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スライム(Lv MAX)

城下町を出て境目の村まで歩く。

ここまでの道中にはマモノは出て来ないらしい。

マモノが生息する区域との間には聖水が流れる川があり、其処の水を引いて人類の生息区域を囲う事でマモノが入って来ないようにしているのだ。

そうして川が見えるところまでやって来た。

村のような風景をしているが川の付近には家もなく人の気配もない。

先を進むと困った顔をした老人がいた。


「何かあったのですか?」

「ああ、実は…」


老人の話によると、橋の先にスライムが群生しており毎日怯えて眠れないそうだ。

スライム位なら俺でも倒せるかもしれない…


「そのスライムを俺が倒して来ますよ!」

「本当か!いやあ、助かった!ありがとう!ありがとう!」


老人は涙ながらに感謝して来た。

そうして俺はスライムを倒しに橋を渡った。


橋を渡った先には草原が広がっておりポツポツと青い塊が見えた。

あれがスライムか俺でも倒せそうだ…


そう、思っていた。


それはデカかった。

自分背丈よりもデカく大きさは自分がゲームで知っているスライム以上だ。

だが所詮はスライム…そう思い剣を振りかぶって下ろす!


「うおおおぁぁぁ‼︎」


ぶにっ


簡単に斬れると思った。

かなり弾力がある…

剣が弾かれあらぬ方向へ飛ぶ…

そうして俺はスライムにのしかかられ…

…………る前に逃げ出した。

剣を拾い走って逃げる。

恥も外聞も関係なく逃げ出した。

橋を渡り来た道を戻る。

気づいた頃には城下町まで戻っていた。


「ああ、俺ってここまで…


弱かったのか…


そう一人で俯いた。

そうして少しの落ち着きを取り戻し、スライムをどう倒すか考える事にした。


「情報…情報が必要だ…」


そう思い向かうは城下町の図書館。

此処ならマモノの情報もある筈だ…


図書館に入り司書の人に聴く…


「マモノについて書いてある本は有りますか?」

「ええ勿論!有りますとも勇者様!」


司書の人に案内され、たどり着いたのは巨大な本棚。

其処には様々なマモノの名が書かれた本がある。


「スライムの本って…」

「コレですね!どうぞ!」


図鑑の様な分厚い本だ。

椅子に座り文字に集中する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜〜<スライム>〜〜

基本的に粘性を持ったゲル状のマモノ。

大きさは2〜6mまであり、知能が低い。

内部には赤色の核があり、核を砕かれると形状を保てなくなり崩壊する。

攻撃は主に“のしかかり”と“体当たり”。

過去に【赤の騎士団】三十名を派遣し、総がかりで1匹の討伐に成功した。

【白の騎士団】が調べた結果、崩壊した身体を煮ると回復薬が作れる。

原理としては濃度の濃い魔力を保持しているからだ。

強い溶解性を持つ為不用意に近づくとのしかかられ、溶かされてから吸収される為、距離を取り落ち着いて逃げる事を推奨する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


様々な情報が得れた。

そしてこのマモノは俺1人でも倒せる(と思う)


「ありがとう、司書さん。お陰でどうにかなりそうだ!」

「お役に立てたなら何よりです!」


やはり頼るべきは文献と知恵だ。


俺は覚悟を決めてスライムのいる草原へ向かった。

先程のスライムがいた。

石を投げ、スライムの気を引く…

スライムがこちらに向かって来た

しかし、俺は何もしない必要なのは覚悟だけだ

スライムとの距離が大体1m位になった。

「ここだ!」

そう言って後ろに倒れ込み、剣を空に向けながら地面に寝転がる。

スライムの巨体が跳び込んで来る。

例の“のしかかり”だ!

自分の上にスライムがのしかかる

その巨大な図体の通り重いが、空に向けていた剣が見事にスライムに突き刺さっている。

狙った通りだ、俺が幾ら力が無くても、スライムのデカい図体の自重で剣が内部に突き刺さる。

俺が突き刺しても弾かれるだけだが、これならば倒せる筈だ。

俺の剣が真ん中の核を貫き、スライムの巨体が崩壊した。

「よし!これなら倒せる!」

我ながら良かったと自惚れていると背後から音がした。

其処にはスライムがいた。

「もう1匹か…かかって来いよ!」

そうして剣を持ち直す。

するとさらに草むらから2匹…3匹とスライムが出て来た。

そして、合計10匹近くのスライムが出て来た。


え…多くね?

「嘘だろ!待て待て待て!」


結局、抵抗も虚しく、のしかかられた。

そういえば群生していると聞いていたのだった


死ぬ物狂いで剣を突き立て核を破壊してなんとか10匹、討伐に成功した。


その後、スライムでベトベトになりながらも橋を渡り老人の元へ向かう。

「おお、無事だったか!良かった!心配していましたぞ!」

「全然、無事なわけが無い…でもあそこにいたスライムは殆ど倒したぞ…」

「貴方には感謝しても仕切れない!お礼と言っては少ないかも知れないが、どうかこれを納めて欲しい」

そう言われて袋を渡された。

袋の中には金貨5枚と銀貨8枚が入っていた

普通に多すぎると思う位だ


老人は何度も感謝の言葉を言いながら去って行った。

そうして初めてのマモノとの戦いを終えたのだった。


スライムのベトベトは意外と良い匂いだった

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