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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第2章 知恵の果実は近くもあり遠くもある
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第30話 立ちはだかる鳥型モンスター

 読んでくださりありがとうございます。いよいよ知恵の樹上の攻略開始です。

――

知恵の樹上

――


 知恵の樹上に辿り着いたマシューは目の前に広がる光景に驚きを隠せなかった。紅玉の森の中で太陽の光が届かない理由がよく分かる。マシューの目の前にはまるで地面と見間違うほど広く一面に生い茂るりんごの葉があったのだ。


「マシュー、足元には気をつけろよ。下に枝が無い場所だと下に落ちてしまう」


「それ上から見て分かるものなのか?」


「……よく見れば判別は可能だよ。まあ、よく見る余裕はあまり無いけどね」


 マシューが聞こえて来た声に振り返るとエルヴィスがゆっくりと知恵の樹上へ登って来ていた。これで全員が知恵の樹上に辿り着いたことになる。しかしよく見る余裕が無いとはどう言う意味だろうか。


「マシュー、足元を見る前に上空を見てみなよ」


「上空?」


 そう言われてマシューは上空を見上げた。なるほど、これは余裕が無い理由が分かるかもしれない。やや大型のものから小型のものまで大小様々の鳥型モンスターが上空からこちらを見下ろしていたのだ。どれも不気味ではあったがその中でも白いやや大型のモンスターがなぜかマシューにはとても恐ろしい存在に思われた。


「紅玉の森と全然違うと言うのはこういう意味か。こんなにも鳥型モンスターが多いとはね」


「……知恵の樹上では鳥型モンスター以外は遭遇しないと思って良い。それ故に視線はどうしても上にいく。だが、その上で足元にも気をつけておく必要がある。戦闘に集中し過ぎて足を踏み外して落ちるのはよくある話だ。……ちなみに落ちると最初からやり直しだから落ちないようにね」


 やはり足を踏み外して落ちることはよくあることのようだ。4人の中で最も動き回るのはマシューである。恐らく足を踏み外して落ちるのはマシューだろう。落ちてしまわないよう注意して動く必要がある。


 そして対するモンスター側からすればフィールドは自由そのものである。なにせ空を飛ぶのに足場の確保は必要無いからだ。不安定な足場に自由に動き回るモンスター。限りなく厄介な状況である。そのことに思い至りマシューは呼吸を整えるため1つ息を吐いた。


「さて、覚悟は決まったみたいだね。大丈夫、小型のモンスターなら僕が何とかするからさ」


「へぇ、何か良い魔法でもあるのかい?」


「まあ、戦闘になれば分かるさ。足元に注意して進んでいこう」


 そう言ってエルヴィスは微笑んでいる。エレナはどこか誇らしげだ。なるほどこれは信頼して良さそうである。《知恵》の象徴を手に入れるにはこの知恵の樹上の攻略は欠かせない。覚悟を決めたマシューはにこりと笑って前に進み始めたのだ。


 進み始めて約 2分が経過していた。やはり足場が不安定なこともあり入り口からさほど距離は進んでいない。地面を歩く時に比べて進行速度は3分の1と言うところか、思ったより時間がかかりそうで中々ストレスである。だが、予想外なことは他にもあったのだ。


「……案外戦闘をしかけて来ないんだな」


「そうだね……。前に僕らが攻略した時も戦闘数自体はかなり少なかったよ」


「へぇ、そう言うものなのか」


 足場に注意しながら進む関係上、進行速度はかなり遅くなる。これに戦闘が加わるとなるとかなり時間がかかると思っていたのだが、案外モンスターたちは好戦的では無いようだ。それなら安心出来るとマシューは一歩踏み出した。


 が、その先には枝が無かったらしい。ギリギリのところで踏み止まったマシューだが、体勢を立て直すのは中々難しい。それを見て好機と考えたのだろう。1体のモンスターが上空から滑空して降りて来たのだ。


「マシュー! 足場は大丈夫か⁉︎」


「……なんとか大丈夫。今は太い枝の上にいるよ。それよりモンスターが攻撃を仕掛けて来てる」


 滑空しながら降りて来たモンスターは小型の鳥型モンスターである。体勢を立て直した今なら問題なく戦えるだろう。自分から近づいてくるモンスターにカウンターを仕掛けようとマシューはウェイトソードを構えようとした。だが、それはエルヴィスに止められたのである。


「マシューが大丈夫なら僕が何とかするって言ったでしょ? まあ見てな。……【重力付与グラビティギフト】!」


 エルヴィスは杖を前に構えて魔法を発動させた。発動された魔法は【重力付与グラビティギフト】。効果範囲こそ狭いものの対象にかかる重力を加重するものである。本来ならば動きを制限するだけの魔法だが、空中にいる鳥型モンスターには効果的である。体の小さなそのモンスターは加重された重力に思うように体が動かせずその場で留まることしか出来なかった。


 こうなれば格好の的である。エルヴィスは杖を構えたまますぐさま【闇弾ダークショット】を発動。【闇弾ダークショット】に貫かれそのモンスターはあえなく葉の上に落下した。そしてその下に枝が無かったのだろう、バリバリと音をたてながら紅玉の森へと落ちて行ったのだ。


「……討伐完了」


「すごいね。【重力付与グラビティギフト】……、強力な魔法だな」


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