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異世界と始まりの魔王

Level2

異世界と始まりの魔王

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は執務室で、この世界を調べていた。

この世界はおよそ、地球の7倍(正確には地図は出来上がっていない為、把握できない)

今いる場所は、地図の東の端に位置する魔族が多く住む大陸アルベルム。魔都ニーズベルム。その中心にある魔王の館、常闇の館。

館は広く、紅い絨毯が敷き詰められた広い廊下。淡い光を照らすランプが壁にかかり。正しく洋館といった作りだ。

俺的には城ではなく、館という点がそれほど、気兼ねしなくて済んで助かっている。(広い!デカい!無駄に豪華!ってのは目を瞑ろう)

通貨は大金貨・金貨・銀貨・銅貨・鉄貨の5種類。

鉄貨10枚=銅貨1枚。

銅貨10枚=銀貨1枚。

銀貨10枚=金貨1枚。

金貨10枚=大金貨1枚。

といった形だ、(鉄貨1枚で、パンが1個くらいだから100円くらいかな?)


世界は判明しているだけで幾つかの大陸に別れており、東の大陸アルベルム・北の大陸ローレス・南の大陸ハーダム・西の大陸シュタットカーム・中央に位置するダルタスの計5つ。その中でも、俺たちがいる大陸は一番小さい(小さいって言っても大体アメリカとロシアを足してくらいの広さらしいが。)


昔は中央に位置するダルタスに魔族が多く暮らしていたが、前魔王が勇者に敗れ今の大陸に移り住んだそうだ。


今の中央は人間が多く住み、魔物たちは人間を恐れ、息を潜めている。(人間に化けれる者は、溶け込み・そうでない者は森や海、洞窟に隠れている。)

魔族のほとんどが争いを好まず。どういうことか男性型はいない。個体数を増やす時は、影から新しい個体が稀に生まれるようだ。(力が強い種族ほど、増えにくく。弱い種族ほど、増え方が早い。)


大体の世界の把握ができた所で、過去に起きた事について、もう少し詳しく紐解くことにする。

もちろん、俺はこの世界の文字が読めるわけではないので、リリスに説明してもらっている。

教えて、プリーズ!リリス先生!!(言葉だけが通じて助かった。でなきゃ詰んでた)

「っと、ここまでが、世界の概要ですわ。」

ふむふむと、手元に書き記す。

「魔王様は、不思議な文字を使うのですね?見たことのない文字ですわ。」

「あぁ、俺が住んでいた(生きてた?)所の文字だ。」

「不思議と暖かい感じがしますわ」

・・・?日本語、特にひらがなを見て言うリリス。

「そうか?次に昔の魔王について、もう少し詳しく教えてくれ」

「畏まりました。それでは、初代の魔王様からお話ししましょう。」


・・・

・・

この異世界のはるか昔、魔族と人間はお互いを干渉しないよう、世界を分け生活をしていた。

無駄な争いを好まず、陸・海・空を自由に駆け回り平穏な生活を送っていた。

しかし、突如平和は終焉を迎え、戦争が起こる。そう、人間が攻めてきたのだ。

地上に溢れた人間は新たな大陸を求め、食料を求め、魔族の住む大陸へと攻め込んできた。


平和の口火を切ったのは、人間の王。金にがめつく、財宝に目がない王は、まだ見ぬ宝を目指し、進軍を開始した。

略奪、破壊を繰り返し、魔族の住む大陸へと押し寄せる、人間の軍。

魔族は種族を減らし、少しづつ後退を始め、絶望の中戦いを繰り広げていた。

すると、異世界より紫の魔法陣が現れ、絶大な力を持つものが人間の軍の前に降り立った。

そう、初代魔王である。

初代魔王は、迫る人間の軍を絶大な魔力で、押し返した。後退する人間の軍を追撃することなく、倒れる初代魔王。

魔力を使い果たしたのか、静かに眠りについた。

魔族は異世界よりの使者を囲むと、魔族を束ねるものとして王と崇めた。


思わぬ、反撃を受け人間の大陸に戻る軍。王は魔王を倒せるものを呼びかけた。

時が過ぎ、平穏な日々が戻りつつあった世界に異変が起こる。

初代勇者が現れたのだ!

勇者は人間の王から銅貨を数枚もらうと、檜の棒・鍋のフタ・ランニングシャツという、まさしく変出者という格好で、魔族を襲った。


勇者はまず、最も力の弱いスライムを追いかけ、檜の棒で片っ端から襲いかかり、金品を強奪した。

「グヘヘ、こいつはいい見世物になるぜ!!」

勇者は瀕死のスライムを捕まえ、人間の大陸に連れ帰る。

「今日からお前は、スラ◯ンだ!せいぜい楽しませて、稼げよ!!」

勇者は見世物小屋を経営し、酒場に入り浸り、金がなくなると強奪を繰り返した。


見かねた、魔王が勇者討伐に乗り出す。

勇者がよく現れる平原で、魔王は姿を隠し待ち構えると勇者が現れた。

強奪した金品で、装備を整えた勇者は、下卑た笑顔を作りスライムに襲いかかった。

「今日も稼がせて、貰おうか!!」

襲いかかる勇者に魔王は立ち向かい、魔法の一撃を加える。

勇者は瀕死の重傷を受け、地ベタを這い回る。

「グァァァァッァ、待ってくれ、命だけは・・・い・の・ぢだけくぁぁ」

血まみれで、のたうつ勇者。

あまりに惨めな姿に、魔王は告げる。

「もう、この地に来ないのであれば、命だけは助けましょう。そして、そなたの王に告げなさい。もう二度と争いは起こさないようにと。」


「わがったぁ、頼むだづけてくれぇぇ」

魔王は回復の魔法を唱えると、勇者に背を向け、立ち去りなさいと告げた。


勇者はヨタヨタとお礼を告げると魔王に近づいた。

「もう、わかりましたから、帰りなさい。」

魔王が立ち去ろうとしたその時、勇者は魔王に背後から切り掛かった。


「グヘヘ、俺を回復させたのが命取りだったな!」

深々と突き刺さる、剣。

魔王は大きく目を見開き、その場に倒れ、勇者を睨みつける。


「魔王様!」

魔王の従者たちが駆けつけた。

「おっと、動くな!それ以上近づくと・・・わかっているよな」

下卑た笑顔を見せつける勇者。


「卑劣な!助けていただいた恩をあだで返すのか?」

「卑怯ってのは、弱者の戯言ってのを知らねぇのか?」


魔王は残された魔力を貯め、勇者に向け魔法を解き放つ!

「なっ、何をしやがった!!」

血を流し、ひきつった笑顔を浮かべる魔王。

「あなたを道連れにしましょう!・・・」


あたりに大量の魔力が流れ、渦を作り出す。渦は激流と姿を変え、二人を包み込んだ。


「魔王様!!!」

従者たちが見たものは、巨大な魔法陣が浮かび上がった最後の景色だった。


「大丈夫・・・」

静かに、どこからか聞こえる魔王の声。

「私の代わりが、いつか現れます。それまで・・・皆を・・・」


・・・

・・

「これが、私たちの最初の王。始まりの魔王様のお話ですわ」




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