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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第2章 知恵の果実は近くもあり遠くもある
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第16話 立ちふさがるは紫の城

 読んでくださりありがとうございます。キャッスルタートル戦のスタートです。


「やはりキャッスルタートルだったか。あいつを攻略するのは中々面倒なんだ」


「面倒と言うと?」


「今あいつの体の色は紫色なんだが、このモンスターは相手の攻撃に合わせて自分の体の色を変えてくるのさ。赤なら直接攻撃に対して、青なら魔法に対して高い防御性能を発揮する。そして体の色を変える速さはおよそ2秒間」


 どうやらキャッスルタートルは相手の攻撃に合わせて自分の甲羅の色を変える器用なモンスターのようである。


 そして変色にかかる時間はおよそ2秒間らしい。つまりこの番人ガーディアンを倒すには魔法とほぼ同時に直接攻撃を叩き込まねばならないと言う訳だ。


「……魔法は消耗戦になるとどんどん不利になる。全員で畳みかけよう。魔法は僕に任せてくれ。君たちは青色になった時を狙って欲しい」


「分かった! まずは俺から行こう」


 エルヴィスのその言葉に2人は頷きまずはマシューがキャッスルタートル目掛けて駆けた。先程同様【速度支援スピードアシスト】をかけてくれているのだろう。マシューの体はいつもより軽くどこまでもスピードに乗れそうである。


 マシューはカウンターに気をつけるためにいつでも方向転換が出来るよう速度を調整しながらキャッスルタートルに近づくとそのままウェイトソードを横に薙ぎ払った。攻撃が当たる瞬間キャッスルタートルの甲羅の色が赤く変色した。だが攻撃を急に止めることは出来ない。そのままウェイトソードを振ったマシューは簡単に弾かれてしまったのだ。


 弾き飛ばされながらマシューはエルヴィスの方へ顔を向けて叫んだ。


「エルヴィス! 魔法を!」


「分かっている! 【闇弾ダークショット】」


 エルヴィスからもキャッスルタートルの甲羅の色が赤くなったのが見えたのだろう。すぐさまエルヴィスは【闇弾ダークショット】を発動させた。着弾した衝撃で土埃が舞う。


 見た目では中々のダメージを与えられていそうだが、エルヴィスにはそこまでの手ごたえは無かった。土埃が晴れ現れたのは青色に甲羅の色を変え平然とした顔のキャッスルタートルである。


「……これは中々厳しいかもしれないな」


「マシュー! いったん戻って来い!」


 レイモンドのその叫び声を聞いてマシューはレイモンドとエルヴィスのところへ戻った。その間のキャッスルタートルは追撃を仕掛けて来る様子は無い。今のところ攻撃と言う攻撃は受けていない。だからこそ何らかの形でダメージが与えられれば攻略出来そうではある。……だがその何らかの形が何なのか、3人にはさっぱり浮かばないのだ。


「……事前情報通りなら変色にかかる時間の隙間を狙って攻撃すればダメージは与えられると思っていたんだ。……だけど、これはちょっと認識を改める必要があるな」


 キャッスルタートルが甲羅の色を変えるのにかかる時間はおよそ2秒間。これがエルヴィスが知っているキャッスルタートルの事前情報だった。


 しかし、実際は変色にかかる時間は一瞬であり、しかも変色してから次に変色するまでにかかる時間がおよそ 2秒間だったということなのである。


 そのためエルヴィスの魔法が発動してから着弾するまでは2秒以内だったが、マシューが攻撃してからだと2秒はとうに過ぎており、変色が間に合ったがために【闇弾ダークショット】のダメージがほとんど無くなってしまったのだ。


「マシュー、攻撃してみて感触はどうだった?」


「……正直全く手ごたえは無かったよ。思い切り弾かれてしまったしね。甲羅が赤い時に直接攻撃してダメージを与えるなら相当な力が必要だな。……あの人が倒せなかったのは当たり前だよ、1人で倒すのは絶対に無理だ」


 言いながらマシューは先程の男性を思い出していた。彼が絶望の表情だったのはキャッスルタートルの高過ぎる防御性能が故だろう。エルヴィスもまた思い出していたようだ。どうやって攻略していけば良いか分からず2人は険しい表情である。


 だが、レイモンドだけは違った表情である。マシューの攻撃とエルヴィスの魔法を見た上でじっと何かを考えていた。


 ……そしてようやく結論が出せたようだ。彼はゆっくりと言葉を発した。


「……さっきからずっと考えていたんだ。キャッスルタートルは赤い甲羅の時は直接攻撃に、青い甲羅の時は魔法攻撃に対してすごい防御性能を発揮するんだよな?」


「そうだよ、さっきそれを見てただろ?」


「だよな。……なら甲羅が紫色の時はどうなるんだ?」


 一瞬の静寂が生まれた。レイモンドの疑問に答えられず2人はただキャッスルタートルを見て、キャッスルタートルはただじっとこちらを見つめていた。


 レイモンドのその疑問はもっともである。一番最初にキャッスルタートルが姿を現した時、甲羅の色は紫色であった。赤や青に変色しているが紫色に変色するパターンはまだ見ていない。攻略の糸口がどこかにあるのならば、それはきっとそこにある。レイモンドはそう確信していたのだ。


「紫色……ねぇ。直接攻撃すれば甲羅は赤色に、魔法で攻撃すれば青色になる。……そして赤色に紫と言うのは赤と青の中間色。……つまり」


「両方同時……だな」


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― 新着の感想 ―
[一言] 相手の攻撃に合わせて色を変える訳ね。仮面ライダーのフォームチェンジみたいなもんかな(*゜Q゜*) 確かに一人で相手して倒せるような相手じゃ無さそうだね~
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