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98]スープ

 季節はずれの蝶が舞う休日の昼、猪鹿いのじかは鳥のガラを煮ていた。大鍋おおなべの中にはねぎだのニンニクだの…だのと、いろいろな具材が放り込まれている。ラーメンの麺つゆに使う特製ス-プ作りだ。その後、出来上りを試飲してみると、まあ、それなりの味に仕上がっていた。あとはそれをベースにして出汁だしを完成させるだけになった。猪鹿は飽くまで趣味で作っているのであり、それで商売をしている訳ではなかったから、妥協しない時間の余裕はあった。その余裕で作る手間暇てまひまが猪鹿の楽しみになっていたのである。

「おやっ? 今日のは少し塩味が薄いぞ…なぜだ?」

 出来上ったラーメン出汁を小皿で飲むと、いつもに比べ少し水くさかった。キッチンは残夏の午後ということもあり、猪鹿の身体を汗ぱませた。汗掻きの猪鹿のひたいからポタリポタリ…と汗が小皿に落ちた。かまわずもうひと口、出汁を飲むと、これがなんとも絶妙の味わいになっているでないか。売りものや人に食べさせるものではないから、これもありか…と猪鹿はニンマリした。よく考えれば汚ない話だ。だが、美味うまいから、どうしようもなかった。さらに猪鹿が考えたのは、他にもこの方法で…と考えたことである。気持が悪くなる怖い話である。

「これ、美味いね。君、商売できるよ」

 会社の同僚がやって来たとき、昼どきでもあり猪鹿はラーメンを食べてもらった。もちろん、友人にはあの特製スープは出さず、別のスープを出したつもりだった。

「そうお?」

 おかしいな? とは思った猪鹿だったが、まあ、いいか…と笑って応じた。

 友人が帰ったあと、友人に出したはちの残りスープを指でめて確かめると、あの特製スープだった。まあ、いいか…と猪鹿は思った。


                 完

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