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90]もういやだ!

 友人の元川もとかわにとって一番、こわいのは幽霊でもなければ妻でもなかった。それは、ゴキブリだった。ハイテンションの朝、その虫を見ると、元川はいっきにやる気をがれ、24時間は何も出来ない放心状態へおちいる破目になるのだった。次の日が重要な仕事なら、これはもうえらいことだ。見た瞬間から24時間だから、当然、次の日は朝からテンションはダダ落ち状態である。それでも勤めを休む訳にはいかないから、仕方なしにショボく家を出るのだった。

 せみしぐれがやかましい昼過ぎ、まだ元川のテンションは回復していなかった。

「元川君、どうしたんだ? 今朝から顔色が悪いぞ…」

 課長の渡橋とばしが元川の顔色をうかがった。

「べつに大したことは…。もうじき24時間ですから」

「えっ!?」

「いや、なんでもありません…」

 危うく元川はぼかした。

「そうかい? なら、いいんだけどさ。これから重要な取引先と会うんだからね」

 そして会議室で取引先との会合が始まった。会合は順調に進行し、めでたく契約の締結となった。ところが、である。そのあとがいけなかった。業務話が終わり、取引先と世間話で盛り上がっていたときである。

「いや、立派な社屋ですな」

 渡橋が少しヨイショして先方のご機嫌を窺った。

「ははは…しかし、うちもゴキブリは出ますよ。昨日きのうも見ました」

 取引先の専務が冗談半分にそう言った瞬間、元川は、「もういやだ!」と絶叫し、気を失った。そんなとても怖い話を最近、私は元川から聞かされた。


                完

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