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14.適当な性格の既婚女性が作ったこの世界が憎い。

「カルロス、レオハード帝国の皇家の紋章ってレオ王国の王家の紋章と酷似してませんか?どちらが先ですかね?訴えてみたら、お金取れるんじゃないですか?」


カルロスと旅を始めて1年半、来月には私は12歳になる。

私とカルロスは世界の東部よりに位置するレオハード帝国に来ていた。


のんびりと半年かけてレオ王国に戻れば良いだろう。


「レオ王国の方が創立は古いですが、レオハード帝国の皇家を訴えるのはリスクが高いかと思われます。レオ王国は帝国と距離があるため侵略の危機に瀕することはありませんが、皇家を怒らせて帝国軍にでも攻められたら危険です。それにしても、やはりルイ王子殿下の婚約者だけあっていつもレオ王国のことを考えていらっしゃる」


カルロスは私目当てで私についてきたのではなかった。

元々、彼はルイ王子から最も信頼される専属護衛騎士だったらしい。


ルイ王子は私が王宮に住みはじめた時から、これからは私を君主として必ず私を守り私の指示に従うことと彼をつけていたという。


全く彼のことを私が紹介されなかったのは、常に護衛騎士がつく王族の自分は慣れているが私が常に騎士をつけられているとストレスを感じそうだから影から守るようにと言われていたのだ。


「ルイ王子殿下、すごくないですか? 逆にルイス王太子殿下やばいですよ。実は弟の婚約者である私のことを好きとか言い出して、次期国王になるには言動とか幼くて本能にも逆らえない男です。次期国王は断然ルイ王子殿下にした方が良いと思うのですが、やはりルイス王太子がポックリ逝かない限りそのチャンスはないのでしょうか」

私はカルロスにしか聞こえないように小さな声で彼に言った。



私をめぐった兄弟喧嘩の勃発に、私は生まれながらに可愛いこの体の主イザベラに嫉妬し旅に出た。


全ては私が39年間の雰囲気美人よく見ればブス珠子であったことで持ってしまっていた「生まれながら可愛い女への嫉妬心」が生み出した逃亡劇だ。

しかし、旅をはじめて時間を置いて今まであったことを振り返ることで私は気がついた。


明らかにしつこくルイ王子に私との婚約破棄を迫っていて、自分の婚約者を放ったらかしにしていた兄ルイスは元々イザベラが好きだったのではないか。


私に性格が別人だとか抗議するくらいには、イザベラのことを知っているようだった。


勝手に可愛すぎるからイザベラが好かれたと誤解したが、王宮に住むことで以前より距離の近くなったイザベラに兄ルイスが気持ちを抑えられなくなった可能性を感じてきたのだ。


「流石に、外でするには小さな声でも会話の内容が危険ですよ。国王陛下は他兄弟を殺して国王の座を射止めています。兄弟間で王位を巡って殺し合って欲しくないから、持っている能力や資質関係なく長子に王位を相続させようと決めていたのだと思いますよ」


カルロスは無口だが、いつだって私の質問には応えてくれた。

余計なことを言わず、質問には応えるという1番側にいてストレスのかからないタイプだ。

そして、今、聞こえるか聞こえないかの声で私に囁くように話してくるということは危険な会話内容ということだろう。


「世界を旅して思ったのですけれど、国名適当な国ばかりですね、サム国とか、アツ国とか。あと、王族の女はブスなのに、男は必ずと言って良いほどイケメンなのも変だとは思いませんか? 血繋がっているのに、似てないのですよ」


私は、世界を旅するうちにこの世界が作られた異世界だということを確信した。

国の名付けは適当で、重要そうな男はみんなイケメンなのだ。


これは適当な性格の女が作った世界だ、私の一番苦手なタイプの女で私はそういう女ほど結婚が早いということを知っている。


前職で同じような仕事を繰り返すうちに、私はマイルールを作ってしまう人間になっていた。

自分のやっていることに価値を見出したくなるのだ。


通常、離陸、着陸の間は事故が起きやすいクリティカルフェーズと言われている。

そのような時にコーヒーを抽出するボタンは入れないのが当たり前だ。


しかし、私はいつからか羽田から大阪のような13分程度しかサービスタイムが取れない時は離陸前にボタンを押して良いというマイルールを作っていた。


若いCAがある日、私が勝手に作ったルールの危険性を指摘してきた。

非常にルールに忠実なしっかり者だ。


そのようなタイプは結婚しずらい、あの時の彼女はまだCAとして空を飛んでいる。


私の作ったおかしなルールを気にも止めずに、適当に勤務していた若いCA達はすでに寿退社していた。

私は自分がマイルールを作っていることにも、中々気が付かない一番面倒な人間になっていった。


「イザベラ様は流石はルイ王子殿下の婚約者ですね。国名は全て2文字なことに21年間生きてきて今やっと気が付きました。帝国は2文字ではないから、やはり警戒した方が良さそうですね」


この世界はイケメン好きな適当な性格の既婚女性が作った世界。

憎むべきこの世界で私は何もおかしなことをしていないのに、突然私に逃亡された愛しいルイ王子に思いを寄せた。


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク、評価、感想、レビューを頂けると嬉しいです。貴重なお時間を頂き、お読みいただいたことに感謝申し上げます。

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