表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/100

22]怪談国会

 ここは妖怪達が暮らす、あの世ともこの世ともつかない妖怪世界である。妖怪世界は人間の世界とはことなり、暑さ寒さがない、それはそれは快適な世界だった。そんな妖怪世界の一角に住む妖怪[いらだたせ]はその名のとおり、まわりの様子ようすを見て、一方をいらだたせ、双方をめさせようという場荒らし妖怪で、妖怪としては中程度にランクづけされていた。

 この日も朝から妖怪テレビには人間世界の国会中継が映し出されていた。[いらだたせ]は、かすみのご飯を雨露あまつゆのおかずで味わった後、歯をシーハーシーハーと、おがらの楊枝ようじ穿ほじりながら、妖怪テレビを観ていた。

『ほう、猫も杓子しゃくしも集団的自衛権か…。むずかしい話じゃが、この言葉は流行はやっておるな。ヒヒヒ…今年の流行語大賞は大いに期待できるぞい…』

 横になって寝そべり、呑気のんきそうに[いらだたせ]は欠伸あくびをした。

 国会では野党議員が鋭い質問をし、政府側答弁に立つ長官がはりむしろに座らされているようにせめめられ続けていた。

『政府側の人身御供ひとみごくうじゃな。あわれじゃのう、いたぶられて…』

 そのシーンを観ながら、[いらだたせ]は、またひとりごちた。そのとき、妖怪仲間の[まどわし]が遊びにやってきた。[まどわし]は、名のとおり人の行動をまどわす妖怪で、この妖怪もランクは中程度だった。

『いらだたせ、元気そうじゃのう』

『ふふふ…妖怪に元気も病気もないわい』

『おお、それはそうじゃ。ほう! 国会か。久しぶりに惑わしてみるかのう』

『やめておけ、やめておけ! お前が惑わすと、ろくなことがないわい。この前も空転して解散になってしもうたが…』

『いや、ここだけの話じゃが、もう惑わしておるんじゃ。国会前で騒いでおろうが…』

 [まどわし]は、したり顔をした。

『おお! あれはお前の仕業しわざじゃったか。悪いやつじゃのう』

『いや、平和な国に住まわせてもろうたからのう、少しは恩返しじゃ』

『そういうことも言えるか…。では、わしも…』

 国会が紛糾ふんきゅうしたときは、この妖怪達の仕業だと思ってテレビ中継を観ていただきたい。紛糾している国会は、すでに妖怪達が浮遊する怪談国会なのである。 


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ