帝王の雛 六話
「さあどうする?俺たちと共に来ないか?」
あの男が・・・父さんの敵・・・。じゃあ、俺の父親は次元の争いに巻き込まれて居なくなった・・・?それならこの男を倒した先に、何か手がかりがあるかもしれない。
なんだ、あるじゃないか動機。どっちにしろ契約した時からこの戦いからは逃げられないんだ、なら行けるとこまで行って、父さんを探してやろう。
「・・・悪いな!俺は・・・アンタとは一緒に行けない!アンタを倒して知りたいことがある!」
「交渉決裂か・・・なら容赦はしねえ!力ずくで連れていく!」
霧宮は足を止めると、コンクリートを力強く踏みしめる。瞬間、彼の足元に魔方陣が浮かんでオレンジの光を放ちはじめた。
「幾千の魂を従えし亡霊よ!燃ゆる蝋に明かりを灯し、霊達を喚起させよ!紅蓮の焔に身を包み、漆黒の風を纏い、今ここへ馳せ参じ参れ!ジャックランタン!」
刹那、彼の背後に亡霊が現れる。
紺色のマントに特徴的な装飾がされたとんがり帽子。マントからはみ出る手は白い手袋に覆われ、右手にはその名の通りランタンを提げている。そして何よりも目を引く、カボチャで出来たその顔。
ハロウィーンのゴーストであるジャック・オー・ランタンを模したようなお化けが霧宮の背後に出現した。
「竜斗!来るぞ!」
ホムラの言葉に構え直し、いつでもホムラを召喚できる状態にしておく。
相手は格上・・・一つの油断も許されない。ホムラの性能次第ではもしかしたら勝つ可能性があるかもしれない・・・。いや、勝つんだ!
「縛霊の怨念!」
霧宮が叫ぶ。ジャックランタンが前に飛び出し、ランタンをこちら側へ勢いよく横に振った。
緑色の炎がランタンから飛び出してかなりのスピードで俺へと向かってくる。さながら打ち出された魂のような炎を、即座にホムラの腕を召喚し、ガードして受け止める。
今の炎ではホムラの腕には傷一つとしてつかない。やはりホムラには相当な強さがある・・・!
「ちっ!やっぱり炎じゃダメージは入らねーか!つってももう一体はもっと相性悪いし・・・ジャックランタン!」
ジャックランタンはその声に答えるように宙を舞う。
「最初っから本気だ!三重影!」