表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

舞踏会ってヨーロッパでは大体行われているけどあれ日本でもやってるんかね?

ヴィラン=スカーレット 悪役とは思っていない令嬢である。

ヴィラン=スカーレット(本物)は見慣れない東洋の国にいた。そう。日本である。

「何よこれ!!」

大声をあげる。本当にびっくりした時の声量だ。川越稜が一人暮らしでよかったものである。家族がいればその時点でヴィランであるとバレてしまう。


ヴィランは机の上にノートが置かれてあるのを見る。この体の主は川越稜で今はヴィランの体と入れ替わっていると記載があった。虫唾が走る。自分を高貴な令嬢と思っているヴィランが、しがないサラリーマンと入れ替わったのだから仕方ない。さて令嬢はサラリーマンをできるのか!?


ここで舞台は異世界に戻る。悪役令嬢に順応できた俺は、舞踏会の日を迎えることになった。早速馬車が家の前にやってくる。俺はこれを都バスと呼んだ。今後馬車は都バスという名前にしようと考えていたのだ。

馬車を運転する運転手へ手紙を渡す。内容は以下の通り

「これより自分を乗せている間以下の文言を読め!

毎度都営交通をご利用いただきありがとうございます。このバスは都01系統、渋谷駅前行きでございます。」

そう、ここに記したのは都営バスの王道新橋ー渋谷を結ぶ都01系統の自動放送。俺は聞き慣れた文言であるが、この世界の住人にとっては怪文書である。なんだよ都営交通って感じである。

当然運転手も困り果てていたが、悪役令嬢パワーでやらせた。無理矢理。

「素晴らしいわ!本当に都営バスを使っているような気分になるわね!早く路線バスも作らなければ!」

馬車が舞踏会場に着く頃、あの怪文書は南青山七丁目まで読まれていた。渋谷駅までもう少しのところである。


受付係のシャロンが案内をしてくれた。すごい。ヨーロッパだ!という感想が出てきた。

「やっぱり来たのね、ヴィラン」

マリーがいた。正直俺はマリーが可哀想で仕方なかった。アーサー王子はお前にやるから俺は可愛い子と結婚したいと。しかし老人がアーサー王子と結婚しやがれとか言うので今回ばかりは許してくれである。

「私のアーサー王子に手を出そうなんて、同じスカーレット家でも許しませんわ。」

ここまで読んで俺は女装大好きな変態だと思われてないか心配である。安心しろ。俺は変態じゃない。ただ悪役令嬢演じてるだけだ!


「皆様、本日は舞踏会にご参加頂き有難う御座います。フィレンツェ国は戦争に勝利し、発展を遂げて参りました。アーサー王子は本日招待した方の中から花嫁をお探しになるそうです。」

出たよ結婚させる為に仕組まれたような舞踏会、そして運命の人探し。俺なんて合コンすら誘われないというのに。

周りにいるドレスの方々は黄色い歓声をあげる。正直な話、マリーとアーサーが付き合ってほしいし、アリスも呼びたかった。でもこの世界を現実世界にする為にも、頑張るしかない!


アーサー王子は一通りのお嬢様と一緒に踊っている。日本でも明治の頃なんかはこんな感じだったのかなと思いつつ、アーサー王子が来るのを待つ。まぁどうせこの世界はご都合主義なので自分が選ばれると思うのだが。


自分の番が来た。アーサー王子は名前を聞く。

「ヴィラン=スカーレットですわ。」

正直言うとマリーより先に来たのは驚いた。マリー、カワイソス。

踊っていく、笑顔で上品に。この世界に来て、一応は踊りとか上品な立ち振る舞いをマスターしたのである。


アーサー王子はこう思っていた。

「悪役令嬢のような雰囲気があるのに、心の奥に優しさを感じる。」

皮肉なことに中身が川越なので、外見のヴィラン(悪役令嬢)と内見の川越稜(心優しいサラリーマン)のギャップに萌えていた。やっぱりご都合主義だ。仕方ない、なろう系だもの。もしもヴィランのままなら無理だったかもしれないが。


なんとアーサー王子はヴィランと踊った後、何処へも行かなかった。マリーはその様子に涙をする。アーサー王子の前なので上品な淑女であるが、恐らくいなくなれば罵詈雑言なんだろうなと思われる。


お見事、いや予定調和のアーサー王子との婚約。分かってた。最初に老人からアーサー王子と結婚しろと言われた時から。


ただ自分の心は晴れない。一つはマリーのことである。正直俺がヴィランじゃないって伝えたいぐらいだ。続いてアーサー王子との結婚である。アーサー王子と結婚しても、自分は見た目は女でも中身は男なので、アリスの方に好意を持っていた。そう、俺はアリスのことが好きだったのである。そりゃ身の回りの世話をしてくれる金髪美女。好きにならないわけがない。

「王子…使用人として仕えさせているアリスもこちらに呼んで良いかしら?」

俺はアリスと住みたい。その為アリスもアーサー王子の屋敷へ連れてくることにした。まぁアリスは老人と同じ自分を川越と知る人物ですしおすし。

はい、結婚しました。予定調和ですね。


都01系統、10分おきで使いやすいんですよ。孤独の棋士にも採用しようかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ