1話 扉の向こう
まだ他の作品も終わってないのに何故か新作を書いてしまったアホな作者です。
……さすがにこれ以上増やすことはありませんよ……
夕凪 奏はこの日は友人と原宿に遊びに行く予定だった。
奏はつい最近オフ会で知り合った男に失恋した。
失恋した直後はすっごく泣いた……なんて事はなく怒りで震えていた。
彼は付き合えない理由をこう言ってきたからだ。
――ごめん、子供はちょっと……
ちなみに年を聞いたらその人は同い年だった……
奏は高校三年生なのだが、140cmしかない小柄な体格や、まだ幼い容姿からよく中学生、時には小学生に間違われるのがすごいコンプレックスだった。告白されても怪しいロリコンみたいな人ばかり。逆にこちらから告白しても今回の様に、子供とは付き合えないみたいな態度を取られては振られていた。
ちなみにそのオフ会で知り合った男にはピンタを一発かましてやった。
その後は連絡を取ってない。
それでも思い出すたびにイライラとしていたら、同じクラスの友人がパーッと遊んで忘れようって誘ってきたのだ。その友人の優しさに嬉しく思い、今日は遊ぶぞーって気合を入れてお気に入りの真っ黒で沢山のフリルがついたゴスロリの服を着て家を出たら……そこは森の中でした。
「はいぃ!?」
玄関のドアがあった方を振り向いても、何もない。
あるのは緑、緑、緑。
ただ緑ばかり。
こんな自然に溢れる風景を都会育ちの奏は見た事が無かった。
かといって、それに感動している場合ではない。
「な、なんのドッキリですかこれ」
家を出たらそこは森の中でしたって、どんな大掛かりな仕込みなんですか!
早くこの事態を説明してくれる人が来ないかと待っても誰も来ない。
気づけば手に持っていたはずのお気に入りのバッグの姿も消えている。
仕方なく辺りを探索しようと歩き出すが、そこは全く整備されていない自然の森。
それに対してこのゴスロリの服では歩きにくくて仕方が無い。そもそも山道なんて子供の頃に高尾山を登った経験があるくらいで、こんな獣道なんてテレビの中でしか見た事が無い。
なんかもうパニックで泣きそうになってきました……
(何?……人、人はいないんですか)
周囲を見渡しても人っ子一人いない。
幸いにも猛獣や大っ嫌いな虫の姿も見えない事には多少の安堵を覚えたけど。
(一体何が起きたんですか、誰か教えてください)
――た――けて――――
「だれです!?」
――たすけて――――
突然頭の中から声がしてくる。
子供の様な高い声、その声はまるで泣いている様。
「なに!? 助けて欲しいの?」
奏はよく子供と間違われていた、しかし子供自体は嫌いではなかった。まだ小学生の従兄弟の面倒をよく見ているせいもあり、子供の扱いには慣れている方だった……同年代の様に接してくるのだけは何とかせねばと思っていたが……
――たすけて……あげて
しかしその声の意味は奏の想像を裏切り、戸惑わせた。この声の主が何なのかは分からないが、誰か別の人を助けて欲しいと切実な声で言ってきたのだ。
しかし周囲には誰もいない。一体誰を? と奏が聞こうとしたその時、後方の茂みから待望の人間が現れた。
音に反応して振り返り、目の前の人を見た時、奏の動きが止まった。
なんて……
なんて……
なんて残念な美人さんなんですか!
それが最初の印象でした……
という訳で新作です。
感想とかもらえると作者のやる気が尋常じゃなく上がります。
皆さんよろしくお願いいたします。