革命とか戦争とか大体異世界モノにはありがちだけど、世界史わからんとピンと来ないことも多いんだぞ!
世界史できますか?僕は日本史の方が好きです。
「おはようございます。川越様」
アリスがスムーズに朝の挨拶に来てくれた。助かる。まるで俺に嫁が来たみたいだ。
アリスが徹夜でアーサー王子について詳しく調べてくれたようだ。早速見ていこう。
この世界では20年前にフィレンツェと隣の国ドリームミントの間で戦争していたという。その戦争は10年続き、フィレンツェが勝利。ドリームミントの国民を奴隷として連れてきた。最後に指揮していたのはアーサー王子であり、勝利時に白馬に乗った絵が王宮には今も飾られているらしい。スカーレット家は戦争の際もかなり活躍したのだそうで、著名な家にランクインしたのだという。現在この国の著名な人はほぼほぼこの戦争の立役者なんだそうだ。
アーサー王子は富裕層には人気のある人物だが、旧ドリームミントの奴隷達からは酷く嫌われている。その為革命を起こそうと企てた。それが2年前。プールトゥジュール革命である。
「俺世界史あんまわかんねぇや」
学生時代世界史は何度か赤点取って補習を受けたレベルで苦手なのでこの話を理解するのにかなり苦労した。読者はついて来れているか?
プールトゥジュール革命は失敗に終わり、国王やアーサー王子は一部の反乱分子を幽閉した。そして今の平和なフィレンツェ国があるのだという。
「こんな複雑な設定マジで困るぜ。何がプールトゥジュール革命だ。営団民営化ぐらいわかりやすいモノなら良いのに。」
(営団はかつて戦争下で公共的な事業を行うために作られた組織のことである。当然地下鉄の営団もそれである。)
「営団?」
アリスが物珍しそうな目でこちらを見る。まぁこの世界に営団なんてあるわけない。
「あぁ、昔あった会社だよ」
会社ぐらいならこの世界にもあるだろう。中世だし。会社って大昔から存在したらしいし。まぁ営団は会社というより財団だが。
「会社…なるほど!戦争時に作られた東ドリームミント会社みたいなものですね!」
これだけ見ると未来明るい夢のある会社だろうなぁ、まぁ奴隷管理の会社だったそうだが。
「よし決めた。東ドリームミント会社だから東夢株式会社だ!」
ミントはどこへ行ったか正直覚えていない。ついでになんで株式なのか。まぁいいだろ。と楽観視した。絶対東ドリームミント会社は東夢株式会社に変えてやる!国の会社?民営化だ!日本っぽくしていくぞ!
昼になり来客が来る。ドアをノックする音、インターホン押せよと思ったがこの時代にインターホンなど無い。
ドアを開けるとマリー=スカーレットがいた。俺自身は初対面だが向こうは何度も会っている。というか自分を虐めてきた宿敵だ。
「舞踏会に出るのですか?ヴィラン…」
マリーの声はか細く泡沫のようだった。
「あぁ出るぞ…じゃなくて、出るわよ。」
女口調がサッと出てこないのはあるあるかもしれないな。
「そうですか…きっと貴女もアーサー王子を狙っているのですね…」
「えぇそうよ!悪い?」
俺の思う悪役令嬢を呼び出している。どうだろうか。よくできているか後でアリスに聞いておくか。
「わかりました…私も貴女に負けないぐらい頑張りますから…虐めてきたの忘れてませんから…」
マリーはそう言うと帰っていった。正直心が苦しい。あんな可憐な少女を虐めるなんてこのヴィランって奴は何考えてたのか。
「川越様、努力して悪い人を演じているのがバレバレです…」
アリスの評価はこんな感じ。バレバレだったか!しゃーないなぁ。
「そういえば、アーサー王子と結婚できたらどうするのですか?」
アリスが疑問に思ったのか聞いてくる。
「ん?そりゃ、まぁ、このプールトゥジュールを六本木に改名して、フィレンツェ国は日本帝国へ変更。名前もアーサー王子は川越旭王子にしてもらって自分は当然川越稜子として正式に命名されるのだ!」
俺の完璧な計画である。もしも戻れたらまた川越稜として過ごせるし、この異世界でも川越稜子として過ごす。
「あっ、そうだ。建物も六本木に相応しい高層ビルにしていくか!」
西洋風の建物を基本取り壊し、日本の建物にしていく計画だ。
ん?そういやヴィランはどこ行ったんだ?
俺は疑問に思った。また老人連れてくるのは可哀想なので、アリスに聞いてみる。
「恐らく、日本にいる川越様になっていると思われます。入れ替わりですね。」
なるほどと俺は納得した。フィレンツェの話とは大違いだ。
ん?そういやヴィランは虐める性格なんだよなぁと思った。果たして六本木のサラリーマンやってられるのだろうか。クビになってないか心配だ。
次回はなんか変な装置とか出そうかな。孤独の棋士に新庄伊織っていうプロ棋士がいるんですけど、彼が異世界好きなので、この世界に飛ばすのもアリかも?