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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第3章 その兜は勇気をもたらす
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第9話 大きな地図を見ながら

 読んでくださりありがとうございます。修羅の国へはどうやって行くのでしょうか。


 朝になりマシューとレイモンドはエルヴィスの家へ来ていた。いつもはエルヴィスが隣にいるのだが今日はマシューとレイモンドしかいないのである。恐る恐る呼び鈴を鳴らそうと手を伸ばしたその時、上の方から何かが開いた音がしたのだ。見上げると窓からエレナが顔をのぞかせていた。


「鍵なら開いてるから勝手に入っていいよ!」


「なんだ鍵は開いてたのか」


「入ったら鍵は閉めておいてね!」


「了解」


 マシューとレイモンドは鍵のかかっていない扉を開けて家の中に入ると言われた通りに鍵を閉め階段を上がり屋根裏部屋の扉を開けた。中には既にエルヴィスとエレナが地図を広げて待っていたのだ。


「もう全員揃っているとはね。……もうちょっと早く来るべきだったか?」


「エレナもさっき来たところだよ。……それじゃあ全員揃ったことだし、早速始めようか」


「それが地図かい? 結構大きいものなんだな」


 広げられた地図を見ながら感心したようにマシューが呟いた。その地図は帝都を中心にかなり広い範囲で描かれていた。だが描かれている範囲が広い分細部まで描かれている訳では無いようだ。この地図は大体の位置関係を知るためのものなのだろう。


「帝都と修羅の国がある辺りまでとなるとこのサイズの地図になるんだよ。……ただ、これだと細部まで詳しくは描かれていない。そこでこいつの出番という訳さ」


 得意気な表情でエルヴィスは収納袋からあるものを取り出した。小さく折り畳んである紙切れに見えるそれはどうやら何かの地図のようである。


「この大きい地図の他にとりあえず3枚の地図を用意したよ。これだけあれば修羅の国までの道のりは詳しく分かると思うよ」


「あぁ、ありがとう。それじゃあ最初に大きな地図から見ていこうか」


 改めてマシューは既に広げられている大きな地図をのぞき込んだ。帝都を中心に描かれたその地図にはマシューとレイモンドも知っている紅玉の森や夜凪海岸が描かれていた。そしてそこから先にある砂漠地帯や山岳地帯も描かれていたのである。それを見ながらマシューは少し首を傾げていた。


「……これが紅玉の森で、これが夜凪海岸でいいのかな」


「あぁ、それで合っているよ。その先には白夜砂漠や山岳地帯が広がっているんだけど、今回はそこはあまり関係ない。目指す修羅の国があるとされている場所はここだよ」


 そう言ってエルヴィスは地図のある場所を指差した。その場所は嵐馬荒原をさらに進んだ奥にある小さな町のような場所である。


「……この小さな町みたいなところかい?」


「一応僕が読んだ資料によるとそこらしい」


「……嵐馬荒原の奥だから危険な場所と言えば危険な場所だが、……場所も分かっているんならいつかはたどり着きそうに思うぞ? なにか理由があるのか?」


 レイモンドのその指摘はもっともである。エルヴィスとエレナは修羅の国への行き方を探しているはずである。だが2人はもう既に修羅の国の場所を把握しているようなのだ。であれば他に何か特別な理由があるはずである。そうでなければ納得が出来ないのだ。


「……僕もそう思っていたよ。この地図を見るまではね」


「この地図?」


「修羅の国の入り口付近を詳しく記されている地図さ。2人とも見てみると良いよ」


 そう言ってエルヴィスはマシューとレイモンドに小さく折り畳まれた地図を手渡した。それを丁寧に広げて見てみたのである。……なるほど、行き方が分からないと言うのも納得出来よう。


その詳しく描かれた地図によれば修羅の国は嵐馬荒原と繋がっていないようである。嵐馬荒原と修羅の国は切り立った谷によって切り離されている。そしてそれを渡るための橋は何ひとつかかっていないのだ。


「……なるほど、この谷を越える方法が知りたいって訳か」


「あぁ、現状乗り越える手段が頭に浮かばないんだ。地図の上で見ると簡単に乗り越えられそうだが、実際はかなりの距離が離れているはずだ。正攻法でこれを越えるのは難しいだろう。そこで《知恵》の力を借りたいんだ。……何か考えがあるんだろう?」


 そう言ってエルヴィスはマシューを見つめた。エレナもレイモンドもマシューの顔を見つめている。マシューは目を瞑ってしばらく頭の中を整理するとやがて目を開けた。だがその顔は少しばかり怪訝なものであった。


「……? どうしたんだ? 何か分からないことでもあったか?」


「……俺の考えが正しければ問題なく乗り越えられるはず。俺の考えが正しいかどうか、この地図を見て判断するのは難しいけど、……まあ多分大丈夫だと思うよ」


 マシューのその返答にエルヴィスはほっと胸を撫で下ろした。マシューが怪訝な表情だったため地図を見て行き方が分からなくなったと言うと思ったのだ。マシューは少し自信無さげではあるがきっと大丈夫だろう。


「ちょっと不安そうだったから心配したよ。それじゃあその考えってのを聞かせてくれ」


「……その前に、ひとつ確認したいことがあるんだ」


「確認?」


「今見ているこの地図は正確に描かれたものだよね?」


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