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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第1章 風吹き荒れる平原の中で
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第20話 ライアンおすすめの武具たち

 読んでくださりありがとうございます。ライアンはどんなものを持って来るんでしょうか。


 そう言うとライアンは店の奥へ引っ込んでしまった。恐らくしばらくは戻ってこないだろう。2人は大人しくライアンが戻って来るのを待つことにしたのだ。マシューは自分が手に持っているウェイトソードをしげしげと眺めていた。


「良い武器が手に入ったな」


「そうだね。……そう言えばレイモンドはその……何だっけ?」


「木彫りのアトラトルのことか?」


「そう、それ。武器はそれだけで良いのか? ライアンは防具ってはっきり言ってたからそこに君の武器は含まれていないんじゃない?」


「そう、そうなんだよ。まだ俺の武器はこれしか無いんだよな。でもこれと言って欲しい武器も浮かばなくてよ……。ひとまずお前の戦闘を見ながら決めようかな。いざとなったらお前のその剣でも振ってみるさ」


 そう言ってレイモンドはマシューが腰に下げている剣を指差した。どうせマシューはこれから先ウェイトソードを使っていくのでこの剣をレイモンドが使うことに何の支障も無い。


 気がかりがあるとすればアンガスが武器はなるべく新しくするよう言っていたことくらいか。まあそれでも無いよりは遥かに良いに違いないが。


「ほい、お待たせしたな。これがお前さんの防具でこれがそっちのお前さんだ」


 戻って来たライアンはマシューに小さめの盾と鎧を、レイモンドには立派な兜と鎧をそれぞれ手渡した。見たところ種類が大きく違っている他防具の部位も異なる。2人とも少し戸惑った表情でライアンを見た。ライアンは大真面目な表情である。


「持ったら分かると思うがその盾と鎧はかなり軽くて丈夫なものじゃよ。名前は盾が十字紋の小盾、鎧がアイアンプレートと言う。防御を固めつつ敏捷性をある程度確保しておるから存分にウェイトソードを振ったら良いの。そして反対にそっちの兜と鎧は防御の高さに相応しい重みを持っておる。名前がそれぞれビークヘルム、ヘビィメイルじゃの。お前さんが持っているその銀の大盾と合わせれば相当強固な防御を実現してくれるじゃろう。……防具の説明は以上じゃ。何か他に分からないことは無いか?」


 どうやらライアンはマシューとレイモンドそれぞれで防具を選んで来てくれたようだ。それに気付いたマシューは感激しているのか視線がライアンと防具とで行ったり来たりしており、レイモンドは既にビークヘルムを装着して顔部分の開閉ギミックに気付きひとりテンションを上げていた。


「ふむ、どうやら気に入ってくれたようだな」


「気に入るも何も不満なんてあるはず無い。……本当にあの値段で売ってくれるのか?それが俺には信じられないんだ」


「あぁ、売ってやるとも。防具まで見せた状態でやっぱり売れんと言うのは意地悪過ぎるからの。お前さんたちは値段なんて気にするな、わしが勝手に自分で値下げしただけのこと。気兼ねなくその防具たちを使うがいいの。それじゃあ約束の代金をもらおう」


 慌ててレイモンドはビークヘルムをつけたままライアンに近づいてお金を手渡した。金貨2枚に銀貨4枚、銅貨5枚と約束通りのお金がレイモンドからライアンに手渡された。満足そうに頷くとライアンはそのお金をズボンのポケットに突っ込んだ。


「あぁ、確かにちょうど受け取ったよ。それじゃあ頑張るんじゃぞ。……そうじゃ、お前さんたちの名前を聞いておこうか」


「俺がレイモンドでこっちがマシューだよ」


「そうか、レイモンドにマシューだな。覚えておくよ。……ん? お前さんちょっとその剣をわしに見せてくれるか?」


「……この剣を?」


 そう言われてマシューはライアンに剣を差し出した。名前も知らないこの剣だがライアンは何か知っているようである。かなり顔に近付けて見ていたかと思うと裏返したり、刃の状態を確かめたりし、そして最後に柄の部分を確認してライアンはマシューに剣を返した。


「ありがとう、良いものを見せてもらった」


「この剣がどんなものか知っているのか?」


「もちろんじゃ。これはクラウンソード。今からおよそ50年以上前宮殿を警備する騎士団で多く用いられた剣じゃな。当時の記録では100本ほど作られたらしいが、模造品レプリカの数が多いことやそもそも作られた年代が古いことからこれほど綺麗な状態で残っているのはかなり価値が高い。売れば相当な金になる。……が、売らん方が良いだろうな」


 50年以上前と言われてマシューは首を傾げた。マシューの父は今年まで生きていたとしても42歳であり、産まれた瞬間から剣を持ち始めたとしても計算が合わないのだ。それにマシューの父ケヴィンは騎士団とは関係の無い人物である。


「……それは本当なのか?」


「ん? ……売り値の話か?」


「いや、違う。……50年以上前の騎士団で多く用いられたってところは本当なのか? 俺の父さんは50年前はまだ産まれてないし、そもそも騎士団と何の関係も無いはずだぞ?」


 マシューのその言葉にライアンは考え込むようにして低く唸りながら下を向いた。少ししてライアンは顔を上げた。どうやら考えは纏まったようだ。


「なるほど、お前さんの父親のものだったか。さっき模造品レプリカの話をしただろう? それだけその剣がその当時人気だったのだよ。かく言うわしも売れそうな武器として何度か仕入れた記憶がある。……全て模造品レプリカじゃったがの。じゃが、中には本物を仕入れた武器屋も存在しておるはずじゃ。その武器屋から買った可能性は大いにあり得る。それに当時の騎士団の誰かしらから貰った可能性だってある。……もちろん実は騎士団の関係者だった可能性もな。とにかくわしが今言えることはその剣はかなり価値が高いと言うことだけじゃ。……ちなみにその剣をわしに売る気はないか?」


 マシューはその質問に答える代わりに静かに首を横に振った。そう答えるのが分かっていたのだろう。ライアンはたいして残念そうな表情ではなくむしろ穏やかに微笑んでいた。


「そうじゃろうな。無くしたくなければ収納袋に入れて肌身離さず持ち歩くんだの。それじゃあ改めて、頑張るんじゃぞ」


 そう言ってライアンはにこやかに2人を見送り2人はゆっくり武器屋を出た。買ったばかりの装備は既に身に纏っている。これによりマシューは装備する武器が変わり、クラウンソードは装備から外れた。どうせ装備しないのだから売ってしまっても良いのだがなぜかマシューは手放さない方が良いと思ったのだ。


 名前も知らなかったこの剣はいずれ必要な時がきっと来るだろう。マシューは微笑みながら丁寧に自分の収納袋に仕舞った。顔を上げるとテンションが上がっているレイモンドは既に雑貨屋の入り口へと到着していた。それを見てマシューは急いでレイモンドの待つ雑貨屋へと走って行ったのである。


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