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56]箒星(ほうきぼし)

 とてもじゃないが寝られん…と、を上げた歯黒は、し蒸しする家の裏庭へ団扇うちわ片手に飛び出ると、パタパタとやった。残暑だからと軽く見たのが甘かったな…と空を見たとき一瞬、ピカッ! と光り、箒星ほうきぼしが流れた。ほう、流れ星か…と歯黒が思ったとき、同じようにピカッ! とまた流れた。それも最初に流れた箒星と同じ位置である。歯黒は珍しい偶然だな…とは思ったが、そのときはそう深く考えなかった。近所から木魚とかねたたく音が聞こえてきた。ああ、そういや、今日はお盆だったな…と歯黒は気づいた。宗教行事にはうとい歯黒だったが、大よその日本的知識は知っていた。さて、クーラーも効いた頃だろう・・と歯黒は家の中へ入ろうとした。だが、どうも先ほどの箒星が気がかりになり、また同じ方角の空を見た。すると、次々に流れる箒星の光が歯黒の目に飛び込んでくるではないか。そんな馬鹿な! 流星群か? と思えたが、ニュースでそんなことは言ってなかったぞ? と奇妙さにすぐ気づいた。

 家の中へ入った歯黒は、さっそくネットで検索してみたが、流星群のことなど露ほども出ていなかった。おかしい? と歯黒は首をひねりながら、もう一度、ガラス戸に映る夜空をながめた。同じ方角に相変わらず箒星は次々と流れ続けていた。が、よく見ると、それは箒星に似た巨大な人魂ひとだまだった。あの世からご先祖さまがUFOで帰って来られたのか? と歯黒は心霊現象と科学を融合ゆうごうして考えてみた。超常現象や怪奇現象は信じない歯黒だったが、目の前に映る常識外の光景に、少し神秘的な恐怖を感じた。

 のちのち分かったことだが、その光は気球大会で飛び立った気球の光の乱舞だった。歯黒は自分を、つくづくお馬鹿な男だと自覚した。


                   完

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