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子供だけの夜の街

 俺は成人済みのロリコンだ。


 たった今、宇宙船の事故によってとある惑星へ不時着した。幸い命に別状はなく、着地地点からは賑やかな夜の街の景色が見渡せる。


 久々に酒と女を楽しむのも悪くない、と夜の街へ寄ってみた。ところが、俺を除いて街には大人が一人もいない。街を歩いたり店で働いたりするのは、子供や若者ばかりだった。


 俺の知る限り、夜の街は子供は入ってはいけない大人だけの世界のはずだが、どういうわけかこの街のどこの店も、酒やタバコを取り扱っていない。いずれも俺の文明では、二十歳以上のみに許された嗜好品なのだ。


 たまたま入った飲み屋も例外ではない。その代わり、その店ではノンアルコールを提供していた。この星には子供しかいないから仕方ないか、と我慢することにした。


 飲み屋に行く途中、十八禁に当たる娯楽や店は見かけた。俺の文明では十八歳以上のみに許された娯楽だ。とはいっても、この街は子供しかおらず、子供たちも十八禁を嗜んでいる様子だった。俺の文明と違い、この惑星では十八歳未満禁止というわけではないようだ。



 ふと疑問が浮かび、ノンアルコールを頼むついでに少女店員に聞いた。


「君たちはまだ子供なのに、なぜみんな十八禁を楽しんでいるのか」


 すると少女は、昔話から始めるように答えた。


「むかしむかし、加害者がいました。加害者は子供たちに十八禁を見せました。十八禁を見た子供たちは普段どんなに悪い子でも、たとえ自分から勝手に十八禁を見たとしても、例外なく全員が被害者になりました。


 でも今は加害者がいません。加害者になるのは十八歳以上の大人だけだからです。加害者がいなければ、被害者もいません。加害者も被害者も不幸になる運命。どちらもいなければ、誰も不幸にならないのです」


 この惑星でもかつて、未成年は十八禁を見てはいけないこととその理由、現在は未成年も十八禁を見ても問題ないということを、少女は可憐な声で語ってくれた。


 その後、後から出された料理を食べ、ノンアルコールも飲み干し、店を後にした。普通に良い店だった。ノンアルコールだけど美味い飲み物に美味い料理、そして、あの可愛い可愛い少女店員。


 待てよ。子供しかいないならば、これからは無垢な少女たちを何人も妻に迎え入れて大家族を作れるぞ。



 街の少女たち七人を拘束、誘拐しようと計画を実行した。しかし子供たちはただ弱いわけではなかった。子供の世界は、子供たちが治めている。


 七人の少女のうち一人は警察官だった。とはいえ所詮は無力な少女。大の大人の男には敵わず、俺は逃亡に成功した。


 ところが安堵したも束の間、次の瞬間、身体中に死ぬほどの激痛が走った。



「現在、この世界の人類の寿命は、長くて十七歳までに縮みました。おそらくこの男性の死因は、すでに十八歳以上だからと考えられます」



おわり

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