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6.恋愛運に恵まれない女を助けたいのです。

「では、ルイス、あなたも私の結婚相談所にサクラとして登録してください」

私は兄ルイスを結婚相談所のサクラとして採用した。


「兄上には婚約者がいるから、それは難しいよ」

ルイ王子が私に囁いてくるが、彼も私という婚約者がいるではないか。


「サクラなので本当に誰かとマッチングするわけではありません。ルイスあなたは次期国王という地位に加え、年の割に色気があります。その年で1人の女に決めて良いのですか? 1度自分がどれくらいモテるのか、男としての需要を確かめてみたくはないですか? このままでは親の敷いたレールを歩くだけのつまらない人生しかあなたには用意されてませんよ」


私はとにかく適当なことを言って兄ルイスを懐柔することにした。


兄ルイスは、相変わらず見下すような目で私を見つめ続けている。

黙っているということは、少しは興味があるということだろう。


私の経験から察するに、彼は自分の男の魅力には自信がありそうだ。


「兄上、僕からもお願いします。イザベラの心の回復のためには、とにかく何でもしてあげたいのです」

ルイ王子がすかさず援護射撃をしてくる。

彼は本当に優秀なサポーターだ。


「ルイがそういうなら、仕方ないな⋯⋯」

ルイ王子の口添えがあると、兄ルイスはあっさりと承諾した。

これは日頃からルイ王子が兄ルイスに尽くしていて、兄ルイスは彼に貸しががあるのだろう。


「ご協力いただきましてありがとうございます。ではルイ王子、私は疲れたので部屋に案内して頂けますでしょうか?」


私が言うと、そっとルイ王子は微笑んで私をエスコートしようとし出した。


「だから、何でお前はそんな偉そうなんだよ」

後ろから兄ルイスの叫びが聞こえ、私は彼の評価をさらに1ランク下げた。


「とても、素敵な部屋ですね。ちなみに、ルイ王子も王族かと存じあげますが、ルイ王子には王族用のもっと小さな太陽的な挨拶はしなくて良いのですか?」

部屋はとても綺麗な5つ星ホテルのような上品な部屋だった。


「イザベラは僕に特別な挨拶などする必要はありませんよ。僕はイザベラと対等な関係を築きたいと思ってますから」


ルイ王子は相変わらず大人だった。

彼は自分の呼び方も、兄ルイスのように私に指示してきたりしない。


「手ぶらできてしまいました。この国での起業の仕方がわからないのでご教授頂きたいのですが」

そういえば公爵邸から手ぶらできてしまったことを思い出した。

私はこの国での起業どころか、起業の仕方がよくわからない。


「必要なものは僕が準備するのでイザベラは心配しなくて良いですよ。起業については、僕がイザベラの希望を元に事業計画書を作り起業するので心配ありません。失敗するかもしれないので、僕が共同経営者としてイザベラを支える形を取ってもよろしいですか?」


ルイ王子はやはり一流のサポーターで、常に失敗を考えるネガティブ思考だった。


「分かりました。正直、私の前世でしていた職業とは違う分野なのでルイ王子のサポートがあるとありがたいです」

私は彼の全面支援を受けることに決定した。


「イザベラはどうして結婚相談所をやりたいのですか?」

ルイ王子はメモを取り出しながら、私の希望を聞こうとしてきた。


結婚相談所がどんなものか分からないのだろう。

しかし正直私も若い時に入っておけばよかったと思っただけで結婚相談所がどんなものか分からない。


「私は前職乗り物の中でお茶を出す的な仕事しかしていません。しかし、長期に渡り家を空ける仕事でした。私の職業は浮気相手にするには絶好の職業なのです。そのため様々な業種の男に弄ばれてきました。失敗の経験から男を見る目は磨かれている気がします。私のような恋愛運に恵まれない女を助けたいのです」


「つまり、慈善事業がしたいと言うことですか?」

私が人助けをしたいとルイ王子は誤解したようだ。


「違います。しっかり男からも女からも金を取ります。金にならないことはしないのが、私の主義です。シニアになったら子供達の見守りで、旗振りのボランティアをするかもしれません。しかし、今は自分のことで精一杯です」

人助けをする暇があったら、私が助けてほしいくらいだ。


「分かりました。つまりお似合いの男女を見つけて、結婚まで導く仕事がしたいのですね」

ルイ王子は洞察力に優れているようだ。

まさに、私がしたいことを言い当ててくれた。


「流石、ルイ王子です。物分かりがよろしいですね。しかし、登録会員がいない状態で初めても誰も登録に来ません。そこでルイスとルイ王子に人集め的な意味で会員になって貰おうとしたのです。ちなみに私の考えるターゲットの顧客は玉の輿目当ての平民です。貧乏人から搾取する方法を取ろうと思います」


大国の王子2人が会員になれば、人生の一発逆転を狙った女どもが会員になろうとするだろう。

もしかしたら、王子が登録していることで別の貴族男性も自分のモテ度を試しに登録しにくるかもしれない。


「確かに貴族はすでに婚約者がいるから登録には来ないかもしれませんね。イザベラの希望に沿って事業計画書を作り、速やかに起業しますね。イザベラの息抜きになってくれればと僕は願っています。今日はもう疲れましたよね。すぐにイザベラの身の回りの世話をしてくれるメイドを呼んできますので、今日はゆっくりと休んでくださいね」




少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク、評価、感想、レビューを頂けると嬉しいです。貴重なお時間を頂き、お読みいただいたことに感謝申し上げます。

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