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35]ゴースト・ラッシュ

 牡丹川ぼたがわもちを食いながら茶をすすり、フゥ~~! っと大きく溜息ためいきを一ついた。こう暑いと、何をやるにも汗との格闘はけられない。そう思っただけで、やる気がえた。公共テレビのニュースは、ど~~~でもいいような芸能人の盗難事件を白昼堂々と報道している。牡丹川は嫌になってテレビをOFFった。だいたい、個人問題など、世間全般に流す重要話題の訳がない。制作部は馬鹿か阿呆か! 全然、分かってない! バラエティならともかくっ! と、牡丹川はぶち切れた訳だ。牡丹川の見えない怒りの炎はメラメラと燃え上がっていた。この見えない炎とともに現れるのが怒りの分身ゴーストだった。牡丹川が怒れば怒るほどゴーストは増え、牡丹川の周囲を飛び回った。怒りがおさまらない牡丹川は、外で一杯飲みながら、なんぞ美味うまいものでも食ってさを晴らそう…と財布の中身を確認した。生憎あいにく、出られるほどの金額は入っていなかった。

「ああ! ゴールド・ラッシュして欲しいよな…」

 牡丹川は、ちまちまとつぶやいた。その途端、牡丹川のまわりはゴースト・ラッシュになった。


                  完

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