表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/36

”The Opening Ritual at BAR RAIN”

挿絵(By みてみん)


~開店前の私だけの儀式~


開店前のルーティンは、私にとって祈りのようなものだ。

五時少し前、扉を開けるとカウンター内の冷房と換気扇を同時に入れる。

薄暗い店内に、フュージョンの静かな重低音が満ち始める。


一番奥の席に腰かけ、パーラメントのキングサイズに火を点す。

長く伸びた灰色のフィルターを口許でくるりと回しながら、

最初の一本は必ず深呼吸のように――ゆっくり、じっくりと楽しむ。

その微かな酩酊感が、まだ誰もいないこの空間に

ほんの少しの生命を吹き込むのだと感じるから。


十五分ほどでパーラメントを吸い終えると、灰を揉み消し、

ダスターを取り出してストゥールを一脚ずつふき上げる。

床を乾拭きし、カウンターの上を軽く整頓しながら、

私はいつもの所作を繰り返す。


冷蔵庫を開けてビフィータの瓶を確認し、

ジンとトニックウォーター、レモンを所定の場所に並べる。

時刻は四時三十分。

まだ早い客など来ないけれど、私はこの瞬間が好きだ。


すべての準備を終えたら、ゆっくりと立ち上がる。

パーラメントの残り香をほんのり胸に残し、

私はこの小さな洞窟――BAR RAINの扉を開ける。


さあ、今夜も静かな会話と氷の音を待って。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ