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96]一番、怖(こわ)いもの

 丸太木まるたぎはようやく汗をかなくなったということで日曜大工でもするか…と思った。だが生憎あいにく、生れもってきっぽい丸太木だったから、小一時間もするとやる気をなくし、手に持つノコギリを投げ出していた。自分が丸太を切るというのもいかがなものか…と思えたこともある。まあ、いいか…と腰を庭の芝生しばふに下ろしたとき、一匹のムカデが『こんちわっ!』 と笑顔で現れた。

『ギャア~~!!』

 虫が大の苦手にがてこわがりの丸太木は、思わず大声を上げて立ち上がると駆け出した。刺されると思ったのだ。ムカデとすれば笑顔で挨拶あいさつしたのに変な人だな? という感じである。命の危険を感じなければムカデは刺さない・・という生物の本能的な理を丸太木を含む多くの人は理解していない。丸太木がやっとのことで家の中へ退避した瞬間、妻の里沙が現れた。

「もう! いい加減にしてよっ!!」

 ムカデの比ではない怖さを覚えた丸太木は、反射的にちぢみ上がった。

「はいっ!」

 知らないうちに丸太木は鸚鵡おうむ返しの返事をしていた。

「…ったくっ! せっかく作ったお料理が冷めてしまうでしょ!!」

 えらいのと結婚してしまった…と、丸太木はえて里沙の後ろに従い、キッチンへ向かった。料理は美味うまかったが、里沙の辛口からくちは怖かった。丸太木は食べ終えたあと、食後のコーヒーを飲みながら思った。自分にとって一番怖いものはなんだろうと…。肝っ玉の小さい丸太木にとって、それは、やはり病気であり、死ぬことだった。だが、日々の里沙の辛口が、現実問題として、生きる上で一番、怖かった。


                完

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