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第一話

拙い文章ですが、何卒ご容赦ください。



「なんでよ!私のための世界でしょう!?

 どうして皆、モブなんか好きになってるのよ!ヒロインは私でしょう!?」


私の目の前で、超絶美少女が叫んだ。


「え…」


やばい、この子確か電波系って奴だ。

乙女ゲームが好きな友達に、前教えてもらったことがある。


「ちょっと、あんたに言ってんのよ!!」


そう言って、美少女は私を指差した。


「私ですか!?」

「そうに決まってるじゃない!!生徒会の方たちに幼なじみ、義理の兄、先生に隠しキャラまで!

 なんで皆、あんたのことが好きなのよ!!モブの癖に!」


なんかよくわからないことを言われた。


「えっと、よく意味が―「ふんっ!でも、見てなさい!

 私、”愛川あいかわ マリア”が皆の目を覚まさせてあげるわ!」」


おーほっほ、と高笑いしながら、自称ヒロインは去っていった。

もう、ヒロインちゃんのほうが悪役っぽいよ!?

無駄に疲れたな…。

なんで、こんなことになったんだっけ?

高校が始まる前は普通?だったのになぁ…。

そう思いながら、ふと高校の入学式の日を思い浮かべた。


――――


「…あ、リア!」


声が聞こえて、うっすらと目をあける。

目の前にぼんやりと人が映った。


「起きろよ。今日、入学式だぞ」


にゅう、がくしき…?


「何それ…」

「…寝ぼけてるのか?」


突然、額に冷たいものがあたる。


「うわ!」


びっくりして目をあけると、目の前にお兄ちゃんがいた。


「熱はないな…。ん、起きたのか」

「お、おはよう」

「お早う。もう7時40分だから着替えたほうがいい」

「う、うん」


…。

え?


「今、なんていったの!?」

「7時40分」

「ぎゃああああ!!!」


お兄ちゃんが私の悲鳴を聞いてびくっとした。


「お、おい、大丈夫か?」

「ぜんっぜん!お兄ちゃん、早く出て行って!遅刻ーー!!」


ばんばんと背中を叩いて、お兄ちゃんを部屋から追い出す。

新品の制服に急いで着替えて、髪をとかす。

いつもは結んでるけど、今日は仕方がない。

鞄を持って部屋をでた。

玄関でお兄ちゃんは靴をはいていた。


「あれ?今日は午後からじゃなかったっけ?」

「自転車で送る。ほら、早く」


私もお兄ちゃんに続いて玄関を出た。


――――


「ま、間に合った…」


高校の校門についたのは8時6分。

普通は30分かかるんだけどね…?


「リア、早くしないと本当に遅刻するぞ」

「あ、うん!じゃあ、いってきます」

「あぁ、いってらっしゃい」


そう言って、笑いながら手を振るお兄ちゃんはイケメンだ。

それを一瞬見て、私は綺麗な桜並木を全力で走った。

なんでお兄ちゃんに彼女がいないのか、いまだに不思議でたまらない。

…そんなことを考えながら、体育館に向かう。

よかった。まだ、扉は閉まっていない。


「すいません!遅刻しました!!」

「まだ大丈夫だよ。新入生、だよね?」

「はい」

「じゃ、これをどうぞ」


可愛い桜のコサージュだ。

新入生はこれをつけるのだろう。


「ありがとうございます」

「どういたしまして。中に入っていいよ」


先輩に言われ、開いている扉からはいる。

中はざわついていて、隣同士で話しているようだ。

まだクラスも発表されてないし、自由に座っていいのかな?

そう思って、まわりを見わたす。

すると、目に付く子がいた。

美しい黒髪に白い肌の綺麗な女子生徒だ。

その子がふいにこちらを向く。


「リア…!」


少し驚いたように女子生徒―佐倉さくら 雪菜ゆきなは私の名前を呼んだ。

雪菜は私の中学時代からの親友。

大きな総合病院の娘でお嬢様。

私は雪菜の近くに行った。


「リア、どこにいましたの?」


心配そうに私をみる雪菜。


「え、ええと…。寝坊しちゃって」

「またですの!?仕方ないですわね…」


すいません、本当に…。


「今度は絶対に寝坊しないから!!」

「その言葉、何回も聞きましたわ」


あれ…?そうだったかな…?


「まぁ、いいですわ。とりあえず、座ってください」


そういわれたので、雪菜の隣に座る。


「あと5分ほどで入学式が始まりますわ。クラス分けはその後に発表されるようですわね」

「そっかぁ…。雪菜と同じクラスになれたらいいな!」

「えぇ、私もそう思いますわ」


花が咲いたように微笑む雪菜。

まわりにいた男子が…ってか女子も顔が赤くなった。

さ、さすが雪菜!!


『みなさん、静かにしてください』


放送が入った。


『これから、入学式を始めます。校長先生挨拶』



――――


順調に入学式は進んでいく。

私は若干眠くなってきた。


『―新入生代表挨拶、藍原あいはら 直也なおやさん』

「はい」

「「「きゃああああ!!!」」」


うわあああ、な、なに!?

私は女子生徒の歓声で目が覚めた。

どうやら新入生の挨拶のようだ。

ステージに立っているのは――私の幼なじみだった。

え!?めちゃくちゃ人気あるんですけど!?

私と直也は中学校が違う。

だからこんなことになっているとはわからなかった。

確かに、かっこいいけどなぁ…。

いいや!騙されてはいけない!


「リア、どうかしましたの?」


百面相をしていたら、雪菜に声をかけられた。


「…なんでもないよー!」


なんとか笑顔を作って、雪菜に答えた。


――――


「ああああぁぁ…」


神様、私はなにか悪いことをしましたか?

クラス表を見ると、一番上に「藍原 直也」の文字。

そして少し下がって「佐倉 雪菜」

そしてそのすぐ下に「篠原(しのはら 梨亜りあ

雪菜は…!雪菜はすっごくうれしいんだけど!!

一番上!これがいなければ!!


「リーア!」


ぎゅーっと後ろから抱き着いてきたのは…直也だ。


「わああああ!ちょ、ちょっと、離れて!めっちゃ睨まれてるから!!」


周りの視線がいたい。


「これから一緒のクラスだよ。よろしくね?」


絶対、よろしくしたくない!!

私は今日2度目の全力疾走をして、その場から逃げ出した。


「はぁ、はぁ…」


深く呼吸をしながら、私はようやく立ち止まった。

そして、あたりを見回す。

…ここ、どこだろう?

そういえば私、方向音痴だった。

最悪だ…。

と、とりあえず進もう!!


―10分後


そこまで広くないはずなのに、なんで戻れないんだ…!

絶対、自己紹介とか始まってる!!

これは誰かの罠!?罠なの!?

もう誰でもいいから助けてください!!


進みながらそう念じていると、屋上へと続くドアを見つけた。

誰かいますように!


古びたドアが、ギィーという不気味な音を立てながら開いた。







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