『須らく この世は地獄 何処までも』

【前編】

鳥《とり》たちは　人間《にんげん》来《き》たぞと　泣《な》き叫《さけ》ぶ

産《う》まれれば　生命《いのち》喰《く》わずば　腹《はら》が空《す》く

踏《ふ》み潰《つぶ》せ　目《め》に入《はい》らぬは　無《な》きものと

過去《かこ》を見《み》よ　優《やさ》しい者《もの》は　滅《ほろ》びゆく

木《こ》の葉《は》舞《ま》う　生命《いのち》の絶歌《ぜっか》に　酔《よ》い痴《し》れよ

桜《さくら》散《ち》る　死《し》に様《ざま》愛《め》でて　嗤《わら》う声《こえ》

隠《かく》しても　滲《にじ》む悪臭《あくしゅう》　人《ひと》の性《さが》

密《ひそ》やかに　嘲笑《わら》い貶《おとし》め　病《や》み堕《お》とす

言《こと》の葉《は》の　限《かぎ》りを尽《つ》くせ　意味《いみ》無《な》くも

死《し》して尚《なお》　今世《こんせ》の怨《うら》み　消《き》えはせず

首《くび》を吊《つ》り　薬《くすり》飲《の》んでも　死《し》にきれず

まやかしの　快楽《かいらく》溺《おぼ》れ　息《いき》繋《つな》ぐ

我《わ》れ正義《せいぎ》　耳《みみ》を塞《ふさ》いで　魔女狩《まじょが》りす

誰《だれ》しもが　怒鳴《どな》り散《ち》らして　道《みち》開《ひら》く

被害者《ひがいしゃ》を　加害者《かがいしゃ》として　糾弾《きゅうだん》す

悪事《あくじ》のみ　考《かんが》える葦《あし》　焼《や》き尽《つ》くせ

娯楽《ごらく》にて　心《こころ》と身体《からだ》　惑《まど》わして

ゴリラでも　片手《かたて》の無《な》い子《こ》　虐《いじ》め抜《ぬ》く

須《すべか》らく　予想《よそう》を超《こ》えて　下回《したまわ》る

安楽死《あんらくし》　駒《こま》が欲《ほ》しいか　取《と》り上《あ》げる

偽善者《ぎぜんしゃ》が　振《ふ》り翳《かざ》す嘘《うそ》　人《ひと》殺《ころ》す

死《し》ねぬよう　苦痛《くつう》と恐怖《きょうふ》　付与《ふよ》されて

金魚《きんぎょ》達《たち》　出目金《でめきん》いじめて　殺《ころ》したよ

我《わ》が家《や》だと　勝手《かって》に囲《かこ》い　命《いのち》駆除《くじょ》

地獄《じごく》では　ここが地獄《じごく》と　気付《きづ》けない

弱《よわ》き者《もの》　皆《みんな》で啄《ついば》み　屍《しかばね》に

見極《みきわ》めて　利《り》なき者《もの》なら　足蹴《あしげ》にす

絆《きずな》という　呪《じゅ》をかけ縛《しば》る　世間様《せけんさま》

届《とど》かない　此処《ここ》から出《だ》せと　叫《さけ》んでも

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