表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第3章 その兜は勇気をもたらす
88/234

第2話 懐かしき出会い

 読んでくださりありがとうございます。どうやら懐かしい人と出会うようです。


 すんなり合流を済ませた3人が早速ギルドの中へ入ろうとしたその瞬間、後ろから声をかけられたのだ。振り返るとそこには緑と銀を基調にした鎧に身を包んだ人物がにこやかにこちらに手を振っていた。深緑の騎士団グリフォーンの騎士団長ニコラである。


「久しぶりだね。冒険者として順調なのかい?」


「順調だよ。ニコラはどうなんだ?」


「まあまあかな。ええと一緒にいるのは……」


 ニコラはエルヴィスのことが少し気になるようだ。エルヴィスと一緒に行動するようになったのはニコラと会う後のことであり2人に同行している人物が誰か気になったのだろう。自然な流れだと思うがなぜかエルヴィスはニコラと目を合わせまいと顔を伏せていた。


「エルヴィスだな。職業は……確か魔法使いだったかな」


「へぇ、エルヴィスのことも知ってるの?」


「もちろんさ。以前帝都で仕事をしている人は全て把握してると言っただろう? それにエルヴィスの親父さんは僕にとって馴染みのある人だからね」


「……馴染み?」


 どうやらニコラはエルヴィスの父を知っているようだ。エレナの両親は知っているが2人はエルヴィスの両親のことは何も知らない。2人も自分の親のことを何も言っていないのだから聞くことも無かったのだ。だが、ニコラが気になることを言ったのでマシューはつい聞いてしまったのだ。


「騎士団長なんだから馴染みがあるのも当然でしょう。僕たちは少し急いでいるのでこの話はまた後にしてください。さ、早くギルドの中へ入ろう」


「そうか。呼び止めて悪かったね。それじゃあ3人とも頑張って」


 エルヴィスは自分の親の話を相当されたく無いらしく強引に話を終わらせてしまった。幸いニコラはそれを気にしておらずそのままにこやかに去って行った。そしてエルヴィスはその流れでさっさとギルドの中へ入って行ってしまったのだ。2人はやや戸惑いながらもエルヴィスを追いかけてギルドの中へ入った。


――

冒険者ギルド

――


 ギルドの中は相変わらず独特の緊張感で満ちていた。中に入って辺りを見渡すと受付にエルヴィスの後ろ姿が見えた。もう納品をしているらしい。そう言えばエルヴィスも納品するものがあると言っていたなと思い出しながら2人も空いている受付に向かったのだ。


「……納品をお願いしたい」


「はい、納品ですね。それでは収納袋をお願いします」


言われるがままマシューは収納袋を手渡した。討伐してから少し間が空いている討伐の証を納品するのは初めてである。収納袋の中に入れてあるので大丈夫だろうとは思いつつもマシューは少しだけ緊張していた。


「お待たせいたしました。計算が終わりましたので今回の討伐報酬をお渡しします。今回の報酬は金貨が5枚と銀貨が1枚になります。確認をお願いします」


 マシューとレイモンドの目の前に金貨と銀貨が並んでいた。かなりの数の討伐の証を納品したこともあり報酬金は弾んでいたのだ。予想以上に報酬金が貰えたことに喜びながらレイモンドが1枚ずつ丁寧に仕舞っていると受付の女性はさらに続けて口を開いた。


「今までの納品は全てお2人で討伐されたものでしょうか?」


「……?」


「あぁ、失礼しました。言い方が違いましたね。モンスターの討伐数は評価に直結しますので他に協力された人がいらっしゃるなら言ってもらえると助かるのですが」


 ここでようやく2人は受付の女性が何を言いたいのかが分かった。討伐したモンスターの数が個人の評価に繋がる故にパーティとして活動しているならそのメンバーも教えてくれと言っているのだ。


マシューは討伐した時を思い出しながら受付の女性に伝え、受付の女性はそれを丁寧にメモに取るとそれを横の壁へ貼り付けた。後で記録に反映するのだろう。


報酬金も受け取りもう用は無いだろうと立ち去ろうとする2人を受付の女性は呼び止めた。まだ何かあるのだろうか。受付の女性は1つ咳払いをしてからにこやかに2人に笑いかけた。


「おめでとうございます。ギルドの規定によりお2人の階級が昇格いたしました」


「……昇格?」


 あまり聞き覚えの無い単語にレイモンドは首を傾げた。確か冒険者登録をした際に説明があったはずである。記憶が正しければ帝都への貢献度によって階級が上がる仕組みだったはずだ。つまりモンスターを討伐し納品をいくつかしたため規定を満たしたのだろう。


「更新いたしますのでギルドカードをいただけますか?」


「どうぞ」


 断る理由も無いので素直に2人はギルドカードを取り出してテーブルの上に置いた。現在2人の階級は青銅級であり昇格すれば赤銅級になるはずだ。少し待っているとやがて受付の女性は真新しいギルドカードを持ってきたのだ。やはり予想通りギルドカードは赤銅色をしていた。


 今度こそもう用は無いだろうとギルドカードを受け取った2人は受付を立ち去った。そして先に納品をし始めていたエルヴィスの姿を探したのである。辺りを見渡すと少し歩いた先にエルヴィスらしき人物がにこやかに談笑しているのが見えた。


「ここにいたんだね。探したよ」


「あぁ、悪いね。ちょっと探していた人と会えたものだからさ」


「探していた人? ……あぁ! あんたあの時の!」

 

 エルヴィスが誰と話しているのか最初は分からなかった。だがややぎこちなく笑うその顔には2人とも見覚えがあったのだ。目の前のこの人物は古代樹の空洞で出会った名も知らぬ男性である。どうやらあれから無事に帰ることが出来たようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ