27]芥(ゴミ)の川
不思議なことに、綺麗な川に妖怪は住みづらいらしい。それは私が直接、妖怪から聞いたんだから間違いがない。えっ! なんだって!? 馬鹿な嘘をつくんじゃないっ! だって!? そんなことを言われても、本当のことなんだから仕方がない。
では、その疑いを晴らすため、そのときの話の一部始終を語ることにしよう。いつものように、寝たい人は寝ていてもらってもかまわない。
妖怪の話によれば、あの世の入口にある三途の川が溢れると、芥が流れだし、この世へ現れるんだそうだ。それが、お前さんらがよく道端で見かける空き缶やタバコの吸い殻などのポイ捨てゴミなんだ、という。「本当か?」と疑いっぽく私が訊ねると、その妖怪は、『本当だとも!』と、すぐ返してきた。あの世では、ゴミを捨てる亡者は三途の火途という、もっとも難儀な途を行かねばならないらしい。「そうなの?」と、また訊ねると、『ああ、あの世では大層、罪が重いのさ』と、少し偉そうに、したり顔で言った。『お前さんの身体の血の川も、コレステロールが溜まりゃ具合が悪かろう?』と返しやがった。「そら、まあそうだな…」と仕方なく応じてやると、妖怪のやつ、調子づきやがって、『腹減った。ロールキャベツ、食いてぇな~』なんて、妖怪のくせに注文しやがんの。お前さんら、どう思う? 「知ったこっちゃねぇ~よ」って言って、トンズラしたさ。今頃、どうしてるかねぇ~あの妖怪。まっ! ゴミの川に纏わるそんな妖怪から聞いた妖怪話さ。どうだい、疑いは晴れたかい? まだ、晴れない? ははは…、まあ暑さ凌ぎに聞いたと思って、忘れてくれりゃいいさ。
完




