25.まずはあなたから落とします。
「それから私の一時の感情により放ったらかしにしてしまっている結婚相談所の件ですが、婚活パーティーでカップル成立やトラブルはありましたか? 」
1年8ヶ月前の報告を今ちゃんと聞こうとするくらい、私も衝動的に生まれながら可愛いイザベラに嫉妬してしょうもない行動をとったことを再確認した。
強制力が働かなくても抑えられない衝動性は確かに存在するのだ。
「トラブルはなく、皆楽しく過ごしましたよ。カップル成立は下位貴族の間ではありました。高位貴族とは違い彼らは幼い時から婚約者がいたりはしません。カップル成立後の動きを見ていましたが、その後連絡の取り合いなどはしていない様でした。やはり貴族において恋愛結婚の成立は難しいのかもしれませんね。」
流石はルイ王子だ、カップル成立後の動きまで観察してくれている。
まさに私の欲しかった情報で、彼の優秀さにますますときめいてしまう。
「ルイ王子、1年8ヶ月もの間、私の放り出した事業を支えてくれてありがとうございました。これより結婚相談所は慈善事業としたいと思います。イザベラの現状を考えると、とても人様からお金をとって良い立場ではありません。むしろ、好意でカップルを結びつける様なことをして評判をあげたいと思います。成立したカップルに文通するように促してみようと思うのですがどうでしょう」
マッチングアプリが出会いとして浸透してきた時には、35歳を過ぎていて私は登録する勇気がなかった。
あれは文通的なもので仲良くなってから会うというシステムなのだろうか、とにかくヒットしているので真似してみようと思ったのだ。
「それは良い考えだと思います。下位貴族であれば、そこまで家と家にこだわらず本人たちの気持ちを大事にする家庭もあるでしょう」
ルイ王子の言葉にやはり、イザベラは問題児である上に公爵令嬢という高い地位だから彼は婚約を申し出たのだと感じた。
私は最初こそ次期国王にならない彼は価値がないように言ってしまったが、今はその様なことどうでも良くなるくらい彼に惹かれている。
♢♢♢
アカデミー入学より先立って、私はアカデミーの女子寮に入寮した。
入学の2週間前から入寮できて順次、寮に貴族令嬢が集まってくる。
希望通り2人部屋で、ルームメイトになるのはミーア・リンド男爵令嬢だ。
私は早めに入寮し彼女がくるのを待った。
まずは彼女から落とす予定だ。
「あ、イザベラ様、今日からよろしくお願いします」
明らかに問題児イザベラとルームメイトになったことに戸惑いながら部屋に入ってくる。
肩までの茶髪にピンク色の瞳をした彼女はナチュラル系の可愛い子だ。
もしかしたら、ヒロインになり得る自然体の魅力を感じた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。イザベラ・バーグと申します。ミーア様、あなたに会えるのを楽しみにしてたんです」
貴族令嬢は感情を見せない表情管理をするらしいが、私は寮内を自然体で感情を出して過ごせる特区にしようと思っていた。
満面の笑みで出迎える私にミーア様が驚いた顔をしている。
「ミーア・リンドと申します。名乗りもせずに失礼しました。髪型とても素敵ですね」
私が名乗ったので、自分が名乗っていないことに気がつき慌てて名乗ってくる。
「実は自分でやりました。今日の私、大人っぽいとは思いませんか?メイクも自分でやったのです。ミーア様は可愛いから、私にヘアメイクさせてもらえませんか? 」
私はブスな自分を雰囲気美人まで持っていくというメイクのプロだ。
早朝フライトの時、朝3時に起きようとしっかりと整形級のメイクをして出勤していた。
ちなみに一番得意なヘアセットは夜会巻だ。
友達の結婚式にたくさん出席しているので、節約の為に美容室でセットする並の様々なまとめ髪をマスターした。
とりあえず美容部員になったつもりで、彼女に話しかけながら警戒心をといていくことにした。
「え、良いのですか?実は私ヘアメイクとか疎くて。高位貴族の方はそう言ったことは全てメイドがやられるのかと思っていました。いつも、イザベラ様はノーメイクでしたよね」
ミーア様の言葉にイザベラの嫌われポイントを見つけた。
イザベラはノーメイクで生まれながらの可愛さを、必死にメイクしている女子の前で見せつけてきたのだ。
「私はヘアメイクの達人ですよ。メイクしていないように見せるメイクをもちろん施しています。ちなみに、セクシー系、キュート系、ゴージャス系、おまかせどれを選びますか? 」
私は彼女を早速座らせてヘアメイクをする準備をした。
「えっと、おまかせでお願いします。」
ミーア様が、私への警戒心を解いてきたのが表情で分かる。
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