいた。

たくさんの花に囲まれて、笑っている女子生徒。

彼女は確か―……


「あ、篠原 梨亜ちゃんだ」


橙山が、俺と同じく彼女を見ていった。


「え!?どこどこ!?」

「まじでかわいいよなー、篠原さん」

「ほんとだよねー!顔だけじゃなくて、性格もすっごく良いし!!」


皆が窓際に集まって、彼女のことを褒めていた。

中には「なんであんな子がいいのかわからない」という意見も聞こえるが、それもすぐかき消されていく。

それほど、彼女に対する評価は高かった。


それは、きっと彼女自身の力なんだろう。

俺も最初は、彼女のことが嫌いだった。

自分の友人である、佐倉 雪菜に守ってもらうような、お姫様だと思っていたから。

でも、実際は違った。

それを知ってから、俺は彼女のことを好きになってしまった。


しかし、彼女は告白してくる男子を全員ふっていた。

俺も告白したら、他の男子のように、ふられるのだろう。

だから、俺は彼女と仲が良くなってから、告白しようと思っていた。


――もうすぐ彼女が、俺の義妹になるのを知らずに。


―――


今日は、母の結婚相手と、その子供に会う日だ。

俺はスーツを着て、母と共にそのレストランへ向かった。


「本当に、ここか…?」

「えぇ、そうよ」


レストランは、驚くほどに豪華だった。

ちょっと、戸惑ってしまう。

だが、母はこれくらい何でもないとでも言うように、颯爽と歩いていった。

俺もその後ろをついていく。


「個室を予約した、水瀬です」

「かしこまりました。ご案内いたします」


母が近くにいた従業員に用件を伝えて、案内をさせた。

エレベーターに乗り、従業員の人は最上階のボタンを押した。

音が鳴り、エレベーターが止まる。


「到着いたしました。ごゆっくりお過ごしください」


従業員のその言葉を聞きながら、俺は母と一緒にエレベーターから降りた。

降りた先には、一つのドアしかなく、どうやら最上階はこの個室のみしかないようだ。

…。

結婚式でもないんだし、こんな挨拶ぐらいで金をかけるか?

…いや、相手はきっと金持ちなんだろう。


「蓮、入るわよ」

「…あぁ」


とんとん、と母がドアをノックする。


水瀬みなせです」

「どうぞ」


男性の声が聞こえ、母がドアを開けた。

その部屋は大きな窓がたくさんあり、美しい夜景が見られるようになっていた。

そこには、知っている人がいた。


「……え」


驚きすぎて、ただ呆然とすることしかできない。

水色の膝丈のワンピースを着た彼女は、ふわりと花が咲いたように笑った。


――なんで、ここに篠原 梨亜さんがいるんだ?


…!

そうだ、確か母は相手が“篠原”義彦さんだといっていた。

まさか、その方が自分の好きな人の父親だということなのか…?

俺が、そんなことを思っているとは知らずに、話は進む。


「今日は忙しいときに呼んですまなかった。とりあえず、全員、席に着こう」


その言葉で、テーブルのほうに向かった。

席順は、それぞれ親同士、子供同士で向かい合わせに座った。


「では、私から自己紹介をしようか。

 私の名前は“篠原 義彦”。歳は40歳だ。

 麻衣子まいこさんとは、3年前に知り合って今は結婚を前提として付き合っている。

 こっちにいるのは、私の娘の“篠原 梨亜”だ」

「“篠原 梨亜”です。今日はよろしくお願いします」


彼女は、綺麗に一礼した。


「次は私ですね。私の名前は“水瀬 麻衣子”です。

 歳は38歳です」


母から視線を向けられ、俺も自己紹介をした。


「“水瀬 蓮”です。よろしくお願いします」


一通り挨拶が終わったら、食事をしながら話そうということになって、俺は目の前に運ばれている料理に手をつけながら話を聞いたり、ときどきこちらにふられてくることを話したりした。


梨亜さんは、なんと俺のことを知っていて、いつか話したいと思っていたんだと言っていた。

俺も本当はずっとそう思っていたけど、そのことを言うのは少し恥ずかしくて「うれしいです」としか言えなかった。


・・・・・


食事会も終わり、俺と母は自宅に帰ってきた。

俺はスーツを脱いで部屋着に着替え、自室で考えていた。

きっと、義彦さんと母が結婚したら、梨亜さんへの思いは、絶対に伝えられなくなるのだろう。

義理とはいえ、兄妹になるのだから。


だからといって、この結婚をやめさせることもしたくない。

そんなことをすれば、俺が母に殺されてしまうかもしれないし、なにより彼女が悲しんでしまうかもしれないから。


それならば、兄妹となったほうがいいのではないだろうか?

話す時間も増え、休日に一緒にでかけることもできるだろう。

もし、彼女が俺のことを好きになってくれたなら。


そのときは、両親の反対を押し切っても、彼女の希望通りにする。

法律でも、この場合の結婚は許されている。


彼女に、虐待されていた原因が、俺の母だということを知られなければ、何も問題はない。


もし、知られれば彼女が俺から離れなくても、佐倉 雪菜が俺と彼女を近づけさせないだろう。

佐倉はすべての力を使って、俺を排除するかもしれない。

それほど、佐倉は彼女を大切にしているのだ。


それなら、知られないようにすればいい。


――彼女が一生、このことを知らずに、俺の隣で笑っていれば…。







ブクマ、評価、感想、本当にありがとうございます!!

気づいたら、ブクマの数が1000件超えてて、驚きました!

評価は38人もの方がしてくださいました!!

感想も、アドバイスなどをしていただき、毎回、参考にしながら書かせていただいています!!

いつも、読んでいただき、本当にありがとうございます!!


…あと、昨日は更新することができず、本当に申し訳ありませんでした!

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