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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第6章 その正義は誰がために
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最終話 決意は果たされた

 読んでくださりありがとうございます。今回で最終話となります。


 【魔力障壁マジックバリア】は透明であり、中の様子をしっかりと見ることが出来る。そのためマシューたちは【超新星スーパーノヴァ】を発動した魔王と【魔力障壁マジックバリア】を発動したケヴィンがその中にいることは分かっていた。そしてもうどうすることも出来ないことも。


 目が眩むほどの光を放ちながら【超新星スーパーノヴァ】が発動された。恐ろしい勢いで圧縮された魔力が拡散していく。恐らくあの中では凄まじいほどの轟音が鳴り響いているだろう。だが【魔力障壁マジックバリア】を通したマシューたちにはその音は一切漏れていない。それは完全に防ぐことが出来ている証拠でもある。


 やがて【超新星スーパーノヴァ】も【魔力障壁マジックバリア】も何も無かったかのように消え去ったのだ。床を球体に抉り塵ひとつ残さないその跡が、【超新星スーパーノヴァ】と【魔力障壁マジックバリア】の威力の凄まじさを端的に表していた。


「……終わったのか?」


「ああ、……終わったよ。……父さんによって魔王は跡形もなく消え去ったよ」


 マシューは何の感情も込めずにいたってあっさりとそう呟いた。こうでもしないと溢れでる涙が止められそうもなかった。だがその声に涙が混じっていることはこの場にいる全員が分かっていた。結局我慢など出来ないのだ。


 マシューはゆっくりと球体に抉れたその跡地に近づいていった。時折嗚咽のような声が漏れる。どれだけ考えてもあの場面でケヴィンが取った行動以上に最善の行動は無い。だからと言ってマシューは目の前で再び父が消えたことを割り切れはしないのだ。


 下を向けば涙が溢れてしまう。マシューは強引に顔を上に向けた。その瞬間マシューは何かが足に触れているように感じた。手で涙を拭いマシューは下を向いてそれを拾い上げた。落ちていたのはケヴィンが書いた手紙である。ケヴィンが【暗号魔法シークレットコード】で現れた際に下へ落ちていたのだ。


 以前はところどころ掠れて見えなくなっていたが【暗号魔法シークレットコード】の発動により読めるようになっている。そこにはこう書かれていた。


『私にはこの使命は果たせなかった。この世は歪つである。故に誰かが救わねばならぬ。そのために《七つの秘宝》が必要なのだ。全ての《七つの秘宝》を集めこの世を正してくれる救世主が現れるのを願い私はこの手紙を未来へ託す。 ケヴィン・アーノルド』


 この手紙を読みながらマシューは自分がこれを見つけた時を思い出していた。そしてその時に決めた決意も。


「……そうか、そうだったな。……俺はあの時決意をしたんだった」


 マシューは腰に下げたクラウンソードを抜き高く高く掲げた。きっとケヴィンにもこの姿が見えているはずだ。


 剣を下ろしマシューは後ろを振り返った。レイモンドと目が合う。彼のその優しい眼差しはマシューがした行為の意味を理解しているものの眼差しである。


「俺は泣いてないぞ。……あの時決意したからな」


「ふふ、君も決意を果たせたね。せっかく決意を果たすことが出来たんだ。涙なんて流すべきじゃないな」


「何を言ってる。お前は泣いてなんかいない。……そうだろ?」


 レイモンドはそう言って裏表ない笑顔で笑った。せっかくのこの場面涙を流す訳にはいかない。マシューは目尻を拭って前へと歩き始めた。


 こうして勇者はついに魔王を破り世界の平穏を守ったのである。絆の勇者一行は穏やかな笑みを浮かべながら深淵城から浮遊城へ帰還した。それを祝福するかのように帰還した浮遊城には温かな陽の光が差し込んでいたのである。


 最後までお読みいただき本当にありがとうございました。これにてマシューと《七つの秘宝》は最終話となります。読者の皆様がこの作品を楽しんでいただけたならば本当に嬉しく思います。それではまたどこかでお会いしましょう。

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